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水面下の恋  作者: 苗木
3/6

惹かれる

 帰り道、伊月は優馬の体を気遣い、一緒に帰ることになった。その道中、新たにオープンしたカフェの看板を見て伊月が立ち止まった。その看板には美味しそうなイチゴのパンケーキの写真が大々的に載っていた。


優馬「もしかして、先輩、これ食べたいんですか?」


伊月「ん…いや、そう言うわけじゃ…」


伊月は否定しながらもパンケーキの写真を見つめている。


優馬「先輩、本当は食べたいんでしょ。俺の体調は大丈夫ですから入りましょ?」


伊月「本当か、ならちょっと寄ってもいいか。」


優馬「はい、もちろんです!」

  (先輩、甘党なのかな…)


カフェに入り、伊月と優馬はメニューを見て注文をすることにした。


伊月「俺、この新作イチゴのパンケーキで。」


優馬「俺はカフェオレで。」


店員「かしこまりました~」


伊月「カフェオレだけでよかったのか?」


優馬「ああ…今日あんまりお金持ってきてなくて…」


伊月「…そうか。」


注文の到着を待っている間、地味に気まずい沈黙が流れた。優馬は伊月のことを意識しすぎてなかなか喋ることができない。手汗が止まらず、伊月とも目を合わせられない。


優馬(俺から誘ったけどこれデートじゃん!)


もじもじしている優馬を見かねて伊月が口を開いた。


伊月「…おい、お前最近変じゃないか?」


優馬「んえ、そ、そんなことないですよ~」


あからさまにはぐらかす優馬を見て、伊月は無理に圧力をかけないよう眉を下げて微笑んだ。


伊月「無理に言わなくてもいい。ただ、お前のこと心配している人がいることを忘れるな。」


優馬はその言葉に自分の気持ちがどんどん高まっていくのを感じた。(ああ、やっぱり俺、先輩のことが好きだ。こんなに優しくしてくれて、俺に寄り添ってくれるところが好きだ…今までは先輩への憧れがこの妙な胸の高鳴りの原因だと思っていた。でも、そうじゃなかった…)


伊月は急に無言になって頭を抱える優馬に困惑していた。そんな中優馬は意を決したそうに急に顔をあげこう言った。


優馬「いつか、絶対先輩に言うので…待っていてくれませんか!!」


あまりの勢いに圧倒されながらも伊月は「ふっ」と笑い、伊月の顔を覗き込んで嬉しそうな顔でこう言う。


伊月「ああ、待ってる。」


その笑顔にまたもや心を打たれた優馬は顔を赤らめてた。するとちょうどいいタイミングで頼んでいたものが届いた。パンケーキを見た瞬間明らかに目の輝きが変わった伊月を見て、優馬は愛おしささえも感じた。いつもはクールで真面目な印象を受ける伊月の新たな表情を見て、優越感を感じた。


伊月「めっちゃ美味しい…」


リスのようにもぐもぐ食べている伊月の横で優馬はカフェオレを一口。すると、自分ばかり食べているのが申し訳なくなったのか、優馬に声をかける。


伊月「お前も食べないか?」


優馬「え、」


伊月「甘いもの苦手じゃないなら、よかったらお前も食べてほしい。俺だけじゃ食べ切れなさそうだ。」


優馬「じゃあ…少しもらいますね!」


優馬は机に用意されてる新しいフォークを取ろうとしたときだった。伊月が自分のフォークに刺したパンケーキを優馬の口の前に持ってくる。


伊月「ほら。」


優馬「え、あ、」


困惑している優馬を見て、伊月は自分がやっていることが恥ずかしいことだと言うことに今気がついた。


伊月「あ、すまん、俺の使ったもの使いたくないよな…」


と伊月の耳が真っ赤になっているのを見て優馬は我慢ができなくなって


優馬「いえ!いただきます!」


と伊月が差し出したパンケーキをパクッと食べた。伊月は少し頬を紅潮させながらも「美味しいか?」と聞く。優馬はとても恥ずかしくなったが、先輩の笑顔には敵わない。


優馬「めっちゃ美味しいです…」






現在優馬視点多めです。この先伊月視点増やしていく予定です。

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