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ー2ー



 ヤンキーがスカートをはいて登校した生徒に話しかけた。

「おいおい、ここは男子校だぜぇ?女子は通えないんじゃねーか?」

「女子じゃないけど」

 制服を着崩したヤンキーと制服の男女があべこべな二人が対峙していた。

「男はスカート履かないだろ、普通」

「だったら、お前も制服の前をしめろよ」

 二人が話し合っているのを聞いていると、スカートを履いている彼の声は、きちんと声変わりをしている。周囲にやっぱり男子なんだーという印象を与える。

「似合ってるなら、なんだっていいだろ?」

 身長差があるにも関わらず、彼はヤンキーを下から見上げながらも一歩も引くことなく答える。

「女みたいな奴かと思ったけど、ただの生意気な1年生みたいだな」

 ヤンキーが彼の胸ぐらを掴んだ。と、思った瞬間には、そのヤンキーは逆に彼に背負投げされて宙をまっていた。周りは騒然としていた。

 先生を呼んだほうがいいのかな?と思わせる隙すら与えず、彼は絡まれた事をいとも容易く自分だけで解決してしまった。

 「男がスカート履いたらダメなんて法律はどこにもないだろ?」

 たしかに、世間はジェンダーレス社会とか言う平等性をきすために、女子がスカートではなくスラックスの許可を認めている高校もあるとかニュースで聞いたことがある。けれども、男子が制服のスカートを選択するのを僕は初めて目撃したから、びっくりしてしまったんだろう。似合っているか、似合っていないか。で判断するなら、彼の見た目はほぼ女子に見えるのだから、似合っている。という事になるのだろう。 

 それにしても、すね毛なんて、まったく生えていない彼の足を見つめながら、僕はなんだか羨ましいな。と、思ってしまった。

 ボクも心は女子で、可愛い物が好きだけれど、見た目から完璧な女子になりたいと思ったことはない。それは、第二次成長の過程で声が変わり、筋肉がついてくると、心がどうこう言ったところで、体付きは否応なしにどんどん男子へと近づいていってしまうからだ。ホルモン注射だって18才にならないと受けられないものらしいし、現実の自分の体付きと心との差に悩まされる日々だ。

 けれど、僕が彼と同じようになりたい自分を手に入れた時、同じだけ世間に胸をはって生きられるか?って聞かれたら、僕は後ろ向きな人間だから、彼のようにはなれないかもしれないと思った。

 だから、目の前の彼が自分らしく生きることになんの躊躇いもない姿を、僕はカッコいいと思わずにはいられなかった。



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