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()を心の声
「」を会話として使用してます。
ベッドの住人を卒業し、次にやる事と言えば、ステータスの確認だろう。誰も居ない事を確認して、お約束のあの言葉を唱える。
『ステータスオープン』
…………。
何も起きない。ラノベだとこれで確認できてたのに……。
「他のやり方……スキルの…表示…」
ため息交じりにつぶやいた途端、目の前に画面が広がり、スキルが表示される。
転生セット竹
鑑定 Lv8(使用可)
収納 Lv6(開放条件を満たしていません)
錬金 Lv6(道具未入手のため使用不可) 生活魔法 Lv8(魔力操作未習得のため使用不可)
攻撃魔法 Lv4(魔力操作未習得のため使用不可)
言語 Lv7(常時発動中)
ネット検索 (使用可)
ネットショッピング(現金不所持のため使用不可)
健康強化 (常時発動中)
体セット (常時発動中)
『ステータス』じゃなくて『スキル表示』が正解なの?なんか思ってたのと違う…しかもほぼ使えないし…。鑑定と検索が使える事だけマシか…。あの時もっと聞いとけば…後悔が残るけど、おばちゃんの良さは切り替えの早さだ!と鼓舞してると、母に呼ばれた。
母の所へ行くと、兄と二人で役場で働く父に差し入れを持って行って欲しいと頼まれた。
記憶を統合してから初めての外出にワクワクして、早く早くと兄を急かしていると、母が笑いながら
「フク、久しぶりの外出だからはしゃぐ気持ちもわかるけど、ちゃんとルークの言う事聞くのよ、」
うんと頷く。
「ルークもフクの手を離さないようにね」
「わかってるよ、大丈夫だって」
「二人とも気をつけていってらっしゃい」
「「いってきま〜す」」
兄の手を引き外に出る、初めて見る街はおとぎ話の町並みのようで、行き交う人達の中に獣人もいて、異世界に居るんだと実感する。
体に引っ張られるのか、おば心も興奮しているからか、色々な物が気になってフラフラしてしまう。その度に兄に手を引かれ注意される。
「フ〜ク〜」
「にいちゃん…ごめんなさい」
兄の怒りを感じ、大人しく隣を歩く。それでも気になる方へ目線を向けてしまう。(…そうだ、鑑定だ)足元の草に目線を合わせ、心の中で『鑑定』と唱える。すると頭の中に文字が浮かぶ
『ヒシバ』……多年生植物、繁殖力が強い
毒にも薬にもならない雑草
やった!成功だ!
嬉しくなって鑑定しながら歩いてると、いつの間にか目的地の役場に着いた。
中に入ると、手続に並ぶ人混みの隙間から父を探す。列の対応をしている職員の後ろに、父の姿を見つけ兄に教えると、父の方へ進み声をかける。
「父さん」
「とうさん」
声に気づいた父が、こちらに近づいて来て私を抱き上げると片手に乗せ、兄の頭を撫でる。
「二人ともありがとな、ルークはフクのお守りもご苦労さん」
頭を撫でる手を照れくさそうに払いながら
「別に…フクの面倒くらい見れるし…それよりこれ母さんから」
ぶっきらぼうに母からの差し入れを父に渡す。
父が私を降ろし、二人まとめて抱きしめ
「父さん、今日は泊まり込みだから、ルークもフクも母さん言う事聞いていい子にしてるんだぞ」
「オレもフクもちゃんと出来るよな」
「うん。ちゃんということきく」
「ん、それなら安心だ、帰りも気をつけて帰るんだぞ」
優しく笑って頭を撫でると父は仕事に戻っていった。
仕事に戻る父を見送り、夕日を背に兄と手を繋いて帰る。
家に近づくと気が抜けたのかお腹がくぅ~と鳴った
「にいちゃん、おなかすいたね」
「腹へったな……オレ晩ごはん肉がいいな〜」
「フクはイチゴがいい」
「オマエほんとにイチゴ好きだな~……なら今度取りに行くか?」
「いくー!」
そんな話をしながら家に着くと、母が満面の笑みで迎えてくれた
「おかえり〜、二人ともありがとうね」
「「ただいま」」
「かあさん、おなかすいた」
「オレも、おなかすいた」
「じゃあちょっと早いけど晩ごはんにしようか、二人ともお手伝って」
「「はーい」」
夕食を食べながらこれからを考える。鑑定の精度や魔力について、この世界の事もまだまだ知らない事だらけだけど、おばちゃんの平穏に暮らす夢のを叶えるためいっちょ頑張ってみますか!
読んでくださり、ありがとうございます。