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福子さんの第二の人生  作者: つぐつぐ
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「 」を会話に

( )を心の声にしています。

 夢だと思ってほっぺを抓ると痛かった…。


アラフォー独身おばちゃんが、流行りの転移に巻き込まれ……いや勘弁して。

騒いでる集団から離れた所で、お偉いさんらしき人達から頭を下げられても嬉しくない。

私は予定外だから戻れないか聞いても、申し訳ないの一言のみ。しかも後処理に体が必要だから必然的に転生コース……。


一通りの謝罪を終えると、高校生達の対応に行ってしまった。残されたのは内心荒ぶるおばちゃんと、押しに弱そうな雰囲気の柔和な顔したイケメン青年だった……。


顔を見合わせてお互い苦笑を浮かべる。


「はじめまして、アンネです。サポートは初めてですが、よろしくお願いします」


(押し付けられたんだろうな)

中田福子(なかたふくこ)です。こちらこそよろしくお願いします。」


ぎこちなく挨拶を済ませ、アンネは手元にあるタブレットを見ながら説明を始める。

「フクコさんは此方の不手際での、転生となりますのである程度の要望は叶いますが、何かありますか?」


(要望って…急に浮かばないけど、何も言わないのもなぁ………)

「…衣食住に困らず、平穏に暮らせたら……」

そう言いながらアンネを見ると、キョトンとしている。

「国を救う勇者や聖女にも転生可能ですが……」


(そんな責任ある立場、頼まれてもごめんだわ、

若い子ならいざ知らず、おばちゃんになると健康と平穏がどれだけ大事か……逆に勇者とかどんな罰ゲーム)


「平穏第一でお願いします」

食い気味で答える私に、引いたのか声を震わせながら次の説明を始める。


次はスキル選択らしいが、転生先は魔法あり、多種多様な種族が存在する国らしい。まんまラノベだなぁと話半分で聞いていると、目の前にカタログが差し出された。


「スキル一覧です」


この中から組み合わせるらしい。私に与えられたのは100ポイント。通常の倍らしい(多いのか少ないのかか分からん…)一通り見ていると、最後のページに気になるスキルがあった。『現世還元』どういうスキルかアンネに尋ねると、現世の家族に幸運が還元されるスキルらしい。必要ポイントを確認すると50…


このまま親孝行せずに転生は後味が悪いし、普通は50ポイントらしいから、何とかなるだろうと1つ目を『現世還元』に決め、残りをどうするか悩んでいると、不憫に思ったのかスキルの提案をしてくれた。


「特に希望なければ、転生セット竹がオススメですね」


「転生セット竹…」


カタログに見当たらないと伝えると、裏表紙に載せていると。(分かりづらい)心の中で悪態をついてると、口に出てたようで、声を震わせながら「カタログ課に伝えときます」と…


内容を確認すればラノベのお約束とも言える魔法、収納、鑑定等がセットで45ポイントだしこれ以上頭を使うのも疲れた…残り5ポイントは『健康強化』に決めた。

(ちなみに、転生セット松は勇者や聖女に成りたい人向けで70ポイントだった)


転生後の性別や種族等決めて行き、最終的に人族の女に決めた。


タブレットに必要事項を入力し終えたアンネは、上司に確認に行った。それが終わればいよいよ転生だ、

緊張しなから待っていると、アンネが上司と共に慌てて戻って来る。何事かと身構えると目の前で二人が頭を下げてくる。


慌てて頭を上げる様に言い、どういう事か聞くとカタログの渡し間違いをしていたらしい……。


本来渡す方がグレードが良いのでこのままだと問題になるとの事。

(言わなきゃ分からないのに…真面目だなぁ…)


選び直せば良いのか聞くと、操作ミスで訂正が出来ない設定だったらしく、お詫びに上司権限で100ポイント追加と最高グレードのカタログから選ばせてくれる事になった。

(選んだスキルで生きて行けるなら特に気にしないんだけどなぁ…)


むしろ得したから、真っ青を通り越して真っ白になって謝るアンネを見て、気にしないで次に担当する時は間違えないよう気をつけてと声をかけると、神様を見るような目で感謝された。


改めて渡されたカタログを見ると、チート級のスキルがほとんどで、時を操るとか、死人を生き返らすとか正直いらないなぁと思いつつ見てると、ネットに繋がるスキルやネットショッピングもあった。(ネット関連は正直欲しい)でもポイントが足りない…また裏表紙にお得セットあるのかなぁと…見てみるとあった。

(作った人は、裏表紙にどれだけ思い入れがあるのか…)

多少の制限はあれど、これは欲しい…90ポイントだしこれにしようと。


残りのポイントで交換出来るスキルを探してると、『体セット』なるものが、太りにくく、ムダ毛が生えにくい…夢のスキルが10ポイントだなんて、(ありがとう裏表紙……)


決めたスキルを伝えると、上司に見守られながらアンネが追加していく、最終確認も終わりいよいよ転生するための場所に案内される。


何もない真っ白な空間の真ん中に私が立ち、少し離れた所にアンネと上司が立つ。タブレットをこちらにかざすと光と共に魔法陣が頭上に浮かび上がる。


「フクコさん、今回はいろいろとご迷惑をおかけしました。新しい場所で良き人生を過ごせるよう、願ってます。」

アンネがそう言って頭を下げる。

「良き人生を」

上司もそう言って頭を下げる。



なんで私がと今も思うけど、それでも幸せを願われると嬉しい。おばちゃんのちっちゃなプライドで、最後は感謝で旅立とう。


「お世話になりました。アンネさんありがとう」


そう言うと光が強くなり、だんだんと意識がなくなっていった。


こうして私の第2の人生が幕を開ける。



読んでくださり、ありがとうございます。

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