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福子さんの第二の人生  作者: つぐつぐ
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「 」を会話文

( )を心の声で書いてます。

 兄の声変わりに、驚いて挨拶の声が震えた。

 寝起きで頭が働かない状態で、挨拶され「おはよう、とうさん」と挨拶すると、「父さんじゃなくておれだよ」とルークに苦笑しながら声をかけられた。


「……にいちゃん?」

「そうだよ」

「えっ…こえが……」

「フフッ、声変わりしたのよ」

「こえがわり……」


 おはようフクと朝ご飯を並べながら母が話す。低くなった兄の声に慣れないながらも朝ご飯を食べいつも以上にご機嫌な母と一緒に、学校へ向かう兄を見送る。


「かあさん、なにかいいことあったの?」

「あら、どうして?」

「いつもよりにこにこしてるから」

「フフッ、ルークが声変わりしたから嬉しくて」


 声変わりは普通にするものでは?と眉をしかめていると、男の子が声変わりするのは魔力を開放する準備が整った証明だから、無事に成長してる証なんだそうだ。なら女の子の成長の証は何って尋ねると、月のものが始まったら準備が整った証なのよと教えてくれた。

 準備が整うと教会で、魔力の開放する儀式を受け、そうする事で魔法が使えるようになるのよと母は言う。


 どんな儀式が気になって、兄はいつ教会に行くのか聞いたら、この街の教会には担当の司祭様がいないから、隣街の教会まで儀式を受けに行かなきゃだめらしい。

 私も兄の儀式について行ってもいいか母に尋ねたら、


「儀式は本人と司祭様の一対一だし、隣街まで馬車で結構かかるから、フクには大変だと思うわ」

「…でもとなりまちにいってみたい」

「お父さんか"いい"って言ったらね、駄目ならお母さんとお留守番ね」

「……」


 むーっと、不貞腐れてたら、フクが可愛くお願いしたら大丈夫かもねと笑いながら母からアドバイス?を受け、じゃあ今日のお使いお願いねと送り出された。


 手伝いを終え、親方の工房へ顔を出し、兄が声変わりしたのと親方達に話すと、もう声変わりするくらいの年になったんだなぁ〜月日が経つのは早いなぁなんて、親戚のおじさんのような会話をし、話を聞きながら手伝いを一通り終え、親方に挨拶し、兄ちゃんによろしくなと皆に見送られ帰路につく。


 帰って父にどうやってお願いしようかと、悶々としながら歩いていると、後から名前を呼ばれる。

 聞き覚えのない声に、無視して歩き続けてると、声と共に肩に手を置かれ、驚いて振り向くと、なんで無視するんだとちょっと怒った兄が居た。


「……あっ、にいちゃん」

「呼んてたのに無視すんなよな」

「ごめん、しらないひとだとおもった」

「あ?あぁ…そうだよなぁ…おれもまだ違和感あるし、知らない人だと思うよな…」


 目をパチクリさせ、驚かせたな、けどこの声にもはやく慣れてくれよと苦笑する兄と連れ立って歩く。家に着くと今日は父が早く帰ってて「二人共おかえり」とにこやかに迎えてくれた。


「「ただいま〜」」

「おかえり、母さんから聞いてたとおり、いい声になってるなルーク」

「もう、父さんからかわないでよ」

「からかってないぞ?落ち着いたいい声だぞ。フクもそう思うだろう?」

「うん、いいこえ」


「なぁ〜」と笑いながら、私を抱き上げルークの頭をガシガシ撫でる。

 やめてよと父の手を避けながら、髪を直すルークを優しく見つめ、大きくなったな~と感慨深げに父が呟いた。


 晩ご飯を食べながら父が「ルークはすぐに儀式を受けに行きたいか?」と尋ね、特に希望はないけどこういうのは早いほうがいいの?とルークが父に質問すると、魔法を習い出した所だし、タイミング的にいいと父さんは思うけど、自分で考えて決めなさいとアドバイスされ、少し悩む素振りを見せながら、


「早めだといつ?」

「父さんの休みの兼ね合いで5日後だな」

「う〜ん、もうちょっと余裕欲しいかも…」

「そうか、なら覚悟が出来たら言いなさい」

「うん、わかった」


「ねぇとうさん、ぎしきはなにするの?」

「司祭様が管理する水晶に手を翳すんだ」

「いたくない?」

「手を翳すだけだから、痛くないぞ」

「いたくないなら、よかった」


 兄に覚悟とか言ってたから、どんな物か気になって聞いてみたけど、想像してたより簡単そうで拍子抜けした。兄も私達の会話を聞いていて、思う所があったのか、父にやっぱり5日後に行くと答え、5日後に儀式を受けに行く事が決まった。


 父に私も行きたいとお願いしたら、フクにはキツイだろうと最初は渋って首を縦に振ってくれなかったが、上目遣いで(必然的にそうなるけど)私が考えるおねだり上手な女の子を想像し「おねがい、とうさんいい子にしてるから」とねだったら、唸りながらもオッケーが出た。


 恥と引き換えだが、隣街へ行ける事になり兄より喜んでいたら、おれより喜ぶなよと呆れ声でルークが呟き、父と母にも苦笑された。


 次の日ワットの家で昨日の出来事を話していると、


「なら隣街で、何かいいもんあれば買ってきてくれ」と金貨を一枚渡してきた。

「えっ…これ…」手の中の金貨とワットの顔を何度も往復してると、フクはおつかいに行くし金の使い方分かるだろ?と聞かれ、(いや…わかるけど金貨なんて子供に持たすもんじゃないのよ)思わず固まってると、金貨初めて見たのか?と聞いてくるので、頷くと、銀貨100枚分が金貨一枚だと説明される。


(いや、そうじゃない。価値を知りたいわけじゃない)


 この世界の通貨は、銅貨、銀貨…さっきワットに金貨の存在を教えてもらったので、銅貨、銀貨、金貨、それ以外は見た事ないので知らない。


 銅貨100枚で銀貨一枚と同じ。

 銀貨100枚で金貨一枚と同じ。


 銅貨一枚、百円で考えると金貨一枚は百万円…。どこの世界に子供に百万持たす人がいるんだーとツッコミたい気持ちを抑え、ワットにこんな大金持つのは怖いと金貨を返すが受け取ってくれない。


 フクのセンサーで掘り出し物見つけても、金が足りずに買えないなんて事になるかもしれねぇだろ、これくらいは持ってけと、ぐいぐい押し付け「おとすかもしれないし」と断っても「金貨一枚落としてもごちゃごちゃ言わねよ」と私の意見は聞き入れられず、金貨を押し付けられた。(これだから金持ちは…)


 こんな事になるなら隣街に行きたいなんて言わなきゃよかった。


読んでくださり、ありがとうございます。

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