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私が書いた、宝の地図  作者: つきまる
第1章 「僕」と「私」
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第4話 前進

 白宮(しろみや)さんが鈴木(すずき)さんと仲良くなると宣言した日から、1週間ほど経つ。

 この1週間、彼は本当に、鈴木さんと仲良くために頑張っているのだろう。帰り道の会話は、ほぼ鈴木さんについてのものだ。

 私は、そのことが嬉しい。それと同時に、少し羨ましい。あんなにかわいい鈴木さんと仲良くなれるなんて。

 でも。

「鈴木さん、僕と話してて楽しいのかな……」

 彼は、何度もこういった言葉を口にする。

「絶対楽しいって! 私だって、白宮さんと話すの、楽しいもん!」

「うーん、でも今日なんかさ、僕が話してる時に鈴木さんに話しかけた人がいてさ、鈴木さん、そっちに行っちゃって……」

 この通り、彼は最近、とってもネガティブだ。

 私にとって、この状況は想定外であり、そして、非常に好都合だ。

 なぜなら、今までずっと白宮さんに言いたかったことが、違う意味で言える。そういった状況だからだ。



――翌日

 白宮さんが鈴木さんと仲良くなろうと頑張っているのは良いのだが、彼には少し負担が大きいように感じる。しかし、それも無理はない。なぜなら、あの、鈴木さんが相手だからだ。

 そこで、私はあることを思いついたのだ。それは、明日の土曜日に、白宮さんと一緒にどこかへ遊びに行く、ということだ。

 色々と考えすぎて落ち込むよりも、私と一緒に気分転換をする方が、彼にとって良いだろうと考えたのだ。

 肝心のどこへ行くかについては、白宮さんと一緒に考えようと思う。



――放課後

「白宮さん! こんにちは!」

朝倉(あさくら)さん、こんにちは」

「今日も鈴木さんと話した?」

「いや、今日は鈴木さん、ずっと友達と話してて……誰かが付き合い始めたとかなんとか……」

「そ、そっか」

 今日もなかなか上手くいかなかったようだ。では、ここであれを言うとしよう。

「ねえ、白宮さん、明日さ、一緒にどこか遊びに行かない?」

「え?」

「ほら、白宮さん、最近よく頑張ってるじゃん? だから、労いっていうか? 一緒に楽しいことできたらいいかな〜って」

「な、なるほど、あ、ありがとう。どこいくの?」

「それは一緒に決めたかったんだ! それ次第って感じかな?」

「いや、明日は暇だしどこでも行けるよ」

「やった! ありがとう! 私が考えてるのは、ショッピングモールとか、遊園地とかかな。白宮さんは、何か希望ある?」

「えっと、ショッピングモール、いいんじゃない? お互い何かしらは得られるだろうし」

「わかった! じゃあ、ショッピングモールね!」

 白宮さんを誘うことに成功し、そして、遊ぶ場所が決まった。

 あと1つ、大切なことがある。

「あの、白宮さん、連絡先交換しておかない? 今日帰ったあとも色々決めれるし」

「そうだね……えっと、どうやって交換しよう?」

「白宮さん、シンスタやってる?」

「シンスタはやってないな、うーん、じゃあ、あとでアカウント作る! 朝倉さんのアカウントを教えてもらえればいいのかな?」

「そう! ちょっと待ってね、今紙に書く!」

「ゆっくりでいいよ」

「えっと、『a.hana0808』っと、はい、これ!」

「ありがとう! 僕のアカウントは、僕ってわかるようにしておく!」

「了解! また後でね!」

「うん、じゃあ」

 白宮さんと連絡先を交換することが、一応成功した。今思い返してみれば、一緒に帰ることよりも先に進んだことを、あの時よりも冷静にできたのだ。そして、連絡先が交換できたことは、今回限りではなく、今後も役に立っていくだろう。

 順調に白宮さんと仲良くなれている。そう感じる。

 だが、まだ、「あれ」を言うのは、早いだろう。

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