十歳の誕生日 (璃桜Ver)
璃桜Verは璃桜の視点でお話が進みます
「明日は誕生日なのに……」
明日は僕の十歳の誕生日だ。
あの儀式の為、晴明叔父さんも来ていた。
今日は千草色の着物に紫紺の羽織という渋い和服姿だ。
彼女がいないのが不思議なくらいのイケメンだ。
それよりも八重郎のことをみんな気にしている。
八重郎に転生について聞いたことがある。
すると、いつも気が付くと子猫の姿になっている。
沢山の兄弟と一緒の時もあれば、たった一匹で歩いている時もあったそうだ。
ただ何度生まれ変わっても短尾の隻眼というのは変わらなかったらしい。
今回はどこで転生しているのだろう。
しかし、どうしてまだ戻ってこないのだろう?
ふと、父に問いかけた。
「そう言えば、なぜ八重郎という名前だったのですか?」
何故か父は懐かしそうに昔の映画の話を始めた。
「有名な時代劇の映画があって親父と弟でよく見にいったとよ。
そん時ん主役の隻眼の侍の名が丹波八重郎という名前でかっこよかった。
その名前から付けたとよ」
父はシロを抱きながら思い出に耽る。
あれからシロも淋しそうだ。
「僕も八重郎という名前好きでした。なら、次は『九重郎』としましょう」
僕はそう咄嗟にそう言ってしまった。
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