目覚め (璃桜Ver)
今回のお話(璃桜Ver)は璃桜の視点で描かれています。
本編はこれで一応完結です。
真っ白な世界に段々と色が付いてくる。
目が覚めたようだ。眩しい。
ここは病院で、ベットの上だ。
お婆ちゃんが泣いている。
家族皆が僕の顔を覗いている。
僕は生死の境を三週間も彷徨っていたらしい。
賽の河原では一時であった気がするが。
「でも、なんで皆いるの?」僕が聞くと
桜珠が今日目覚めると言ったらしい。
窓の外で化け猫が悲しげな笑みを見せ飛んでいった。
あちこち骨折しているらしいが、今痛いのは脇腹だけだ。
肋骨が折れていたのだろう。
足は治っている気がする。
次の日、僕が目覚めたと聞いて村岡君が見舞いに来た。
学校の話を聞くと、山本汐里と村岡君が
「突風が吹いて、教卓が飛んでいくのを僕が阻止しようとした」と証言してくれたらしい。
もちろん僕が暴れたという噂もあるらしい。
「弟くんだけど……成仏したよ。お兄ちゃんに伝えて欲しいって」
「そう……有り難う。でも、なんか寂しいな」それだけ言って帰って行った。
「ところで、汐里ちゃんの元気がないらしいって」
母が山本さんの母から聞いたことを僕に伝える。
何となくどうすれば良いのかわかる。
がしゃ髑髏の恐怖が彼女をまだ縛っているのかもしれない。
次の日、母親に連れられ汐里ちゃんがお見舞いに来た。
僕の母が汐里ちゃんだけにお茶を出す。
「このジャスミン茶は心が落ち着く作用があるらしいよ。
どうぞ、『飲むと嫌なこと怖かったこと忘れてしまう』
毎晩少し飲めば気分は良くなるよ」言霊も使う。
彼女はゆっくりとそのお茶を飲む。
「本当に少し気分が良くなったわ」
笑顔で話す彼女にみんながホッとする。
「僕の怪我で心配掛けたね。でも、元気になったから安心して」
「そうね、私も元気でたわ」
山本親子が笑顔で帰って行く。
「良かったわ。でも、お茶に入れたその瓢箪の水ってなに?」
母が尋ねるので、賽の河原で神様にもらった忘却の水“孟婆湯”を一滴入れたと話した。
それから二週間ほどして僕は退院し、後は自宅療養。
皆で正月を楽しく過ごし三学期を迎える。
僕は軽くなった足で未来へ駆ける
拙い言葉の羅列ですが、読んで頂き有り難うございます。
感想等いただけると幸いです。
本編はこれで一応完結ですが、エピローグ・番外編をもう少し書きたいと思います。
また、宜しくお願いします。