神秘の池と玉
数十年間、干上がっていた池に突然綺麗な水が湧き出したとニュースになった。
ニュースを見ていた一正様が行こうと璃桜様に言い出す。
車で二十分ぐらいだろうか。
精霊が宿りそうな、清麗とした水が湧き出ている。
池の周りには急遽縄で作られた柵が張り巡らされて
池の中央には老松と楠が絡みあった御神木があり、その下に小さな祠が祀られていた。
御神木の絡み合った枝は籠のようになりその中に玉が確認できる。
玉は池の水を映し、透明で輝いていた。
皆池の水ばかり見ている。
やはり玉が視えるのはうちの家族だけか?
池を一回りすると、突然雨が降り出し、声が響く。
《 我はこの地を預かる青龍なり。
我の玉に悪さする者は除外するが、その方らは何者ぞ? 》
――青龍?――
見学に来ていた人々は突然の雨に近くの公民館に慌てて逃げ込む。
璃桜様が雨の中に立っている。
《 ほう!その方は色々な加護を持っておるな 》
「強い妖力を感じたので確認に来ただけです。我々は何もしません」璃桜様が答える。
《 碧き宝珠を持っているな、今度持ってくるがいい。神力を注いでやろう 》
「はい」と返事をすると、雨が止み暖かい一筋の風が吹く。
気が付くと服も髪も濡れてはいなかった。
池は青い空を映していた。