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化け猫の転生恩返し  作者: 日向彼方
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千部本様の子孫Ⅱ

主人(あるじ)の千義一正様は小さな運送業の社長をしている。

前の主人だった一正の父が若くして亡くなった為、我は新しい名を付けて貰い一正様を主人とした。

一正様はがっちりとした体格だが、見た目と違い優しい性格で、すぐに野良猫を保護してしまう。

動かなくなった二トントラックを猫の遊び部屋に改造しているくらいだ。

保護猫の他に、最近のお気に入りはスコティッシュフォールドで、ブリーダーの真似事までしている。

十匹ほどの保護猫のなかで我は一番のお気に入りができた。

名を“ユキ”といい、オッドアイをもつ綺麗な白猫であった。


嫁の聡子は我の大嫌いな獣医だ。

しかし、保護猫の診察で何度も病院を訪れるうちに、二人は夫婦となった。

夫婦になるまで色々協議を重ねた。聡子の実家が陰陽道宗家の倉橋家だったからだ。

化け猫のような妖が住み着いている家と親戚になることを嫌がられたのだ。

主人は時間が掛かっても良いと思っていたが、聡子は倉橋家の了承を得ないままさっさと婚姻届を提出した。

聡子の実母である萬財知子が援助を申し出た為苦労などなかった。


 聡子に「右眼が気になるから一度だけ」と言われレントゲンまで撮られた。

主人が懇願するので、やむなく応じたがもう二度目はないと宣言した。

結果は……

何も写らなかった。私の姿全てがレントゲンには写らなかった。

そう、我は妖なのだ。写るはずがない。何故かホッとした。


 すぐ若い夫婦に可愛い娘・桜子様が産まれた。

その頃には倉橋家の晴明がよく訪れるようになった。

父明蔵に写真を見せる為だ。可愛い孫娘なのだ。

次の主人は桜子様だと思っていた。幼き頃から会話が出来たのだ。

桜子様が通ると妖は避けていく。

さすが、陰陽道家の強い力を持つ者だ。

しかし、璃桜(りおう)様が産まれた時、(あやかし)達が騒いでいた。

多くの妖が璃桜様の顔を覘きに来るのだ。

妖達は璃桜様の誕生を喜んでいる。

心配した聡子が弟の倉橋晴明(はるあき)を呼んだ。

晴明は陰陽師としてかなり力を持っているようだ。

もちろん我は奴のことも好きではない。

晴明は家の周りに結界を張り、我以外の妖を排除した。

璃桜様にも護符を持たせることになった。

晴明が九字を切り、首の後ろに五芒星を書き入れる。

五芒星は少し光り、一分もしないうちに体に取り込まれるように消えていった。

あまり泣かぬ赤子であったが、この時ばかりは、火が付いたように号泣した。

これが璃桜様の誕生日の恒例行事(儀式)となった。

その児はとても弱い。ただ視えるだけで守るべき者だ……そう皆が思っていた。

我は、この弱き璃桜様のお守りとなった。


オッドアイとは左右の眼の色が違うことです。

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