罪と罰 (璃桜様Ver)
【残酷な描写】事件・怪我等の描写があります。
今回のお話(璃桜Ver)は璃桜の視点で描かれています。
子供に憑いているといえば守護霊がほとんどだが、大人には時々変な霊が取り憑いていることがある。
学校の先生も然り、水子の霊が憑いた先生には流石に驚いた。
山本汐里の守護霊は成長でもしているのか、眩しい存在になっている。
だが、このクラスの一人に小さい男の子の霊が憑いている奴がいた。
村岡という名前だったか?
そいつは僕より暗い顔をしている。
困ったことはその小さい男の子の霊が僕の横に度々やって来て、顔を覗くこと。
『もしかして僕が視えてる?』
いつも尋ねてくるが、無視を決めていた。
だが、
『あの人死のうとしているから止めてくれない?』
「えっ?」反応してしまった。
『あの人が僕を殺したんです。悪戯だったんです。
運悪く僕は川に落ちて、上がって来られませんでした。
少しは恨みましたが、それ以上に兄ちゃんが苦しんでいるのが解るんです。
親はその事知りません。兄ちゃんは全部告白して死んで楽になろうとしてるんです』
“兄ちゃん”と呼ばれた彼を見ると目が合った。
彼はすぐに視線を外す。
昼休み、ベランダにいる彼の横に立ち言葉を放つ。
「君の横にいる人からの伝言です。
『親に話しても貴方の罪がなくなるわけではない。親の苦しみが増えるだけだ。
誰にも話すな。それが、貴方への罰だ。一生背負うべき報いだ。
自分で死ぬなんて許さない。僕を忘れず生きていけ兄ちゃん』そう言っているよ。」
「……」彼は驚いて目をパチパチさせている。
「ねぇ、知ってる?自殺・自死って一番重い罪なんだよ。
自分ていう“人間”を殺す事なんだから。自分を大切にしなよ」
彼の目からヒラヒラと涙が零れる。
『兄をよろしくお願いします』弟が深々と頭を下げる。
最期の言葉は僕の胸の内に納めとく。
次の日、彼はちゃんと学校に来た。少し安心した。
「僕これからどうしたら良いのかな?」
彼が申し訳なさそうに聞いてくる。
「あっ!漫画が読みたいって弟君が言ってるよ。毎日本でも読んであげたら」
僕が笑うと彼も弟も少しだけ笑った。
今日は桜珠に絵本でも読んで聞かそうか。
読んで頂き有り難うございます。
感想等いただけると嬉しいです。
宜しくお願いします。