表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化け猫の転生恩返し  作者: 日向彼方
57/73

アイドル (璃桜Ver)

【残酷な描写】事件・怪我等の描写があります。

今回のお話(璃桜Ver)は璃桜の視点で描かれています。


抜けていた二つ目の話です。

 父が土産を迷っていたので、出発時間ギリギリになり慌てて新幹線に乗る。

一番近い車両に乗り込んだため、自分たちの指定席がある車両に向う為グリーン車内を通った。

そこで、以前晴明が相談に乗ったアイドルグループ“FDI”に遭遇する。

マネジャーが僕に気付く。

僕は心の耳の鍵を開けた。嘘をつくと真実の声が同時に聞こえる。

後ろから『キャー!!シュンの大ファンなの』と大騒ぎする百合さん。

僕はその声に驚いて身を(すく)めると、

『あれ~あなた記事に載っていたレンの彼女じゃない?』

百合さんの視線の先にいた男性と女性を思いっきり見つめてしまった。

男性は僕の視線に驚き、身体が硬直している。

それを見ていたマネジャーが男性に慌てて声を掛ける。

「大丈夫か?」

「大丈夫に決まってます(大丈夫じゃない。誰が犯人なんだ)」

―― 誰が犯人?――

僕はヤバい声を聞いてしまった。

先に行っていた父が戻ってくる。

「どうかしたか?」

「何でも無い」

そう言って行こうとした時、マネジャーに腕を掴まれた。

「相談なんだが……」

「相談なら晴明叔父さんを通してからに……」

「急いでいるんだ、何かわかるんだろ?」マネジャーが僕の腕を強く掴む。

もう一人の年配のマネジャーが慌てて止めるがそれでも手を放さない。

「放してください」

マネジャーと百合さんに掴まれてヘトヘトになる頃、もう一人の幽霊の彼女が百合さんに語りかける。

『私の話がわかりますか?聞いて欲しいんです』

「聞いてあげれば?」

口を挟んだのは父だった。


たまたま百合さんの実家とアイドルの彼等が降りる駅が同じだったので、諦めて話をする事にした。

駅にはマイクロバスが迎えに来ていたのでそれに一緒に乗ることに。

『この人は朋子さんっていうんだって?交通事故?』

『はい。でも……』

「えっと、まず朋子さんの話を聞きますので待ってください」

「えっ!なんで名前を知っている?」レンさんが驚いている。

「あなたの横にいて僕に話しかけてます」

メンバーが興味津々で聞き耳を立てている。

『全部話したら?この子役にたつわよ』百合さんが後押しする。

「どうぞ、朋子さん」

『彼悩んでいるの。私がファンの子に殺されたんじゃないかって』

「単なる交通事故でなく?」

皆がピリッとした。

『熱愛の記事が出たけど私は一般人だし顔は出てなかったし、多少緊張していたけど大丈夫だったのね……』

「それで?」きついぐらい周りがシーンとしている。

『大丈夫って油断したみたい。三日後かな?仕事帰りに一人で帰っていたら、「レンさんの彼女さんですよね」って声かけられて、「違います」って言ったんだけど、追いかけられて……』

「で?」

「で?ってなんだよ?」レンさんに問い詰められた瞬間、バスが急停車した。

「わぁ~!」皆の緊張が解けた。

「すみません。猫が飛び出して」運転手が謝る。

窓から確認すると九重郎だった。

「ドア開けてもらっていいですか?」

悠々と九重郎がドアから乗ってくる。

「呼び出してごめん」さっき九重郎に念を送っていたのだった。

『どうしたにゃ?また色々沢山いるにゃ』



バスが動き出す。メンバー達がザワザワしている。

「で?それから?」僕はもう一度話を取り戻す。

またバスの中は静寂を取り戻す。僕たちの話を聞き漏らすまいとしているように。

『それで、私の肩を掴んだのがYuチューバーみたいな人で、その手を振りほどこうとしたら車道にでちゃったの。

あなたのファンの子じゃないからアイドル辞めるなんて言わないで欲しいんです』


「へぇ、つまり押されてはないと」

「そんなはずはない(このインチキ野郎)」

「インチキではありません。彼女心配していますよ。ファンじゃないから安心してアイドル続けて欲しいそうです」

「え?しかし、彼女をはねた運転手が人を見てる」

『私このYuチューバー知ってる。タカベスクープってチャンネルよ』

「さすが、百合さん。でも幽霊同士って映像も共有出来るんですか?」

『そうみたい』

また周りがザワザワしている。

「っていうか、百合さん璃桜からもう離れているやん」父が呟く。

「シュンさんに引っ付かないで、ちゃんと成仏してくださいよ」

「ギャー」と言ってメンバーがシュンさんから離れる。

「誰?母?」シュンさんがおどおどして聞いてくる。

「いえ、ファンだそうです」

「……」困った顔のシュンさん。

「話を戻します。タカベスクープっていうYuチューバーが朋子さんの肩を掴んだようです。振りほどこうとして車道にでて事故に……

誰かこっちで警察に知り合いはいませんか?」

メンバーの一人であるユウが

「俺の従兄弟が警官してるけど……」

「きっと動画を持っていると思います。通報して後は警察に任せる方が良いです」

「連絡する。タカベスクープっていうYuチューバーだね」

連絡をとって年配のマネジャーとユウイチさんが警察に向う。


『指輪見せて欲しいって彼に伝えてくれる』朋子さんが願う。

伝えるととても驚いていたレンさんが鞄からケースを取り出す。

「プロポーズしてあげてよ」僕が言葉を付け足す。

突き出された指輪に指を入れた朋子さん。

想いが奇跡をおこす。

指を入れた瞬間ウエディングドレス姿になった朋子さん。

レンさんにも見えただろうか?

「トモちゃん……」

『ここ二年あなたと一緒にいることができて私は幸せだった。これからもいろんな人を幸せにしてあげて。ありがとう』朋子さんがキラキラ光る。

言い終わると指輪がバスの中にコトリと落ちる。

号泣するレンさんともらい泣きするメンバー達。

『あぁ、私もちゃんとした恋愛すれば良かった』

泣きながら消えていく百合さん

「百合さん!」

『ありがとう。叔父さんにごめんねを……』

「突然だったな」父が僕の肩を抱く。

僕は泣かない。


家に帰り着くと桜子がアイドルの話を聞きたがる。

次の日の新聞に大阪で会った女性幽霊の写真が載っている。

本当の犯人である旦那さんが逮捕されたようだ。

タカベスクープっていうYuチューバーも逮捕されたが、起訴は難しいかもという連絡がマネジャーから来た。


僕は明後日の入学式の準備に大忙しだ。

あぁ、学ランの袖がかなり長い。


拙い言葉の羅列ですが、読んで頂き有り難うございます。

感想等いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ