55/73
姉弟
【残酷な描写】事件・怪我等の描写があります。
璃桜様が桜子に頭が上がらないのは、妖の悪戯を桜子が庇ったためである。
我が一正様と出ている時、結界に迷った妖が暴れた。
そして、幼い桜子の背に浅いが三寸程の傷が残ったのだ。
血を流し、痛がってはいたが桜子は泣かなかった。
璃桜様に記憶はないが、母親の聡子が風呂に入る度、背中の薄い傷跡をそっとなぞっているのを璃桜様は気にしている。
ちなみに我が”桜子“と呼び捨てするようになったのは、璃桜様が主人となった時だ。
桜子から晴明と似た“香”のような“気”を感じたからだ。
逆に“桜珠”殿からは高貴ともいえる“香気”がする。
璃桜様からは、御守りのせいか花の“香気”がする。