幽霊がいる家Ⅱ
【残酷な描写】事件・怪我等の描写があります。
「事務所の番号覚えてる?」璃桜様が聞く。
『06-4300-00XXよ』
「よく覚えてるな。俺携帯が無いともうだめだわ」一正様が情けない声を出す。
『私、二度見たものは完璧に覚えてるわ。名前とか住所、暗証番号とかもね』
璃桜様(プラス百合)と正親が公衆電話から無言電話でビビらせる。
我が一正様を乗せてビルの三階窓へ飛ぶ。
ブラインドが少し開いている窓の外から動画を撮る。
電気を消して管狐の鈴が百合さん幽霊としてリーダーの後ろでそっと囁く。
『恨めしや』
「茜の幽霊だ!」「嘘!」「俺茜が沈むときの顔忘れられないんです」
「リーダーが沈めたんですからね。俺はやりたくなかった」
男達がいろんな話を始めた。
その動画を編集して叔父さんのスマホに送る。
後藤刑事から大阪府警のなるべく上の人を紹介してもらう。
なんと府警のNo.3坂本警視を紹介された。
この人も“視える人”らしい。
この動画には、慌てている男達が映っているが、普通の人には幽霊役の鈴は視えてはいない。
動画を提供し、秘密保持を条件に事件解決へ協力する。
マジックミラーを初めて体験した。人は面白い物を作る。
三人のうちの二人が恐怖からべらべらとすべて自供した。
目の前に管狐の鈴が足のない百合さん幽霊として黙って立っていたからだ。
幽霊にも足はある。だが、幽霊には足が無いと普通の人は思っているからだ。
ちなみに一人は幽霊を視た瞬間に気絶した。
あと押収したパソコンの解析だが、
『暗証番号はxz89ky―――t。あっ最初と最後は大文字よ』
百合さんの記憶力のおかげで内緒のファイルが全て開いた。
欺した顧客の名簿など色々な不正が明るみになる。
大ボスはリーダーの健斗の弟で、被害者と思われた宝石店の店長だった。
頭の良い弟が指示をだし、兄を顎で使っていたのだ。
一正様が正親の奥さんに事件の経緯を報告。
「宝石を貴女の為にサプライズで購入しようとして欺された」と言った。
渋々だが信じたようだ。
正親は兄一正様に深々と頭を下げた。
今度帰る時は妻子も連れて行くと約束をした。
兄弟の約束を聞きながら、桜珠殿を思い出す璃桜様。
自分も弟に尊敬される兄であろうと決意したようだ。




