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河童
まだ桜子が小学六年生の頃 怪我のひどい河童を拾ってきた。
縄張り争いで大勢の川獺にやられたらしい。
桜子は母・聡子に習った乾燥させた薬草を準備する。
傷口にガマの穂や蓬を塗り、桜子と璃桜様は一晩中付き添っていた。
すると二人の体から白っぽい靄が顕れて河童を包んだ。
河童は二人の妖力をかなり吸い取って翌日には元気に復活した。
三日後には頭を何度も下げ川に戻っていった。
それからはお礼だといい、月に一度川魚を持ってくるので、いつの間にか
“権兵衛”と名付けられていた。
今では、軀も大きくなりこの辺りの川の長になっている。