嘘 (璃桜Ver)
今回のお話(璃桜Ver)は璃桜の視点で描かれています。
子供はよく嘘をつく。
鵺殿から貰った力がうまく操れない。嘘と真実が同時に聞こえる。
「ごめん。昨日は忙しくて(あぁ寝てたわ)」
「あんな女嫌いだ(大好きだ)」
「野球得意やで(サッカーしかしたことない)」
「あのアイドル好きよ(よくわかんない)」
よくもこんなたわいもない嘘をつくものだ。
九重郎に言わせると心の“耳”を閉じればいいらしいが、なかなかコツが掴めない。
突然先生の携帯が緊急避難のアラームを叫ぶ。
三秒後、学校が微かに揺れ出す。
アラーム音の大きさに驚いて耳を塞ぎ、机の下に潜り込む。
酷い揺れではなかったが結構時間的には長く感じた。
胸でカチャリと音がした。
「あーぁ!怖かった」
「大丈夫ですね。授業に戻りますよ」
まだざわざわしているが、言葉が二重になることがなくなった。
コツが掴めたかもと家で切り替えを練習する。
父が遅くに帰ってきた。
「大丈夫だった?」「うん」母と父がアイコンタクトしている。
「どうしたの?」
「何でもなか!
(サンタの申し込みがギリギリ間に合った)」
「?」
「大丈夫だったのね
(本当に夏に申し込みの締め切りだなんて)」
「そうなんだ……」
毎年クリスマスには外国人の白髭のサンタさんがプレゼントを持ってきてくる。
僕はもう来年は中学生だ。
なんとなく解ってはいたさ。
サンタさんなんていないってこと……
妖はこんなに沢山いるのに……