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番外編 ――恋――
これは 明治時代ぐらいの化け猫の恋の話です。
明治が終わる頃、妾は初めて恋をした。
相手は瞳の色が金に光る黒猫であった。
その猫はとても紳士で優しかった。
愛の言葉を沢山貰った。
妾が三十歳過ぎのころ、彼の子を身籠もった。
奇跡だ。
生れた五匹の中に一匹の黒猫がいた。
その黒猫は右眼に刀傷を纏っている。
妾が見ている景色がダブって視える。
ああ、妾の寿命が尽きるのだと確信した。
とても幸せであった。
彼が悲しまないと良いなと思いながら眠りにつく。
でも、またすぐに妾の新しい生涯は始まる。
拙い言葉の羅列ですが、感想をいただけると幸いです。