紅梅様の悩みⅠ
「夜な夜な藁人形が打ち込まれて眠れない。」
璃桜様は紅梅様にこう相談された。
ここ二週間ほど前から、二日に一度ほど、丑三つ時に藁人形を抱えた女が現れ、
この梅の木に五寸釘を打ち据えにやって来ると……
実際には藁人形はないが、梅の木に虫食いのような小さな穴がいくつもあいている。
家族相談の後、晴明と夜中に見張ることになった。
二日目、晴明と璃桜様が隠れていると、若い女性が現れた。
「生き霊だな」晴明が呟く。
よく見ると体の一部が細い糸となっている。
きっと、この先が本体と繋がっている。
ジャリッ!
よく見ようと踏み出した璃桜様の足が砂利を踏んでしまった。
女は突然こちらに気が付いて飛んで消えた。
「九重郎、後を追って」
我は長く伸びた二つ尾を持つ八尺の化け猫になり、璃桜様を背に乗せ夜空を駆けた。
勿論晴明は置いていく。
白い糸の残像を追いかけると、病院に着いた。
窓から覗くと若い女性が管を沢山付けて寝ている。
璃桜様がベッドの上の名前を確認する。
野沢可南子十九歳と書かれているらしい。
次の日、桜子の話によると自殺未遂をした隣町の女子高校生だと解った。
「噂程度の話だけれど、彼氏が友達と浮気して、大学受験も失敗して
学校の屋上から飛び降りたらしく、今でも意識不明のままだって。
あっ、あの神社はデートの待ち合わせ場所だって」
なんと意外にも、我の可愛い白猫のユキから友人の情報がもたらされた。
友人の飼っている猫がユキと知り合いらしい。
拙い言葉の羅列ですが、感想をいただけると幸いです。