守護霊
【残酷な描写】事件・怪我等の描写があります。
今日は璃桜様の嫌いな運動会
聡子は朝早くからお弁当作りだ。大雑把の割りにはまあまあ美味い。
一正様は朝早くから場所取りに行っている。
桜子は昔から運動神経も良く、今日も卒業生徒競走に意欲満々。
普通中学生までなのだが、この地区はよく高校生も来る。
参加賞は今年もあんパンとノートだろうに……
小学生の大半は運動会の今日は体操服姿で登校する。
璃桜様も赤白帽を持たされて玄関から追い出される。
その時、大通りから“ドン”と大きな音がした。
我は大通りに走って行く。
交通事故だ。トラックと白い軽自動車がぶつかっている。
白い車の男は死んだと思われる。
運転席で血を流している男と同じ顔をした男が車の横に呆然と立っているからだ。
その男が体操服姿の璃桜様を見て、慌てて学校の方に駆けていく。
我も後を追う。気付くと我々の後ろから黒い影の塊もついてくる。
そのだるま型の黒い塊を我は死神と呼ぶ。
偶に死んだ人の横で見かけるからだ。
璃桜様が学校に着くともう入場行進が始まるところだった。遅刻ギリギリである。
璃桜様は先生に手招きされ列に参加する。
開会式の後一年生の徒競走が始まった。
事故で死んだはずの男がある少年をずっと応援している。
その子が走っている間もずっと……一位になって大喜びだ。
少年は母親のもとへ駆けていく。
男も喜んだと思ったら体がキラキラと光り始めた。
「あぁ……守護霊に成られましたね」死神が肩を落とす。
余程生前の行いが良かったのか、その男は“幽霊”から“守護霊”に格上げされた。
このままずっとその少年の守護霊として見守って行くのだろう。
もしかしてその先も……
しかし、守護霊になる瞬間を視たのは初めてだ。
死神が首を傾け消えていく。
少年の母親の携帯が鳴る。
たぶん事故の知らせだろう。
璃桜様はビリだった。
璃桜様が走れなくなったのは……あの時からだ。
拙い言葉の羅列ですが、感想をいただけると幸いです。