想いの成仏
JKのSNS繋がりは怖い。
“私、月の輝きとかいてあかりと読みます。同じ名前の人います?”
沢山の中高校生から友人にいますなど情報がもたらされた。
あっという間に その子と年齢も同じ二人の子を特定した。
それから、DMで名字を確認すると今は大阪で叔父さん夫婦と暮らしているとわかった。
「私探偵になれるかも」桜子は上機嫌だ。
そこからは不動産とも連携する。
(時々オフレコで晴明が除霊を頼まれている伝手の一人)
おばさんの弟さんに家の処分について相談があると言って来てもらうことにした。
月輝さんをどうしても連れてきて欲しいとお願いしてある。
気になるのは月輝さんが事件のことを知っているかだが、
叔父さんは月輝さんには事故で亡くなったとしか話してない。
いつかはわかることかもしれないが、今は知られたくないとのことだった。
着物姿では変に思われるからということで、珍しくスーツ姿の晴明が
不動屋さんになりきって説明をしている。
おばさんの弟さんが
「ここは月輝の家だった。取り壊す前に見せたくて……」
「でも、まったく記憶がない」月輝さんは不思議そうな顔で見渡していた。
三人が家の中に入るのを、おばさんが見ていた。
璃桜様がおばさんの手を優しく包む。
「おばさん。娘さんだよ。弟さん夫婦がちゃんと育てているよ。安心して」
おばさんは俯いた顔を上げ璃桜様を見ている。
「やっと、顔を上げてくれた。有り難う。もう未練は断たないと……」
『我の出番かにゃ?』紅き右眼を開けようとすると
「いや、待って」
璃桜様の後ろに居た五郎が空を見上げ、我を制した。
白い光がやってきて、おばさんの肩を抱く。
「旦那さんが迎えに来たようだ。間に合って良かった。」
五郎が嬉しそうだ。
そして、おばさんが不器用に笑い一礼すると、キラキラと白い光が空気に溶けていく。
振り向いて視ていた晴明が、そっと弟さんに耳打ちした。
「お姉さん、やっと成仏できたみたいですよ」
弟さんは涙を流して頭を下げた。
「白い光が……」
月輝さんも何か感じたようだ。
一ヵ月後、あの家は取り壊され更地になった。
次の日、五郎はまた旅に出た。
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