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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
人と「花」との交渉
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貴族の言い分

「あれなに?!」

「うむ?あれは民家だな。」


 6歳の女の子は人間の街に興味津々である。それに対し伯爵様は子供を見るかのように優しく接していた。


「あ、じゃあ後はお任せしますね。」


 今回の件は貴族とケリンさん達の問題である。私は関係ない。シュウ君も同じである。だから私とシュウ君は途中で降りることにしていた。言っちゃ悪いが、私はこういう会議が苦手なのである。


(はぁ…疲れた…今さらだけど…なぜ私こんなに苦手なこと頑張ってるんだろう。)


 マイにとってみたら今回のイザコザは大迷惑だった。元々会話するのが苦手なのである。それをマイは無茶をして色々考えて色々会話し、戦争にならない様にここまで持ってきたのである。責任重大であった。ほぼマイが主軸で動いてしまっていたのでマイの発言で全部ひっくり返ってしまう可能性さえ有った。それだけ気を遣っていたのである。しかもどんなに努力しても、例えそれで戦争が起こらなくても…マイへの報酬は0。ストレスフルの酷いのであった。


(もう後は全部任せた。バイバイ。)


 そう思いながら私はシュウ君を連れて孤児院に戻るのであった。


「お姉ちゃん?疲れてそうだけど大丈夫?」


 孤児院に戻った時にシュウ君が声をかけてくれた。


「うん…シュウ君も光合成する?」


 当たり前だが、シュウ君は光合成できない。


「光合成?」

「日光浴。お日様の光を浴びるの。それだけ。」

「うん!いくー!」


 まあ、私とは違ってシュウ君は栄養は作れないが…健康という意味では日光浴は良いのであった。さて、孤児院ではこんな感じでゆったりであったが…伯爵家、今回は3名が植物の突然変異体ということもあり、庭のテラスで会議ということになった。ここら辺はミサさんがムサビーネ伯爵夫人に連絡している。どんなに頑張ってもケリン達の親玉は来れない。だが、庭であれば植物経由で情報伝達出来るであろう。そう言った計らいがもたらされている。更にムサビーネ夫人にしてみれば彼らをテイムするチャンスである。とはいえ、状況は最悪。今日テイムはまずは不可能だろう。その為今日は機嫌取りにしようと戦略を立てていた。ただムサビーネ夫人も魔物オタクということで3人を観察している。マイと花の色だけでなく花の形が違うことに直ぐに気づいた。他は身長を除きほぼ同じなのであるが…。別個体なのか?と心の奥にしまっている。


「本日は我が伯爵家に来ていただき感謝する。私はリグルト・デレナール。ここの領主だ。まあ、お前達で言うところの…まあ土地を管理するトップで良いだろう。」

「私はムサビーネ・デレナール。彼の妻よ。」

「俺はケリンだ。この2人についてだが、名前はない。そもそも魔物には名前がない。俺が例外だ。呼びたい様に呼んでくれたまえ。」


 この5人以外に後2人参加している。1人目はギルマス。もう1人は街道開拓責任者である。この責任者は別に今回の街道云々がメインの仕事ではなく、この領土の予算管理をしている家臣でもあった。なお、ケリンについては大昔関わった人間に名付けられた名前らしい。詳しいことは不明である。


「では早速本題に入るが…」

「俺から先に聞きたい。今人間どもは俺らの住処をどの様にしたいのだ。人間と関わりたくない派が多数だからどんな案でも否定から入ると思うが…俺はまず現状を知りたい。そうしないとおじいさまの判断を仰げん。」

「伯爵様の会話中だぞ。お前伯爵様をなんだと思っている。」


 家臣からクレームが来た。


「構わぬ。ギルドマスターから聞いているが…話は穏便にとのことだ。では現状の我々の計画についてお話ししよう。」


 それからリグルト伯爵は今現在決まっていることを話し始めた。途中、12歳ぐらいの雄花が文句を言おうと口出ししようとしていたが、ケリンがそれを止めていた。途中で話が止まってしまうと理解し難くなる。ケリンとしては話が完了してから叩き潰すなりなんなりしようとしていた。最も叩くのは12歳の雄花。逆に6歳の雄花は興味津々で聞いていた。


「要はこの街と向こうの街をより早く移動するために最短ルートの街道を作りたい。山を開拓するのは不可能なのでここのルートに沿って開拓したいと思うのだが、何か意見はあるか?」


 テラスのテーブル上には地図が置いてある。ケリン達は勿論人間の文字や記号など理解出来るはずもないが…出来ないでは人間の思い通りになってしまう。そこで植物の知恵を借りながら解読していく。更に植物へ質問していたりすると、ムサビーネ夫人がフォローに回っていた。彼女の性格を知っている人から見ればゴマすりなのだが、ケリン達にとっては有り難かった。最もだからと言ってはい分かりましたと言う訳にはいかない。


「俺はおじいさまと会話しているから、お前ら2人で今現在思っていることを伝えてくれ。」

「はーい。」

「わかった。」


 人間達は舐めていた。まあ、ケリンは見た目20歳ちょっとの女性である。どう見ても3匹の中で一番上のため皆んなの代表だろうと言うオーラはある。ただ、残り2人は12歳の少女と6歳の女の子である。だからろくに会話になるまい。そう考えていた。マイを知っているギルマスやムサビーネ夫人を除き…。残念ながら見た目と中身は全然違う。少女はマイより年上…200歳は優に超えてしまう。女の子でさえ、30歳以上は間違えなくある。伯爵はまあ50歳は超えている様だが、喧嘩する相手を間違えていた。

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