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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
人と「花」との交渉
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少年の意見

「はぁ…」


 私は考え込んでしまった。なお、マイは気付いてはいないがこの行動こそがマイに仕事が降り注ぐ原因であった。無理なら無理と逃げてしまえば良い。なのにわざわざ身を捨ててまで何だかんだで協力しようとするのである。だから皆が相談に来てしまうのである。


「お姉ちゃん?大丈夫?」


 シュウ君がマイがうーんだのあーだのとか唸っていたのでさすがに心配になったみたいである。


「ねえシュウ君。ここの貴族連中が…ケリンさんがいたでしょ。」

「うん!」

「そこの住みかをどうしても通り道にしたいらしいのよ。どうすれば良いと思う。」

「うーん…」


 シュウ君は8歳の男の子である。難しい会話ならまだしもマイが噛み砕いてあげれば理解できるぐらいは出来るのであった。そしてシュウ君からの反応は…


「取り敢えずお兄さんに相談してみれば良いと思う。だって聞かなきゃ分かんない。もしかしたら納得してくれるかも!」

「納得って…うんなばかな…」

「いや、相談するのはありだと思いますよ。ケリンさん達だってマイさんと同じなんです。会話できますし…。」


 私は警戒心が高いゆえ最悪の場合を考えてしまうことが多い。ただ、シュウ君の意見かつミサさんもそれに乗っている。掛けてみるか。


「分かった。シュウ君の意見と言うことで採用してみる。ちょっと連絡してみるね。返答は少し待てば来るとは思う。」

「私の助言は?」

「シュウ君の手柄と言うことで。」


 私はシュウ君を撫でてあげた。


「マイさん偉くなったら暴君になりそうで怖いです。」


 ミサさんが呟いていた。


「私そんなの面倒臭いと言うタイプなので平気です。強いて言えば名前だけ上司で仕事は全部ミサさんに押し付けます。」

「私が知っているどの上司よりも真っ黒ですね。あまりの鬼畜さに今までのダメ上司でさえも驚いちゃいますよ。」


 そんなたわいのない…のか?…話をしながら私は植物経由で向こうの雄花集団と会話していた。


「開拓ふざけるなが多数みたいですよ?ただ、若い雄花の中には人間と交流してみたいと言う意見もあるみたいですね。」

「交流ですか?」

「まあ、若いって言っても生後100年強までぐらいですけど。まあ、若いと怖いもの知らずではないですか。」

「そうですね…100歳が若いと言う概念が私にはありませんが。」

「後、ケリンさんも色々考えてくれているみたいで…開拓は反対だが人間が別の手段で折れてくれそうな物がないか考えてるそうです。」

「あの女性ですか?」

「雄花ですけどね。本当に情が移ったのかな。」

「へぇ…同じ種類でも考え方はそれぞれですね。」

「それ人間であるミサさんが言います?」

「あ…まあそうか。」

「お姉ちゃんお姉ちゃん!」

「シュウ君どうしたの?」

「だったら皆でやっぱり話し合うのが一番だよ!誰かの考えだけで押し掛けちゃダメ!」

「だそうです。そう言ってみますか。」

「マイさんシュウ君の意見は何でも良いのですか?」

「じゃあミサさんは反対ですか?」

「いや、反対ではありませんが。」

「じゃあ問題ないですね。」

「ええ…」


 最近マイとミサは口論することが互いの楽しみになっていた。これで良いのか知らないが…まあ、楽しいのなら良いのだろう。少しして連絡が来る。


「了解したとのことですよ。で、じゃあいつにします?移動距離的に1週間以上先をおすすめしますが…。」

「了承するんですね。まあ、殺し合うよりはましですか。うーん、となってくるとこっちも日程調整しないといけませんねぇ。」


 ミサさんはブツブツ独り言を呟いていた。シュウ君は大人の議論についてこれず暇そうである。


「シュウ君ごめんね。最近散歩って言っておきながらこんな下らない事務作業に付き合わせちゃって。」

「うんうん。大丈夫。」


 私はその大丈夫が大丈夫じゃないと言うことを悟った。まあ、マイは別に心を読む能力があるわけではない。なので全部マイの想像なのではあるが…マイが社畜時代、上司に「大丈夫か」と聞かれたとき「大丈夫」って答えたときと似ていると思っていた。あの大丈夫はそれ以外答えることが出来ないから「大丈夫」なのである。


「じゃあシュウ君。今度久し振りに私が住み着いている森の中探検しようか。1日程度ならお昼お弁当とか持っていけばなんとかなるでしょ。費用はミサさん持ちで。」

「え?」


 急に振られればそれは驚く。


「え?私にこんなに仕事させておいて命も掛けたのに…何もないんですか?シュウ君ハンターじゃないんですよ?本来なら私達は他人事なんです。」

「…ぐうの音もでないですね…。まあ、でしたら3人でお出掛けしますか。…って、森の中って危険じゃないですか?!」


 突っ込みが遅い。


「私の拠点近傍だけですよ。私が住んでるんですから平気です。森の空気美味しいですよ?」

「魔物に言われても説得力無いんですよね…。」


 まあ、このイベントは後日発生することになるのだが…まあ、何事もな…いや、有ったが全員無事で終わるのであった。


「取り敢えず今日の話はここまでで良いですか?この件についてまとまったことをギルマスに話します。まあ、反対とかは出ないでしょう。反対出したらドラゴン10匹に喧嘩ふっかけたのと同じ結果になるとでも言っておきますよ。」

「その例え良いですね。」

「そうでしょう~?」


 ミサさんが鼻を高くしていた。斯くして人間と魔物の会議という異例事態が起きるのであった。日程調整は勿論ギルドやらで実施するが、連絡手段が植物しかない。その為、日程調整が済んだとしてもマイがギルドに来なければ連絡が出来ない。更にマイの拠点は基本全員立入禁止。マイ自身命狙われるのではと恐れているため、拠点近くの森に何も連絡なく入った人間はシュウ君でもない限り問答無用で仕留めてしまう。まあ、マイは数日に1日はシュウ君の都合で大体孤児院行くし…某トラブルの件が原因で大体街に行くとギルドに状況を確認していた。その為、連絡の実施についてはそこまで不都合なことは起きなかった。

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