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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
人間の立場と魔物の立場
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雄花と雌花と受付嬢

「じゃあすいません。シュウ君お借りしても良いですか?ちょっとどっかの馬鹿が面倒事を作ってくれたようなのでギルドに行ってきます。」


 マイはかなり皮肉っていたが、誰なのかは先生方がわかるわけがなかった。


「ええ、気をつけていってらっしゃい。シュウ君。君もよ。先日大泣きして帰って来たから心配したんだから。」


 先生方は恐らくマイにシュウの異常について気づいてもらいたかったのかもしれない。ただ、本来はそんな迂回した方法で気づくわけがなかった。ただ、マイだから…色んな意味で…大体予想は出来ていた。私はシュウ君を撫でてあげる。


「大体把握しているから大丈夫ですよ。後…あの夫人後でしばいとくから平気。」


 私は笑顔でシュウ君に話しかけた。


「う、うん!」


 シュウ君も笑みが溢れた。うん、かわい…まあ8歳だからなぁ…大分男の子らしくなって来てしまっている。残念。それを見てより一層不思議がるケリンであった。そのままギルドに向かう。


「この建物がギルドなのか?」

「それは服屋です。」

「じゃあこれか?」

「うん?これは民家じゃないかな。」

「うーむ。人間はこんな贅沢なところで生活してるのか。」

「まあ、森の中に比べればそうですね。でも私は森も好きですよ。魔物さえいなければですが…ほら、森の方が空気美味しいし、腐葉土もあるし…。」


 隣の芝は青く見える。そう言った感じだろう。


「腐葉土か。確かにここの土地は土が駄目だな。狩りをしないでよく生きていけるものだ。」

「別に私の拠点はここじゃないですからね。あ、ギルド見えて来ましたよ。」

「うん?どれだ?」

「あの大きい建物です。」


 ケリンにとってはどれも新鮮であった。なお、ケリンは花を隠していない。そのため、魔物が反応し警告を鳴らす時があった。その度に私はケリンに攻撃駄目絶対と迂回ルートを通るのであった。


「さてと…入る前にケリンさんには忠告です。何度も言っていますが、喧嘩ふっかけるのはやめて下さい。いや、実家を襲撃されたんです。気持ちはわかります。私もおばあちゃんを攻撃されたらキレます。ただ、あくまでここは人間の住処です。変なことをすると収拾が付かなくなります。」

「わかった。お前の方がここに詳しいからな。任せる。」

「任されました。シュウ君。」

「何?」

「うーん、まあシュウ君はいつも通りで良いか。うんうん。」

「え?」

「こっちの話。じゃあ行きますか。」

「うん!」


 そうしてギルドに入る。まあ、いつもの反応…とは若干違った。まあ、20歳ぐらいの女性が私が服も何にも着ていないような状態でギルドに入ってきたらびっくりするだろう。いつものこと…じゃない!って感じで。


「なんだか見られてないか?」

「気のせいです。行きましょう。」

「うん!」


 私は全員の目線を無視して受付に並ぶ。と言うより、ミサさんが対応している列に並ぶ。


「はい。お次の…マイさん!良かった!ご無事だったんですね!」

「ええ。全く、奇跡ですよ。本当に殺されるんじゃないかと思いましたからね。」

「まあマイさんのことです。なんだかんだで戻ってくると信じてましたよ。」

「なんですかそれ。私は不死身じゃないですよ?」

「不死身って身体中に書いてませんか?」

「戻って早々ですが絞めてあげましょうか?」


 ツルを伸ばし、ミサさんの首元を狙う。


「あーちょっと今日は首は凝っていないので大丈夫ですよ。それより、何だか怖い目つきをしている女性の方がいますが…。」


 ミサさんはケリンを見ていた。


「あー、ケリンさん。これは私たちの挨拶です。別にミサさんは私を…あーいや馬鹿にしてますね。」

「何だと?雌花を馬鹿にするとは。マイ。この女を殺しても良いか?」

「え?!」


 ミサさんびっくりである。


「あー、やめてあげて下さい。いや、ミサさん。本来ならどうぞって私言っちゃいそうなんですが…この方は多分本当に絞めるタイプです。」

「え?冗談利かないタイプですか?」


 ミサさんは更にびっくりであった。とりあえず、状況の説明をしたいと言ったら、ここだと後ろを止めてしまうとのことでギルドの奥の方に移動することになった。ミサさんは紙と筆記用具を持ってくる。


「マイさん。色々聞きたいことがあるのですが…まず、その姿勢どう言うことですか?」

「そのまんまです。」


 私は椅子に案内されて早々、机に突っ伏してしまった。シュウ君が「お姉ちゃん大丈夫?」と聞くので「お姉ちゃんだいじょばない。」と言い返しておいた。


「相変わらずだらしないですね。誰に似たんですか?」

「貴女です。」

「私仕事するときはシャキッとしてますよ?!」

「家では?」

「それは…って、関係ないじゃないですか?!」


 冗談抜きで私は疲れているのである。散々であった。

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