雄花達の脅威
「総括リーダー!いるか?根っこの襲撃について重要参考人を連れてきた。入れてもらえないか?」
少しすると、扉が開いた。かなり堅いの良い男性が立っていた。
「おお、それは大変助かる。さあ、入ってくれ。」
ハンター達の総括リーダーの案内のもと、中に入る。
「うむ。見たところ…魔物なのかお前は?」
「ですね。」
「喋れるのか?」
「ええ。」
「…お前は誰の魔物だ?」
「シュウ君です。知っていますか?時折、ハンターギルドに顔を出している男の子です。」
「うむ?デレナール領のギルドで良いんだよな。」
「ええ。」
「うーん、いたか?」
「あ、俺は見たことあるっすよ。たまに栄光パーティーと話してますっすよね?」
「あーまあたまに話していますよね。メインだと受付嬢のミサさんでしょうか。」
「そうそう。話してるっすね。」
総括リーダーの他にも数人ハンターがいることがわかった。私は数年ギルドに定期的に行っている。その結果、見たことがある…という証言があるだけでも大変ありがたい。
「それで根っこについてどう言った情報を持って来たのだ。知っているかわからぬが、ギルドの依頼でここら辺の魔物の調査をしていてな。今、根っこの魔物に襲われて調査出来ない状況なのだ。トレントを疑ったが…それにしては本体が見つからぬ。しかもかなりの魔術師を動員して燃やそうとしているのだが…全然効果がないようでな。」
「お前ら、言わせておけば…」
「ケリンさん。落ち着いてください。気持ちはわかります。分かりますが、ここで手を出したら全部終わりです。」
ケリンさんから若干殺気が漏れている。一部のハンターがビクッとしたので私は宥める。
「確かお前はマイだっけ?」
「ええ。覚えてくださって幸いです。」
「確かお前らはハンターじゃなかったよな。何でここにいるんすか?」
「あー、あれですよ。ミサさんが私に土下座してここの状況調べて欲しいってお願いして来たんです。それで色々調べた結果…まあ、残りは被害者から直々説明した方が早いですかね。」
私はケリンを見た。
「被害者?被害者とはどういうことっすか?」
「なあマイ。手を出さないなら何でも良いんだよな。」
「口論であればどうぞ。」
「わかった。じゃあ単刀直入にいうぞ人間ども!」
ケリンの怒りが爆発した。
「今お前ら人間どもが攻撃しているのは俺のおじいさまだ!というよりここいら一帯は俺らの住処だ!それを良くものうのうと土足で入って来やがって…俺も俺も兄弟もおじいさまも最近毎日戦々恐々なんだぞ!ふざけるんじゃねえ!!!」
あまりの殺気に私含め全員が怯え上がった。
「マイが来なければもう時期俺ら総出で人間の住処を襲撃に行くところなんだぞ!今でも俺はてめえら全員今すぐぶっ殺してえんだ!マイに止められてるから手を出さないだけだ!今すぐここから出ていけ!!!」
ケリンからはハァハァとまだ言い足りないオーラが漏れていた。しばし沈黙が続く。総括リーダーが口を開いた。
「要はお前らの住処に足を踏み入れた。そういう意味で良いか?」
「そうだ!」
少し沈黙する。
「であるならばお前がいる前で言うのもあれだが尚更駆除しなければいけないのではないのか?」
「は?」
私が思わず声が漏れた。
「何しろここまで被害が拡大している。即ち駆除しないことには我々も安心して眠れないのだが…」
「何だと?!」
「はぁ…」
駄目だこりゃ。仕方がない。私が仲介に入ることにする。
「リーダーさん。自分達の街で考えてみましょう。皆さんが住んでいる領土にいきなり集団で魔物が攻めてきて門やら障壁やらをぶっ壊して乱入してきたらどうします?」
「それは勿論ハンター総出で駆除する。」
「その後は?」
「まあ、そしたら魔物の巣窟を探し出して駆除だな。」
「ですよね。今それをケリンさんの住処でやってるのが貴方達ですよ?現状、住処を人間に襲撃されて駆除している状態。この後は巣窟である人里に襲撃しに行きますよ。このままでは。」
「だったら、駆除し切れれば問題ないだろう。」
「あーそうですね。でしたら絶望を教えてあげましょう。今、貴方達はケリンさんのおじいさまを攻撃していますが…本音言ってほぼノーダメージです。」
「何??」
「だって、貴方達が攻撃しているのはそこら辺の木で例えると、枝先の本当の先の部分だけですよ?本体にたどり着けない貴方達に勝ち目はありません。」
「………」
「もっと本音を言えば、ケリンさんもそうですが、人間からは目視できない範囲からの遠距離攻撃が可能です。おそらく、攻め込まれているとか守衛が気づく前にデレナール領は崩壊します。そんな化け物を貴方達は敵にしているんですよ?これが最後の警告ですが…私自身も撤退をお勧めします。人間では100%勝てません。ドラゴンの方がまだ可愛いですね。少なくとも人間が見える範囲で攻撃して来ますから。」
これで駄目なら私はもう知らない。シュウ君引き連れてあの街出ていくわ。後は勝手にどうそ。知ったこっちゃない。