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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
雄花と雌花
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雄花の意図

「他何か質問あるか?」

「うーん、あ、私よく分からないんだけど、雄花と雌花ってどこ基準で判断してるの?私から見るとどっちも女の子とかケリンさんは女性なんだけど。」

「ああ、そうだな。まず分かりやすいのは人間でいうところの胸だ。マイさんで大丈夫だよな。マイさん既に胸が膨らみ始めているだろう。それが雌花の特徴だ。雄花は膨らまないんだ。」


 ケリンも自分の胸を指差すがまな板であった。私は確かに成長し初めといった感じである。私的には前世男だし、あまり膨らんでもらっても困るんだけど…そういう体らしい。


「でもケリンさん。ケリンさんは私の花を見て初めて気づきませんでした?」


 私は手で帽子をクルクル回しながら言った。まあ、さっき会った時は結構距離があった。私の胸的に発達中なのでそこで判断は難しいだろう。


「マイさんは自分の花を見たことあるか?」

「え?ま、まあ…昔湖で見たかしら。」


 他にも人間と関わる様になってから鏡で見たことはあった。街の中には服屋もあり、鏡も置いてあったのである。


「だったら、えーっと…あ、ちょっと来て。」


 ケリンが6歳ぐらいの雄花を呼んできた。


「彼の花を見てくれないか。知っているとは思うが触ったらダメだ。」

「ええ、それは同じなのね。」


 私達にとって花とは急所の様な存在。触られれば人間換算で自身の急所を触られているのと同じである。本来はジッと見られるのもアレなのだが、まだこの子は子供中の子供。そこまでプライドはないのであろう。そして見てみて気づいたことがあった。私の花の内部は中央に雌蕊、その周りに雄蕊がついている様な構造である。花弁は全然違うがユリを想像すれば分かりやすいか。そして、私は自分の花を見たときに気になっていたことがあった。私の花には雄蕊っぽいのはあるが、(やく)という…まあ言わば花粉が作られる場所がないのである。そしてこの子供の雄花を見て納得した。雄花の中には雄蕊があり(やく)がちゃんとある。もちろん子供なので形だけで花粉はまだ作られていない様であるが。そして中央にあるはずの雌蕊はなかった。要は雌蕊のあるなしで雄花か雌花か判断出来るのである。


「あー確かに構造全然違いますね。」

「だな。私も雌花を見るのは初めてで…ちょっと興奮したが…」

「セクハラするなら縁切りますよ。」

「そ…それはやめてくれ。」


 人間でも男性は女性の裸体なんで見たらそれこそ興奮するだろう。逆に女性からしたら男性の裸体なんてそんな興味はないはず。筋肉隆々なら知らないが…。そんな感じなのであろう。まあ、前世男性の私である。ここら辺は実際のところどうでもよかった。


「じゃあ後は…急に呼びされたので嫌味言って良いですか?」

「…一応聞こう。」

「本来雌花は山奥に過ごしていて会いにくいのでしょう?私は山奥ではなく人里暮らしです。会いやすくて良かったなんて思っていませんか?」

「あーそういう意味では確かに会いやすいといえば会いやすいが、我々からしてみれば厄介な場所にいることには変わらないな。」

「え?そうなんですか?」


 マイは色々鈍感であった。魔物にとって人間は脅威そのものなのである。確かに山奥に住んでいる強力な魔物に比べれば人間は優しいかもしれない。とはいえども人間には変わりないのである。迂闊に近づいたら駆除されてしまう。どんなに雄花雌花問わず人間の女性と似ていたとしても。ぱっと見では気づかれないにしても。本当に駆除されるかは置いておいても、その様に洗脳されているのであった。要はマイは無意識のうちに雄花が近寄りにくい場所に住んでいたのであった。結局は野生の本能なのであろうか。それともマイが前世人間だからであろうか。まあ、どちらにしろマイが住む場所は結局雄花にとって危険な場所なのであった。


「まあこうして会えたのも何かの縁ということだ。」

「縁かぁ…私ってなんでこんなにも面倒臭い縁ばっかり出来るのかしら。」

「…ちゃんと説明して理解してもらった瞬間それか…。」

「あーケリンさん。そういう意味では感謝していますよ。私ここにくる前まで貴方達に殺されるのではと恐れていたぐらいですから。ここまで親切にしてもらったんです。早々裏切ることはしないから安心してください。むしろ、私人間の街も飽きてきたぐらいなんでたまにはここに遊びにきて良いかなぁとか思っていますし。」

「本当か?!」

「良いですよ。ただし、会うたびに求婚連打されたらドン引きしますが。そんなに結婚したいなら私を振り向かせる行動してください。」

「おおー!」


 最後の発言をしたのはケリン以外の雄花ではあったが…ただ、ケリンはちゃんと雌花に対してやるべきことはやっていたのであった。


『ケリンよ。お主を呼んで正解じゃったの。この子達ではその雌花に嫌われておったかもしれぬ。』

「呼んだってどういうことですか?」


 私は気になったので聞いてみる。


『ケリンは既に1600歳を超えておる。本来は一人暮らしなんじゃが…マイで良いかの。お主を呼ぶ際我らが拒絶されても困るからの。ちゃんとした対応ができるものを呼んでおったのじゃ。』

「それ本人の前でネタバレします?」

『構わんじゃろ。お主の様子を見る限り、それで我らから手を切るなんてことはしないじゃろ。』

「なんかムカつきますね。」

『我は12000年は生きておるんじゃ。大体雌花というより全員の性格は分かる。』

「はぁ…もう好きにしてください。」


 私は結局相手の掌で踊らさせているなぁと後悔するしかなかった。その時、ここからかなり離れた場所から爆発音がし…煙が上がった。

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