繁殖方法
(こんなに色々情報を貰うとかえって困るんだけど…)
更におじいちゃんの話によると…やっぱり私はまだ未熟児で、私達の生態系について無知すぎないかと疑問視されてしまった。私のおばあちゃんは気さくな木であまり色々教えてくれなかった。しかも、おばあちゃんは私が生まれて100年ぐらいで力尽きている。その二つが私を無知のまま育ててしまったのであった。
『全部を説明するのはちと難しそうじゃの。ケリンよすまない。また人間共が来ている様じゃ。わしはそっちを対応するので、必要だと思う情報をその雌花に教えてやって欲しいの。我々以外の雄花に狙われても困る。』
「わかりました。」
そこからと言うものケリンと呼ばれた20代ぐらいの雄花は私に色々教えてくれた。私自身も私が何者なのか知りたかったので色々聞いてみた。その結果…魔物の種類についてはよく分からないみたいであったが生態系については大体理解出来た。詳しいことは後で説明するとして、人間にもわかりやすく説明するのであれば…私こと雌花は人間でいう卵子、ケリン含む雄花は精子と考えると大体納得できる。卵子1個に対し精子は数億の数で受精卵になるために襲い掛かる。そんなイメージ。精子は射精された後、子宮を経由し卵子まで到達する。ただ、そこにはさまざまな障害物があり子宮にすら到達できない精子も多数。到達しても母体が持つ白血球で大抵の精子は食い殺されてしまう。そんな中、辛うじて全部の障害物を切り抜けたエリート精子のみが卵子に到達し最後の争奪戦を繰り広げるのである。これが受精卵になるためのシナリオである。
(まあ、具体例も難しいけど…私のこの生態系結構面倒臭いわね。よく絶滅しないわ。)
私達の生態系による雌花…それは卵子同様ポンポン作れるものではない。かなりの養分を有するとのこと。そのため、雌花を生じさせるおばあちゃんの様な木は山奥のそれこそ強力な魔物が住み交う場所に拠点を作らざるを得ないとのこと。それでも一つの雌花を生じさせる際には半年レベルを要するらしい。しかも生まれても未発達な場合が多く、色々な要因で大抵死んでしまうとのこと。ここら辺の要因はケリンに説明されるより私の実体験があるからそっちで大体納得した。
(要は生き延びた雌花はみんな優秀なのね…凄いわね…私そんなに優秀なのかしら。)
第三者目線で言おう。エリート中のエリートである。と言うよりそうでなければ当に食い殺されてる。マイはそこら辺は鈍感であった。そして、雄花は…これも精子同様大量生産が可能なのである。最も人間の精子に比べればそんな億単位とかそう言う次元ではないが。必要な養分も雌花に比べれば非常に少ない量で済む。それゆえ強力な魔物が住み交う山の奥ではなく、ここみたいに魔物がそれほど強くない平地の森の中とかでも十分とのこと。更にそれだけ養分量が違っても月1単位で花が作られるらしい。生まれたての花はこれは雌花同様未熟児が多いらしいが…雌花の環境では私の知っている色々な要因で大抵即死であるものの…雄花の場合、周りに強力な魔物が少ない。その為、ある程度成長するまでに生き延びれる子がかなり多いとのこと。それ故雌花に比べ爆発的な量の雄花が生成される。まあ、土地に対してそれだけ雄花が生まれると言うことは食糧争奪戦が始まってしまうらしいが…。私達は日光と腐葉土があれば生きれる。しかし、雄花が大量生産されると腐葉土が枯渇する。私だって、おばあちゃんの住処だった場所はおばあちゃんが死んで50年ぐらいで大分ダメになってしまった。それが、これだけの雄花が生息するのである。腐葉土だけでは到底生きれない。その為、雌花と違い雄花は狩りもしながら生きていくとのこと。逆に狩りが出来ない雄花は餓死してしまうらしい。かわいそうなものである。
(私雌花でよかったわー。狩りなんてしたくないし、ぼーっと日光浴していれば良いんだもの。)
マイ。それは違う。実際マイも土地が枯れたら移動している。要は雌花は狩りを殆どしない代わりに腐葉土がある場所を求め続けなければならない。そして腐葉土が十分な場所は腐葉土が沢山作られあまり使われていない場所。言わば、強力な魔物の住処ということになる。要は雄花より雌花の方が明らかに危険な場所で生きなければならないのである。これが、雌花が少ない理由であった。更に雄花は雌花が住んでいるところの魔物に対処出来るレベルがそんなにない。雄花は普段から狩りをしているが、まあ雌花からしてみれば雑魚ばっか相手にしている。そんな雄花がはいそうですかと雌花の住処にいけないのである。逆に雌花は狩りをしていないかといえばそんなことはない。自己防衛のため強力な魔物をどんどん殺している。食べないだけである。マイの場合は殺すことに戸惑いがあるため、全員束縛放置なのかもしれないが、結局全員餓死させていることには変わりない。そういった経緯があり、雄花と雌花が会うには雄花が雌花を探すより、たまたま花粉が運ばれて雌花に到達し雌花の方から山を降りてくるの方が一般的であった。




