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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
同位種からの警告
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「花」の日常

 今回から新たな物語が始まります。引き続きシュウマイをよろしくお願いします。

 某事件から春夏秋冬が一回り以上過ぎ、春になった。森も花の開花シーズン到来である。私はいつも通り、光合成が出来る場所でエネルギー補給をしている。まあ、言っちゃあれだが暇であった。


(確か今日は孤児院行く日だっけなぁ…)


 私は森で生活している植物の魔物だけど、ひょんなことから常に街にある孤児院に定期的に行くことになっている。まあ、原因は私の左腕についているこのリストバンドみたいなものなんだけど。青い宝石?みたいなものがついている。これが、魔物使いの魔物である証でもある。まあ、これがなければこんな街道近くの森で生活なんて出来ない。間違いなく人間に駆除されてしまう。


(今日もシュウ君元気かなぁー)


 三日前に会っているのにこんな感じである。シュウ君は…うーん、まあ一応私の主人となるけどまだ8歳の男の子だし…というより私の気まぐれで死にかけたところを助けてあげた男の子である。主人と名乗るにはまだまだ早いと思う。まあ、本人も私のことを姉の様に慕っているんだけどね。


(日光浴も済んだし行きますか。)


 街道に降りるときには注意点が二つ。一つ目は人気が無い時に降りること。森から10歳ぐらいの女の子が急に出てきたら皆びっくり仰天である。もう一つはちゃんと服を着ること…上と帽子だけであるが。下半身は擬似スカートが体についているから気にしないとして、上半身はブラジャーもどきを付けただけのほぼ全裸状態である。胸も若干膨らみがある。肌は植物の魔物とはいえちゃんと薄い肌色。服を着ないで街道に降りて歩けば大惨事である。あと、私の頭も左上にはオレンジ色の顔の半分ぐらいある大きな花がくっついている。人間の鼻ぐらいでは近くによらない限り花の匂いはしないみたいだが、他の魔物ではかなり遠くでも気づいてしまうことがある。森の中なら花を狙って襲ってきそうな魔物は速攻駆除しておしまいだが、街中は魔物使いの魔物である。そんなこと出来ない。そのため、臭い消しの効果もあるこの帽子で花を覆って街に行くのである。まあ、付けっぱなしは蒸れてしまうので森の中とかだと外すのであるが…街中も魔物がそばにいない施設のみ外す許可は一応降りている。そこら辺は外すか否かは臨機応変にしていた。


(孤児院ついたわね。)


 街には門があるが、私は他の人間と同じように守衛に頼めば簡単に入れて貰える。と言うより、1年以上そんなことやっているので最早顔パスである。5秒ぐらいで通して貰える。非常にありがたい。私は孤児院の扉をコンコンと叩く。


「あ!お姉ちゃん!」


 扉が開いて早々男の子が私に抱きついてきた。シュウ君である。彼を助けて2年弱。私にしてみれば2年なんて何も変わらないがシュウ君にしてみればかなり身長が伸びていた。まだ私には全然届かないが後数年もすれば追い抜かれるだろう。まあ、私の祖母は2万年は生きていたらしいし、寿命の概念から私の成長は人間に比べるととんでもなく遅いのであった。


「シュウ君今日も元気にしてた?」

「うん!いい子にしてたよ!」

「そう。」


 と言うことで私は中に入れてもらった。孤児院の先生方と顔合わせする。


「マイさん。今日もありがとうございます。」

「いえいえ、シュウ君預かってもらっていますしいつものことですからね。」


 私が人間の子供の面倒を見れるのであればシュウ君と2人で森の中で生活なのであるが…森の中は魔物だらけだし、食べ物や衛生的にシュウ君が死んでしまう。そのため、孤児院に預けている。孤児院は10歳になるまで無料で子供の世話をする施設である。シュウ君も昔親に売られたらしいが、孤児院の子供はまあそういった問題を抱えている子供たちであった。大体私が孤児院に行くと、私は魔物だし給料とかも貰っていないのであるが…何故かシュウ君含め子供達の世話をする羽目になる。私の目的はシュウ君に会いに来るだけなのだが…まあ、そう言うものとして受け入れていた。こう言う性格が前世、人間の時に鬱になってしまった原因なのであるが…未だに前世で何が悪かったのかマイは理解していなかった。


「お姉ちゃんお姉ちゃん!今日は何して遊ぶの?!」

「僕また鬼ごっこやりたい!お姉ちゃん今日こそ捕まえるぞー!」


 子供たちは外で遊びたくてしょうがないらしいので孤児院メンバーを連れて午前中は中庭で遊ぶことになった。なんでも今日は鬼ごっこらしい。私運動神経良く無いんだけど…と言うより、私の場合体の構造上走れないんだけど…相変わらずの仕打ちである。


「今日は僕が鬼役でスタートね!10秒数えたらスタート!」


 孤児院のとある男の子が鬼でスタートらしい。この鬼ごっこ、ちょっと私が知っているルールとは違って…と言うより私が故意的に改造したのであるが、捕まったら捕まった子も鬼となり捕まえた子も鬼のまま続行する。要は制限時間までに鬼にならなかった子が勝利となる。全滅すれば鬼が勝利…要は全員勝利。そして、このルールにしたわけは簡単。私の修行になる。

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