「人」と「花」の価値観
(うーん、漏れない限りだと…私はこれしか食べれないのかしら。)
ピザはかなり大きい。人にもよるかもしれないが、1つ大人1人前レベルの大きさであった。それを私は半分も食べることが出来ない。いや、お腹にはいくらでも入るが…花から蜜が漏れてしまう。
「マイさん?どうしました?まさかもうお腹いっぱいなのですか?」
ミサさんに至っては既にピザをほぼ1枚弱平らげていた。シュウ君も男の子だからだろうか、半分以上は既に食べていてもぐもぐしている。最も当本人は
「うーん…このピザ大きいよー。食べきれないー。」
とか言っているのであるが。一応だが3種類のピザを頼んでいるものの皆んなで分け合おうという形にしたため、各々を3等分に分けて3種類で合計1枚という換算になっている。全員が全ての種類を口にはしているが…私は全部が半分も食べれない。シュウ君は2種類を食べて3種類目で格闘中。ミサさんは…あ、食べ終えたわ。
「うーん、いや…食べようと思えば食べれるんですけど…」
「そうなんですか?いえ、なんか手がもう止まっている様に見えて…お口に合わないとか?」
「うーん、これって言っても良いものなのかなぁ…。」
「え?何か入っていたりしました?」
「あーいえ、私のこれです。」
私は私の花を差しながらミサさんにいった。なお昼食中、室内ということで帽子は取っていた。捕捉であるが、私は既に帽子を取っても安全であることは確認している。この街は魔物使いがいるとはいえ過密にいるわけではない。ムサビーネ夫人の講座でも「あ、また同じ回ですね〜。」ということが多いくらい魔物使いは少ないのである。そのため、植物にも確認の上…今ここの建物内は魔物は私しかいない。要は匂いで襲われる心配もないのであった。
「その花が何か?」
「私もちゃんとした食事をしたことがないので気づかなかったのですが…どうやら物を食べるとこの花に蜜として貯まるみたいで…既に溢れそうなのです。」
「そうなんですか?」
ミサさんは興味津々という目で私を見ていた。そう言えばこの受付嬢、魔物オタクである。忘れてた。そして爆弾発言が飛んできた。
「じゃあ、その蜜をどこかに移せば食べれるということですか?溢れなければ良いんですよね。」
「…まあ、そうですね。」
「ふむふむ。あ、丁度良いですね。ちょっとコップ貰ってきます。」
「え?」
直感で分かった。嫌な予感がすると…今すぐこの場を立ち去った方がいい。命に関わることはないが、精神的に関わる事になりそうだと。そして、まあ…予想は的中した。ミサさんがコップを3つ持ってきた。もう何したいのか明確である。
「私、マイさんの蜜飲んでみたいんですよ〜。そして今溢れそうでマイさんは食事が出来ない。だったらこれに注げば…」
「ミサさん?やっぱり縛りましょうか?今回は特別に5首全部止血してあげますよ?」
「ええ?!なんでそうなっちゃうのですか?!?!」
人間換算で例えるととんでもない事である。食事の時間に「ちょっとトイレ行ってもいいですか?」と言ったら、「じゃあこのコップに出していいよ。それ私達で飲むから。」という様な内容なのである。たまったもんじゃない。シュウ君は何とか残りの3分の1を食べようと努力している中、私とミサさんでちょっとした口論になっていた。私は勿論、どういう状況なのかをミサさんに説明。勿論ミサさんはそれについては納得してくれた。ただ、その上で妥協しなかった。
「お願いですマイ様!破廉恥は承知の上です。ですが…私もどうしても飲みたい!それにマイさんもここで出せばまたピザが食べれるじゃないですか!」
「ミサさん。私の色々を捨てさせるつもりですか?こんな大衆の中でミサさん下半身出しておトイレできます?」
「で、ですが…私の想像だと、別に花から蜜をコップに注ぐだけ…」
「ああそうですよ!ですが、私の体感はそんな甘っちょい物じゃないのです!」
既に食事の場でとんでもない内容の口論になってしまっていた。まあ、どっちも大声で議論しているわけではない。誰にも聞かれていない…シュウ君は残念ながらだが…まあ、彼は目の前のピザに格闘していたが…為、大事には至らなかった。ただ、最終的に折れたのは…私だった。残念ながら私は圧に弱いのである。そして、キツい態度を示すこともあるが…根は優しく甘かったのであった。私自身の花の蜜の様に。。。
サブタイトルはカッコよくしましたが、結局内容は下ネタなんだよなぁ…