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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
「花」の危険性
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お詫び

「お姉ちゃん、お腹空いた…」

「そうね…」


 ちょうどお昼時である。私は植物の魔物。本来光合成を用いているので食事は不要である。また、天気なんて晴れ以外にも曇りや雨もある。それゆえ太陽光がしばらく受けれなくてもその程度で餓死するようなことはない。その為、お腹が空くなどあり得ないのであるが…今日午前中色々有りすぎた。その為、お腹がすいたより気疲れによる疲労が正しいのであった。


「私の花の蜜…飲む?」

「いいの?!」


 私は疲れすぎていて思考が停止していた。更にシュウ君には今日は物凄く感謝している。蜜を垂らすのは抵抗があるのだが、今日はまあいいだろう…そんな感じでボーッとしていた。


(えーっと…あー、そう言えば帽子取ってなかったなぁ…)


 花を隠している帽子は少しずつ慣れているとはいえ…やっぱりまだまだ蒸れている。その為、森の中の他…孤児院やギルドでは取ってしまうことが多い。ただ、今日はギルドに来た直後から色々有りすぎて帽子取ることを忘れていた。と言うことで帽子を取って…あー、コップを持ってくるのも面倒くさいわ…有ったっけ?…左手で花弁を抑え、頭を傾け花の密を左手に注ぐ。毎度恒例体に水が流れる違和感が体によぎる。


「はい、手を貸して。」

「うん!」


 シュウ君が両手を出したので花の密を渡した。


「美味しい!」

「そう、良かった。」


 シュウ君は手を嘗めていた。汚いがまあ別にどうでもいいか。私も手をちょっと嘗めてみた。


(うーん、まあ…甘いと言えば甘いか。)


 蜂蜜ではないが砂糖水と言うわけでもない。例えるのは難しい。


「何やっているんですか?」


 私達が座っているところにミサさんがやってきて座った。


「マイさんここに来るといつも伸びてません?」


 ミサさん早々突っ込みである。実際、お散歩がてらギルドに来たとき依頼掲示板とかを見ているときはまあ、適当に見ている。文字の勉強も兼ねてではあるが。なお最近気付いたことではあるが…子供の方が柔軟だからだろうか。或いは孤児院で学んでいるのであろうか?シュウ君の方が文字が読めているんじゃないか疑惑が出てきていた。私は植物のフォローの元で文字を読んでいる。


(まあ、孤児院なんだしそういった勉強もするのかな…私は魔物だから人間の文字を教えて貰える機会がないなぁ…)


 実際のところ文字において魔物が理解して云々は前例があるわけがない。依頼は魔物使いが受けてパートナーの魔物と共に達成していくのが普通なのである。マイとシュウの関係の方がおかしいことにマイは気付いていなかった。


(あー、ハンターも大変だなぁ。とりあえず今は寝たいわ…。)


 別にシュウ君はハンターではないので依頼の受理は出来ない。とはいえどうせそのうち10歳になったら何かしら受けないと生きていけないのである。私は植物なのでボーッと生きていてもなんにも問題はないけど。ただ、そういう依頼を見る気分じゃないときは今みたいに椅子に座って机に突っ伏していることが非常に多かった。


「どっかの誰か達がいたお陰でボロボロですよ…。」

「今回私はなにもしていませんよね?」

「すいません。気分が悪いんで絞めていいですか?」

「マイさんたまに意味不明ですよね。」

「もう意味不明で良いです。」

「これは重症ですね…。」


 私は完全にうつ伏せになってしまった。逆にシュウ君はまだ手を嘗めている。


「シュウさんは逆に何しているのです?」

「うん?お姉ちゃんがお花の密をくれたの!とっても美味しいんだよ!滅多にくれないから沢山味わっているの!」

「へぇ…そう言えば誰かから聞いたこと有りますね。マイさん、私にもくださいよ?私まだ飲んだことないです。」

「嫌ですよ。こっちの身にもなってください。ミサさんこそなんでここに座っているんですか?受付嬢の仕事は?」

「今私は休憩時間ですよ。あー、それに準じますが…ギルマスからこれを渡されましてね。」


 ミサさんはポケットから銀貨3枚を取り出した。大体日本円で3000円相当の価値である。


「今日のお詫びと言うことで私含め3人で何か昼食を食べてこいとの事でした。要はギルマスからの奢りですね。」

「奢りかぁ。別におごられる程の事やってないんだけどなぁ。」

「こういう善意は受け取っておいた方が良いですよ?」

「うーん、でも私植物だから食べなくても生きていけるし…シュウ君は孤児院だから昼食準備されていないの?」

「昼食有るよ!皆で配るの!」


 孤児院にはちゃんと厨房がありそこで料理が作られているとの事。ちょっとだけ見たことがあるが、確か給食の配膳形式だったかな。と言うことはシュウ君の食べる分は準備させているがお弁当箱みたいに個数が固定されていないと言うことである。多少の人数のずれはすぐ対応できるような形式になっているのだった。まあ、いつ子供が来るかわからないのだからこの方が良いのだろうか。

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