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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
狙われた花
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罪人の処理

「おお!びっくりした。上から来るのか。」

「ここは私のテリトリーですよ。こっちです。」

「すまない。何処に問題のハンターがいるか聞いていなかったな。個別に探すのはリスクが伴うので一緒に行動していたのだ。」

「大丈夫です。皆さんが行こうとしている方向と逆の方向なんですよ。」

「あ、そうだったの。」

「いえいえ、お伝えしようにもお伝えする方法がなくて…。」

「話は後だ。俺たちハンターが駆除しているとはいえ魔物がいないわけではない。森の中で呑気に会話するべきじゃない。」

「そうだな。」


 と言うことで、栄光パーティーメンバーと私とシュウ君は目的地の場所に行きました。


「くそ…どうなってんだ、解けねえ!」


 直ぐそこまでくると、連中がツルに縛られているのが見えた。


「あらら…貴方達、あまり見たことがないわね。最近ここの街に来たハンターかしら。」


 栄光パーティーの女性ハンターが声をかけた。


「そうだが?と言うより助けてくれ。よく分からんが襲われたんだ。」

「お前ら、一応聞いておくが…ここら辺一体は全面立入禁止だ。ハンターギルドにあるポスターにも書いてあっただろう。」

「あったぜ?だから俺らが魔物を駆除してやろうって乗り込んだわけじゃねえか。第一、ハンターなんだからそう言う場所を作っちゃダメだろ?ここのハンターギルドはなっちゃいねえな。」

「…受付嬢も説明していたと思うんだけど。別に人に被害をなす魔物だったらハンターギルドも動くわよ。ただ、ここはこの子の魔物の住処。とりわけ街道の側だけという森だし、ハンターギルドの方で許可を出しているんだから私達ハンターが勝手に(いじ)り回しちゃいけない事だわ。」

「は?だったら、てめえらもなんでここにいるんだ?お前らだって俺らと同罪だろ?」

「はぁ…お前ら、もう少し頭を使え。」


 栄光パーティーの男性ハンターが私達をみた。


「その住居人とその魔物使い直々クレームがハンターギルドに来たんだ。それとあのポスターには立入禁止区域内は命を落とす可能性もあると記載されていたはず。縛られただけで済んだだけ良かったと思え。」

「どういう事だよ?」

「そう…直々に分かりたい?」


 もう話が平行線になってると分かった私は愛想を尽かしていた。街へ行っていたので服やら帽子やらでどうみてもただの女の子であるが…実力は魔物である。右手を前に出すと、ツルが3人のハンターに伸びていった。全員が「ヒッ」とか声を出した。


「ここは私の縄張りなの。私は警戒心が強いから…危険を察知したら人間だろうが即刻駆除対象なんだけど。迷い込んだだけだったらここまで大袈裟なことはしないんだけど…シュウ君の魔物だし…ただ、明らかに貴方達私を連れ去るとか何かしら考えていたでしょ。」

「は?何を根拠に。」

「…先日、貴方達が酒場の地下で森の中にいるらしい希少な魔物を捕獲するという会議を開いていたそうね。しかも、その魔物がテイマーの魔物ということを理解した上で。」

「なんだと?確かあの時は誰もいな…」

「誰も?」

「…とにかくだ!その左の腕輪を見る限り、魔物使いの魔物だろ!俺ら人間を攻撃したとなれば、テイマーもクビでお前は処刑だ!」

「お、お姉ちゃん?!」


 シュウ君が私の腕を握った。


「そういうものなんですか?」


 愛想をつかせ、栄光のメンバーに聞いた。


「…今回の件は明らかに注意喚起を無視したアイツらが悪い。だからそのようなことにはならないだろうが、細かい決定は所属するハンターギルドに準ずる。」

「そうですか。」


 個人的には明らかに私を狙っての所業なので始末したいんだけど。私は確かに元人間。だが、今は魔物である。取り分け私は前世自身を苦しめていた人間を殺したいとまで思ったことがある。勿論、法律上駄目ではあるが。しかし今は魔物。そんなもの関係ない。取り分けここは私が拠点としているし、森は誰の物でもない。要は魔物が人間を殺そうが何も問題はない。まあ、こんな街道付近の森で人間の死骸があったりしたらそれこそハンターが動いてしまいそうではあるが。


「さて、森の中でいざこざをしていると野生の魔物に襲われかねん。すまないがシュウ君、君の魔物に頼んで彼らを解放してやってくれ。」

「え、僕?」

「そうだ。ハンターではないとはいえ、お前の魔物の所業なんだからお前にも責任があるんだぞ?」

「お姉ちゃん…。」

「はぁ…この子まだ6歳ですよ。まあ、彼らの両手を縛っておくという条件なら良いです。」

「あ?魔物が何命令しているんだ!」

「分かった。その条件で行こう。」

「おい!お前らも俺らと同じハンターだろ?魔物の言うことを聞くのかよ!」

「仕方ないじゃない。今回の件は明らかに貴方達の違反行為が原因なんだから。別に悪さしている自覚がないならそのまま無罪放免だから安心しなさいな。」

「ッチ。」


 あくまで私目線であるが、既に2点こいつらはボロを出している。1点目は…まあ分かりやすかったが、地下での会議についてちょっと刺激したら直ぐ動揺したこと。これについては「何の話?」的な返答でない限り否定であってもボロである。否定すると言うことはやりましたと言うのと変わらない。2点目としては、私が喋っているのにそれがさも普通のように会話をしたことである。それは確かに私は今は人間の女の子と変わらない。ただ、私が魔物ということが分かっても魔物が人間の言葉を喋るという事象について何らかの動揺すらしなかったことである。要は知っていた…故意的…ということになる。


(人間って面倒臭いわよね。)


 明らかな悪であっても直ぐに処罰はしない。いつも手続きだのどうだの。…私が、気づいたら人間でなく魔物になっていた原因もこれなのだろうか?とりあえず、私の感情に浸っていてもしょうがないので栄光メンバーの指示に従い、犯罪ハンターを連行して行った。途中で縛り付けていたハンターも回収。そのままギルドに向かう。ギルドではやはり手続きの上で今回の件を処理すると言われた。万一があった場合、私は人間共とやり合うことになるかも知れない。あくまで私は魔物。殺されるぐらいなら出来る限り道連れにする。まあ、流石にそんなことにはなるわけがないのだが。

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