表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
狙われた花
43/328

ハンターの奇襲

『姫様?お気をつけください。』

「うん?どうしたの?」


 何時ものように森奥で日光浴をしながら運動をしていると植物から声がかかった。


『先ほど街道から道を外れ森に入っていく人影を見たと報告が入っています。方向的にこちらに向かっているとの事。』

「シュウ君?」

『いえ、大人のハンターが3人とのことです。ギルドの植物によりますと仲間がもう一人いるとの事。更に立入禁止のポスターも見ていたとの事なので故意的かと思われます。』

「了解。ありがとう。」


 私は植物と会話が出来る。街中にさえ植物はある。情報戦の世の中でこの強みは私にとって強力な武器であった。後、ポスターと言うのは私が結構前にギルドに依頼したことで私が住み着いているところには入らないようにと言う警告であった。人間との余計なイザコザは避けたい。その一心で貼ってもらっている。まあ第一、この森は街道の側とはいえ一般人が入る意味など全く無い。自殺願望者ぐらいである。ハンターは魔物狩りや薬草採取で入ってくると思われたのでポスターを貼ってもらっただけである。まあ、文字とか読めない人間もいるのでたまに入ってくる人もいたが、その場合は見つからないように身を潜めていた。ただ、今回はどうも事情が違うらしい。


(お灸を据えるか?いや、ベテランハンターだとヤバイから本気で殺すか?)


 相手の中には弓を持っている者もいるとの事。ツルを使えば一瞬で木の上など登れるが、遠距離攻撃されれば意味がない。早めの対処を急する。


「侵入者は即刻始末するわ。後、1名についても何をしているのか調べて欲しいかな。他にもやましい行為とかしていたら情報収集お願い。」

『かしこまりました。』


 私は早速木に登る。魔物狩りと同じ感覚である程度の場所を植物に教えてもらい、奇襲した。「ギャー」とかうめき声が聞こえたが無視。逆に言えばそこまで接近を許してしまったことに不甲斐なさを感じた。まあ、街道の側で生活している点と植物からのタイムラグとかもあるので仕方ないと言えば仕方ないのではあるが。


(さて、どうしようかな。)


 相手が魔物であれば無視である。知ったことではない。ただ今回相手は人間であり、ハンターらしい。街から出て帰って来ないとなれば間違いなく問題になる。そして、惨状を誰かに見られればまあ私はお仕舞いだろう。シュウ君にも迷惑がかかる。


(仕方ないかぁ。お散歩がてらで…)


 私はあまり着たくはないが、孤児院の服と帽子を被り森を抜け街道に入った。街道と森の境界など無限にあるので侵入者に会わずに出ることなど簡単である。


(ちょっと遠いんだよなぁ…)


 普段は行く日にちをある程度定め、朝早く出発する。ただ、今はお昼時。まあ1時間半程度で着くが、微妙な時間になってしまう。


(次行く日は変えようかな。)


 別に私は気分でシュウ君に会いに行くだけである。次の日程をきっちり決めているわけではない。シュウ君にも大体次は…と言った感じ。まあ、行くたびに抱きついてくる癖は直して欲しいものである。まあ、可愛いから許すとなっている私も悪いが。


「おや?珍しいね。こんな真っ昼間に。」


 守衛のところを通るときに守衛に言われた。私には身分証明書はないが、腕にテイマーの魔物というリストバンドのようなものをつけている。また、私は単独行動で出入りすると言う旨も守衛には伝えてある。そもそも論、魔物とはいえ人型…10歳ぐらいの女の子であるし、服や帽子を被っている都合上外見は完全に人間であった。その為、周りの人々も特に何事もなく過ぎていく。強いていえば「こんな小さい子が1人で何しているの?親は?」ぐらいである。


「うん。ちょっと私が住んでいるところにハンターの侵入者が来てね。怪しかったから森に縛っちゃったので報告しようかと。」

「…森にハンターを縛りつけたのか?」

「うん。ハンターギルドの人には私の住処に近づくなと警告はしている。違反した場合、命の保証はしないとも書いてもらったはず。」

「どこら辺だ?」

「えーっと、地図がないと伝えにくいんだけど…だから取り敢えず、シュウ君に会って一緒にギルドに行こうかと思ってね。」

「そうだな。確かに早くギルドに行った方が良いだろう。シュウ君と言うのは確かお前のテイマーだったな。孤児院にいるんだったか?」

「そうだよ。」

「だったらお前は直接ギルドへ行け。守衛で手が空いている奴にその坊主を連れて来させる。そっちの方が早いだろう?」

「…じゃあそれで。」


 私は植物の魔物だが一応歩ける。ただし、走ったら転ぶと言うように早く歩くことも出来ない。一々孤児院へ連絡しに行くより私はギルドへ行ってシュウ君を待った方が早いだろう。何故1人で処理しようとしないかというと、あくまで私は魔物でありテイマーがシュウ君だからである。人間に喧嘩売るなら勝手に全部やっても良いが、ハンター等が絡んだ場合は取り敢えずシュウ君がいれば話が回りやすくなるのである。6歳児にそんなところまで求めていないけど、まあ魔物使いの責任という奴である。そんなことを考えながら、先にギルドに着いた。ちょっと待つ。


「お、お姉ちゃん?!ハンターさんに手を出したって本当!」


 シュウ君がびっくり仰天しながら私の方に走ってきた。守衛はいないので途中で別れたのだろう。


「嘘じゃないよ。それにどうやら、一般ハンターじゃないみたいだし。」


 植物達から情報を得ているが、捕獲したハンター達は最近この街に来たハンターらしい。そして、注意書きと街中の情報から私と言う特殊な魔物の情報を聞き出し捕まえようとしていたとのこと。人の魔物を取ったら犯罪である。それは普通だろう。前世でも家畜とか盗んだら犯罪である。それと同じ。更に万一を考えていたらしく、ハンターギルドに仲間を置いておき…魔物本体やその飼い主が来た場合には捕獲失敗とのことでどさくさに紛れて助けに行くように…と言う内密な会議までされていたらしい。予め言っておくが壁に耳あり障子に目ありである。残念ながら私は植物の魔物。砂漠のど真ん中とかじゃない限り私に害がある情報はどこでも入って来ちゃうんだよなぁ。

 ここら辺から本格的な物語が始まります。ストーリーの長さは私の気分で変わるので章の長さも不安定になりますがご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ