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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
テイマーの同僚
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好戦的な子供

「お姉ちゃん。提出物ってこんな感じで良いかな?」


 シュウ君が外にやって来て入寮の手続き書類を見せてきた。いや、私に聞かれても困るが…


「うーん、良いんじゃないのかな。特に文字とか間違っているように見えないし。」


 と、返事をしておいた。魔物だから本来人間の文字など読めるわけがないのであるが…私は植物との独学である程度なら読めるまでなっていた。書くことも出来る。


「ところで…」


 私はシュウ君の後ろを見る。そこには男の子が一人立っていた。


「あ、お姉ちゃん。彼はフェンと言うの。男子寮は1部屋2人で使うからもう一人の子だよ。」

「あー、そう。」


 私は感心なしに返答した。ただ、気になったので聞いてみた。


「シュウ君は2人で生活で大丈夫なの?私は寝るときは一人が良いんだけど。」

「大丈夫だよ。孤児院の時もそうだったから。」

「あー、そう言えばそうだったわね。私は第三者と一緒に住むの苦手なのよね…。」


 勿論、今世魔物として生きており植物以外が信用おけないと言う意味もあるが…前世においても極力休む時は1人が良かった。家族の介入も得意ではなかったし、他者との旅行とかは論外である。


「僕はフェンだ。よろしく。」

「あー、私はマイよ。彼は知っているとは思うけどシュウね。」

「ああ、聞いたよ。」


 彼はずけずけ…なのかは分からないが、私達の会話に介入してきた。


「さっきまでこいつと色々話してたんだ。寮の話とか、お前のこととか。」

「私?」

「聞いたんだけど、魔物なのか?と言うより喋れる魔物なのか?」

「………」


 私はシュウ君を見る。シュウ君は下を向いた。シュウ君は簡単に言えば圧に弱い。何か脅されたか?私は眉を顰める。


「大丈夫さ。僕は同じ部屋に住む同士での隠し事が嫌なんだ。逆に言えば、それ以上の事は聞かないしそれでどうこうするつもりもないし。」

「随分しっかりしてるわね。アリア様もそうだけど、本当に10歳なの?」

「お父さんがハンターだからさ。くよくよしないで堂々としてろってよく言われた。」

「そう。」

「シュウの持ち物を見てハンターっぽくって、だけどなんかハンターっぽくなくって色々聞いたんだ。」

「あー。」


 家族にハンターがいればシュウ君が持ち込んだものを見れば予想はつくか。そして、シュウ君は優しい…いや、少なくとも殺伐とした男の子ではない。それに違和感を覚えたんだろう。


「お姉ちゃん。ごめんなさい。」

「…良いわ。いずれバレることには変わらないし。残り時間でどう対策するかってだけ。」

「一応隠したいと言うなら僕も協力はするけどさ、まあ無理だとは思う。既に違和感丸出しだったから。君達を見ているとさ。」

「協力をしてくれるなら感謝はするわ。少なくともシュウ君の敵にならなければ私はなんでも良いから。」

「それにしても魔物かー。お願いがあるんだけど良いか?」

「何?」

「僕と戦って欲しいんだけど。」

「はい?」

「僕はお父さんの後を継ぎたいんだ。要はハンターになりたい。だから、魔物と戦いたいんだけどまだハンターになっちゃダメだってお父さんは言うし…だから、魔物と戦って経験を積みたい。」

「…はぁ。ハンターって戦闘狂しかいないの?シュウ君?どう思う?」

「うーん。フェン君。僕は止めておいた方が良いと思う。お姉ちゃんめちゃくちゃ強いんだから。」

「え?そうなのか?」

「とりあえず、戦うならこんな寮の真横は論外。後、私の行動決定権はシュウ君にある。そこら辺は聞いてないの?」

「えーっと、確かテイマーとか?」

「そう言うこと。」

「お姉ちゃん。僕ね、フェン君から戦い方学びたいの。」

「はい?」

「だってだって、僕もっと強くなりたいし…フェン君は武術科に行くんだって。だから鍛えてもらえるかも!」

「シュウはなぁ。見た限り一発KOな感じしかしてならない。」

「………」


 正論にやられてしまったらしい。シュウ君は私から見ても戦うといったオーラはないのである。寧ろ、魔力があっただけでも驚きである。取り分け、アリア様に色々弄られたとはいえ…初めてで魔法らしいものは使えていた点にももっと驚いたが。


「今日って、もう学校はおしまいなんだっけ?」

「えーっと、寮の資料は明日提出らしいし…多分そうだと思う。」

「そう言えば自由解散とかどうとかだったわね。確か放課後シュウ君ギルド行くとかじゃなかったっけ。」

「…あ、そう言えばリールさんとかが待っているんだった!」

「リール?リールって確かBランクハンターの栄光パーティーリーダー?」

「よく知ってるわね。」

「お父さんがたまに話してくれる。凄腕パーティーでしかも悪いことに力を振わないからって称賛している。でも、なんでそんなすごい人に呼ばれているんだ?」

「僕も栄光のメンバーなんだよ。」

「どうせ、入学した後だし軽くお祝いとその後の活動について話でもあるんじゃない?」

「なんだって?!」


 フェン君の顔からは動揺と賞賛と驚きと色々な表情が読み取れたのであった。


「ねえ。僕も行っても良い?」

「え?」


 シュウ君は私を見る。いや、見られても困るんだよなぁ。


「シュウ君。私を見られても困るんだけど…栄光達は大丈夫なの?」

「うーん。多分。お兄さんやお姉さん達には友達って言えばいいし。」

「友達?」

「え、友達だよ僕たち。」

「同じ寮室になっただけでか?…ハンターならまずは相手を疑うべきはないのか?」

「え…」

「面倒臭いわね貴方。貴方がどう思おうが知ったこっちゃないけど、逆にシュウ君がどう思っても干渉するのは良くないわよ?とりあえず、栄光に会うなら早く行きましょう。ここからギルドまで1時間弱はかかると思うし。往復で戻ってこないといけないんだから。」

「…確かにそうだね。」

「じゃあ、善は急げで出発ー!」


 と言うことで、私達は久しぶり…ではないが、デレナール領のハンターギルドに向かうのであった。

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