…私って花の「魔物」よね?
第二部開始です。アルビトラウネとは結局どう言った生態なのか?魔物が学校に通うとどうなるのか?…新たな強敵?まあ、色々詰め込んだので適宜お楽しみください。
「うーん、今日も良く寝たわー。」
森の中…私はいつも通り洞穴から出て、日光浴をする。私はアルビトラウネと言う魔物としてここの世界に転生した。アルビトラウネと言う種類は直近、私達の種が新種ではないかとして人間が勝手に付けた名前である。その為、具体的な意味らしいものはないのではあるが…どちらにしろ語源となるアルラウネと同じく植物の魔物である。その為、基本的な食事は日光浴である。他にも魔物であるがゆえ、他の生き物を捕食出来るが…私は殺すことが苦手な変わった魔物であるため光合成を日課にしていた。
(今日はなんか変な夢を見たわね…雌花の結婚式だっけ?私は今後どうなるのかなぁ。)
どうやら200年後の世界は夢オチだったようである。ただ、未来に同じことが起きると言うことをマイは全く理解していなかった。
(えーっと、何だっけ…確か今日は…あ、そうだ!学校よ!)
気付いたら春。植物の花も咲き始めているこの森だが…私は今日から学校に行かされることになっていた。学校とは勿論人間が通う学校である。デレナール領にあるグルトナ学校。10歳になった子供達が通う学校。私は確かに見た目は10歳の女の子なのではあるが…中身は魔物であり、この世界で150年以上は生きており、更に前世も数十年は生きていたので何のために行くのか全く分からなかった。
(まあ、シュウ君のことがあるし…取り敢えず行きますか。確か、入学式は午後からだったわよね。)
私は服と帽子を被り森から出るためにツルを使って雲梯していった。私は魔物であるから本来服や帽子は不要である。いや、本来は寧ろ邪魔でしかなかった。外見の詳細は省くが…何も着ていない私は、10歳の人間の女の子と殆ど変わらない。ただ、腰から足元にかけては葉っぱで出来た疑似スカートが生えており、胸元は葉っぱで出来た疑似ブラジャーが生えているだけである。他は肌色の全裸であった。
(今になっても服はあまり好まないわね。)
更に私の頭には少々左側に顔の半分程もあるオレンジ色の大きな花が付いている。これら総合でこのまま人里に乗り込んだら不審者となってしまう。いや、本来は魔物なのだが…。その為、上半身は服を着て、更に帽子で頭の花を隠しているのである。しかし、髪の毛も葉緑体が入っているのであろう…緑色であり…胸元の葉っぱも髪の毛も光合成をしている。服や帽子でブロックされると効率が悪いのであった。
(森は抜けたかしら…ここから徒歩か…街まで1.5時間…遠いわよね…。)
更に帽子には防臭魔法が搭載されている。と言うのも、私の花は魔物にとって物凄く美味しい匂いがするそうである。私が向かっているデレナール領にはテイマーも幾らか住んでいる。要は、帽子を被っていかないとテイマーの魔物が匂いに勘づき私を襲ってくることがあるのである。森の中で野生の魔物に襲われたら駆除すれば良いが、人里はそうは行かないので…帽子で対応せざるを得ないのであった。
(そろそろ、デレナール領に着くかしら。あ、守衛が見えてきたわね。)
10歳の女の子が1.5時間歩くのは本来酷であるが…魔物の私はそんなことでへこたれるわけがない。そして、このデレナール領は…私に対する扱いが魔物ではないのであった。
「はい。えーっと、次は…お、マイか。シュウに会いに来たのか?」
「あ、そうですね。今日から学校なんですよ。」
「お、マイも学校行くんだったな。じゃあ行っておいで。」
「はい。」
どう見ても、守衛と魔物の会話ではないのである。元々、守衛は外部からの敵を防ぐ役割を持っている。しかし、このデレナール領は非常に辺鄙な場所。他国や他領から攻め込まれることはまずあり得ない立地なのであった。その代わり1時間強歩けば、魔物の住みかである森がある。ハンターがある程度駆除しているとは言え0ではない。寧ろ守衛の役割は魔物から街を守る方が意味合いは強い。
(私って、やっぱり魔物としての威厳はないのかしら。)
そして私の扱いは、魔物としてではなく時折街に遊びに来る女の子としての扱いなのであった。私が人間に擬態し過ぎていると言う問題もあるかもしれないが…相手は私が魔物だと理解している。その上での対応であった。




