「転生者」の危険性
「ここーの教国は、人間絶対主義が多いのでーす。私も人間でーすが、私はそれを嫌っていーます。」
聖女様は私を見ながら言った。
「聖女様がそれを言って良いのですか?」
「ダメでーす。でも、貴女なら分かってくーれそうでーす。」
「そう言われてもね。私魔物よ。魔女と本質は違っても人間を憎んでいるわ。」
「貴女はそれでも、彼の元につーいてます。彼の安否を気にしていまーす。ある意味で、元人間だからで説明がつーきます。」
「………」
私は黙った。黙らざるを得なかったのである。
「お姉ちゃん。」
「うん?」
「どうして生まれ変わったと言うことがそんなにいけないことなの?だって、死んだら何かしらに生まれ変わるって聞いたことがあるよ?」
「そうね。論点は主に2つよ。1つ目は生まれ変わると言われていようがいまいが…結局は証明されていないと言うこと。それを実現してしまった生命体は研究に使われるかもしれないし、拒絶されるかもしれないし…要は周りと違うから駆除される可能性があるのよ。危険生命体としてね。」
「危険?」
「シュウさーん。シュウさーんは、私を見てどう思いまーすか?」
「え…えーっと、なんかこう…神々しいとか、綺麗とか?」
「そうでーす。シュウさーんは心が綺麗でーすね。」
シュウ君は美人に褒められたからか顔が火照った。
「たーだ、この国は違いまーした。この銀髪ーも白ーい肌も周りからかーけ離れてまーす。教国民ーは、私を危険な生きー物として直接言わーずとも、隔離しーました。両親にーは、教会に捨てらーれ…聖女と分かるまーでも、私は虐げらーれ…分かっても、一目置かれーてます。」
キャシーさんは物寂しそうな顔をしていた。恐らく、余りにも精神的にやられ過ぎてそれが彼女にとっての一般常識になっているのだろう。その為、周りに虐められても涙すら出ない。
「聖女なーので、殺されーませんが…魔物とかなーら、そして過去の記憶なんて持ってーるってバレーたら…それが人間の知識だっーたら…危機的ーとして駆除されまーす。断言出来まーす。」
「………」
私は唇を噛んだ。聖女がそう言うなら間違いないだろう。シュウ君も恐れた顔をしている。
「じゃあ、えっと…さっきの英語って文字も…」
「異国の文字でーすね。シュウさんーは、理解しない方が良いでーす。怪しまれまーす。」
「ねえ、念の為だけど…貴女の今の言葉が鈍っているのも英語と関係が?」
「わかりませーん。たーだ、生まれてこーの世界の言葉を勉強しーても流暢に話せまーせん。英語はちゃんと話せまーす。」
予想だが、母国語英語に慣れすぎておりこの世界の言葉…日本語に発音が非常に近い…へ適応出来ないのではないのだろうか。いや、前世海外の人々も長期に日本語を喋り続ければ日本語ペラペラの人もいたが…彼女は適応出来ない分類だったのではないかと推測すれば話が早くなる。
「お姉ちゃん。もう一つは?」
「え…ああ、そうね。もう一つとして異世界転生した場合…強力な能力を持っている場合が多いと言うこと。今ここにいる聖女様だって、シュウ君が知っている魔女様だって…どっちも本気を出したら大変になる未来が見える。人間はそうなるのを絶対に恐れる。だから、汚物は駆除というわけよ。理由なんて捏造すればやりたい放題だし。」
「大変?」
「聖女様ってあれだけの結界が貼れるでしょ。」
「うん。」
「聖女様の本気はよく分からないけど…例えばあの結界をもっと広範囲に広げれるとしたらどうなると思う?私の葉っぱが燃えるのを見たんだよね。」
「え…うーん、魔物が一気に燃える?」
「一瞬であらゆる魔物が消し飛ぶわよね。そんな力を持っている人間がいたら、人間側はどうすると思う?魔物側は?」
「うーん。魔物達は逃げ回るとか聖女様を狙うとか?」
「人間側では奪い合いでーしょう。実際、教国は私ーを国内は愚か、教会内に閉じ込めよーうとしてまーす。」
「そう。結局は殺し合いになって世界滅亡なの。となれば、根本を叩こうとする輩が絶対出るってわけ。勿論それの知り合いも狙われる対象ね。シュウ君もめでたく仲間入りよ?」
シュウ君の顔がやっぱり青くなった。
「貴女、自分のテイマーを脅すーの、良く無いでーす。」
「現実だしね。私を守るとはそういうことなのよ。だからシュウ君。他言無用。分かった?言っとくけど、私だって殺されるぐらいなら極力大勢を道連れにするから。」
「う、うん。」
「といーうと、マイさんも強力ーな魔物なのでーすか?」
「うーん、私はそんなに強く無いと思うけどなぁ。」
マイの特殊性は雌花である。後、聖女はマイの強さを舐めているようだが…おいおいフルボッコにされるとは当時思っていなかったようである。
まあ、これは王道っちゃ王道ですよね。周りとちょっと違えば排除される。とりわけ、日本は協調国家なのでちょっと周りからズレると即集団で排除しに動きます。代表的なのが「虐め」ですよね。大人も子供も全く同じです。