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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
残虐な聖女の正体
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教国における聖女の扱いについて

(とは言っても、この違和感は何かしら。)


 見られるのは分かった。しかし、その後そっぽを向くことが多かったのである。いや、フェンリル様を恐れる気持ちは分かる。いや、フェンリル様とは気づかずに狼の魔物と捉えている可能性もあるが…聖女様が引き連れているのである。街中に聖女様がいれば私の偏見かもしれないが、もっとこう…敬うとか親しもうとするとかそう言う感じがあっても良いのではないのだろうか?更に聖女様自体も国民には目もくれずそのまま歩き去るのである。


「植物さん。ちょっと聞きたいんだけど。」

『はい。』

「植物達が聖女を嫌っているのは分かった。魔物が嫌うのも予想が付く。で、ここの人達は聖女様をどんな感じで思っているの?やっぱり神の使いとか?」

『…姫様は洞察力が良いですね。ここの国民達は聖女様のことをあまり尊敬しておりません。寧ろ恐れている感じです。』

「恐れている?どう言うこと?」

『聖女様を見てみろよ。銀髪に肌白、青目と来たもんだ。そんな人間他に見たことねえ。人間は周りと違う人間を排除しようとするのさ。あの女は聖女になる前から元々そんな感じだったから虐げられてきてたみたいだぜ?』

『おそらくじゃが、聖女様が聖女様になった後も結局は大体的になったとはいえ…そういった風に見られているのではないかのぉ。人間とは面倒臭い生き物じゃの。』

「うーん、そうなのか。」


 聖女様がフェンリル様の側に行った時、従者達は「行くな」とは言ったものの…守る身でありながら自分達は安全圏から出ようとはしなかった。要は聖女様は「聖女」と言う名前としての冠は持っているが中の価値は誰も興味関心がないのかもしれない。或いは…


(確か聖女って誰にでも優しいって聞いた記憶があるわね。それと前世の記憶を組み合わせると…良い手駒にでも使われているのかしら。)


 マイの社畜時代の予想はこう言うところでは残念ながら的中してしまうのであった。暫くして教会に到着する。


「凄い!大きい!」


 シュウ君は感嘆していた。私は更に警戒する。一番億劫なのは「魔物なのに魔物じゃないとして潜入している」からである。王都の時もそんな感じだったのだが…結界と言う概念と聖女様からの警告が本能的に「この街は危険だ」とアラートを鳴らしているのである。王都に教会があるかは知らないが…聖女様のような「清らかに」と言う単語と魔物と言う「汚物」が非常にミスマッチである。


「では入りーます。」


 顔パスだろうか。警備員達は聖女様と分かると何も言わず…フェンリルもいるのだが…敷地内に通してくれた。


「聖女様。流石にフェンリル様を教会内にいれるのは…。」


 教会には上流貴族かと言わんばかりの庭があった。建物は中央である。小動物ならまだしも、巨大な狼を建物内は抵抗があるか。


「そうでーすね。フェンリルー様。教会はまーだ、フェンリル様を受け入れる準備が整っておりーません。」

「構わぬ。我はここ数百年山の中で生きてきた。ここがお主の住みかであれば我はこの庭で適当に(くつろ)ごう。」

「申し訳ありーません。」


 フェンリル様は庭の偵察と言わんばかりに私達から離れようとして止まった。


「聖女よ。お主の名前は何だ。」

「私はキャシーでーす。」

「ではキャシーよ。用が済んだら我のところに来たまえ。話したいことがある。」

「分かりまーした。」


 かくして残りのメンバーで教会内に入っていった。私は更に不安であった。建物内には植物がいないことが多い。おんぼろ孤児院が例外。要は私を守る仲間がいないのである。


「そうでーすね。すいませーんが、神父様ーにフェンリル様を受け入れた件報告お願いできーますか。私は一度休ーみたいです。」

「畏まりました。お客人は如何致しますか?」

「私が客間に案内致しまーす。旅の事でお話したーいです。」

「流石は聖女様。お客様優先なのですね。」


 かくして従者…聖騎士の護衛だったのかな?…は、去っていった。


「では貴方達はこちらに来てくだーさい。」


 そして気づいた。連れてこられた場所が客間じゃないと。客間にしては質素すぎるし、ベッドがあるわけがない。


「ここ、何処ですか?」

「私の自室でーすね。」

「え?」


 私は理解に色々苦しんだ。まず、女の子…少女が自室に客人を突っ込む意味が分からない。そしてもう一つ…質素すぎる。彼女は聖女のはずなのである。扱いがおかしくないか?


「聖女様なんですよね。」

「はーい。」

「魔物の私が言うのもあれですが…聖女様っぽい部屋じゃないと思いますが。」

「聖女様っぽい部屋ーとは?」

「あー、あれですよ。何かこう、豪華でベッドもどこぞのお姫様みたいで…結構広くて…」


 アリア様が一時期泊まっていたマリア公爵令嬢様の寝室を想像していた。


「私はーそう言う部屋は望みーません。上のー方で、そのような話しは聞きーました。たーだ、間に合っていないみーたいです。」


 聖女ってそう言うものなのかと私は頭がこんがらがってしまった。

 位が高ければ敬って扱ってもらえる?そんな主人公補正ブッパな物語ではありません。

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