結界の実態
「で、植物さん。さっきの話なんだけどけど…植物が聖女を嫌っているって。」
『ああ…姫様。姫様この結界の中に入って光合成しにくくなってると思わないか?』
「え…あー、まあ、言われればかなぁ。」
『私達も初めは特に何もだったんだけど…長くいると段々養分効率が悪化していると分かってきて。雨の量も減ったのよ。』
『で、何時ぐらいだとか回りと聞いたら大体聖女がこの街に結界を貼った時期と重なるって訳だな。だから全員聖女を嫌ってる。』
『姫様に聖女の情報が行くとき、大体皆さん姫様の状態を心配します。ここら辺の植物は姫様との交流が少ないですが…近場であればより姫様を結界と言う面と聖女と言う面で会わせないようにと必死になっておりまして。』
「うーん、とりあえず心配してくれてありがとう。聖女の正しい情報は調査させるにはちょっと厳しいって訳ね。」
『おう。悪い情報ばっかりと思った方が良い。』
「念のためだけど、この教国も作物とか育ててたりするの?」
『あります。彼らも不服らしいですよ。長期このままだと不作になって街が崩壊するかもですね。』
「あちゃー。」
聖女は魔物から人間を守るために結界を貼っているのかもしれないが…それが原因で今後教民は極論飢餓に追い込まれると言うことである。
(仕方ない。シュウ君使うか…。)
何で聖女がやったことなのに私が対処しなければいけないか謎なのだが…声かけにはいる。
「シュウ君。」
「うん?」
「聖女様に伝えて欲しいことがあるんだけど。」
「何?」
私がシュウ君に説明していると神獣様が反応した。いや、逆にシュウ君は理解出来たのか謎であった。
「うむ。確かにこの結界は色々不十分だ。我もそうだが…敵を弾くために弾いてはいけないものまで弾いている感じがしてならん。強いて言えば…力でゴリ押しで作った感が歪めん。」
「ゴリ押しですか。」
「うむ。先代聖女は力で押しきるのではなく回りを色々考えて行動していた。まあ、そのような行動になるまでに色々な経験を積んできたと言うものもある。奴が聖女に成り立ての頃は同じだったかもしれん。300年以上前の話だが。」
「そう言えば、あの聖女まだ聖女になったばかりでしたっけ。」
「多分な。うむ。あやつを教育している奴は誰なのだ。」
その答えが予想よりエグいと言うことはまだフェンリルは知らなかった。何とか守衛まで到着した。
「皆様にーは、私が住んでいーる教会に案内しまーす。あと、フェンリルー様。教国は魔物に敏感でーす。出来る限り目立たなーい様にしーたいです。」
「可能なのか。我はこの体格だが。」
「歩く分には無理ですが、我々から離れーないで欲しーいです。貴女達も宜しーくです。」
聖女様は私とアースを見た。
「マイお姉ちゃん魔物ってバレてるのー?」
「みたいね。聖女だけだと思うけど…。取り敢えず植物達に素性を調べさせてるし…何かしてきたら考えましょう。」
「してきたら遅くないー?」
「植物から情報が入ったらよ。」
「うーんー、まあ、見とくよー。」
私はBランク上位だのAランク下位だの言われているが…私本体は物凄く弱い。なのでやられそうなら相手が気づく前に殺らないと確実的に死ぬ。今は私より明らかに強い大地の妖精やフェンリル様がいるから多少余裕があるだけであって、本来であればもっと警戒する必要性がある。但し、私は人間に擬態化するのが上手すぎた。…厳密には似すぎている。それ故襲われる率はアースやフェンリル様より圧倒的に少なかった。
(守衛は大丈夫なのかしら?)
聖女様は守衛に色々交渉し、全員が中に入っていく。フェンリル様が通ろうとした際には色々引っ掛かったし…アースに至っては向こうが嫌悪をしてアースがあっかんべーをして揉めたり酷かったのだが無事通過した。私は素通りだった。
(うーん、楽と言えば楽だけど…私の魔物としての威厳ががが…)
後々私はシュウ君に魔物として扱ってくれない人々に対する愚痴を言いまくることになるのであった。シュウ君もテイマーとしてとんだ迷惑である。テイマーはカウンセラーではないのであった。
「何処へ向かっている。」
「聖女様が仕える教会だ。ただ、フェンリル様がいらっしゃったとは言えフェンリル様を今後どうするのかまだ未確定ではあるが。」
フェンリルは大きい上、実力がSランクレベル。デレナール領では関わっていた人間達全員ビクビクであった。ある意味厄介者を教国に押し付けれて満足しているのではないのであろうか。逆にこっちは大迷惑だろう。
「お姉ちゃん。皆から見られている。」
「そうね…。」
私はまあそれにはしょうがないだろうと思った。聖女様もいるが、フェンリル様もいるのである。アースについては「で、結局人間の里に入るけどどうするのよ?」と聞いたら「じゃあまた帰る時になったら伝えてー。シュウお兄ちゃんー連絡は毎日夕方だからねー?忘れたら泥まみれだからねー。」と言って転移魔法を使い帰って行ってしまった。




