心配性のテイマーと気楽な妖精
暫くシュウパートになります。マイが機能停止しているのでしょうがない。。
(お姉ちゃん…大丈夫だよね。)
シュウはその様なことを考えながら姉…厳密には魔物である…が渡してくれた葉っぱを握り…葉っぱの根本を摘まんでいるが正しいが…前に出しながら歩き続ける。シュウ君は10歳の男の子。他の通行人より足が遅い。更に横には女の子の見た目とは言え妖精がいたり葉っぱを掲げてたりと変な目で見られていた。
「チェ…人間ってこう言うところウザいよねー。潰そうかなー。」
アースはいつもならこう言うところの場合、人間に悪戯を仕掛ける癖がある。人間嫌いな癖に人間に悪戯する意味は分からないが…。しかし、この先に結界が貼ってあるらしいこと…シュウに何かあったら自分としてもマイにしても都合が悪いので悪戯はお預けにしているのである。やれば出来る妖精であった。
「お姉ちゃん、結界に気を付けてって…僕達も危険なのかな。」
「うーんー、向かいから人間は歩いてきてるしー、シュウお兄ちゃんは平気だと思うよー。寧ろマイお姉ちゃんはボクを心配してるのかなー。」
「え?」
「まあボクはーマイお姉ちゃんとかフェンリルとは違ってー全然問題なさそうだけどねー。」
アースは結構気楽であった。シュウの前に行き、後ろ向きに飛びながらシュウに声をかける。逆にシュウはより一層警戒を固めていた。
「アースちゃん。お姉ちゃんがこの葉っぱで結界を確かめろって言ってた。だから、この葉っぱより後ろにいて欲しいんだけど…。」
「うんー?うーん、まあ良いよ。」
アースは確かに悪戯っ子ではあるが、誰の命令も聞かない問題っ子でもない。「シュウが心配そうらしいからまあ良いかー。」程度のノリでシュウの後ろへ行く。そして暫く行くと…葉っぱが音をあげた。
「ウワッ!」
シュウは咄嗟に手を離す。葉っぱの先が結界に触れたのだろうか。急に燃え始めたのであった。落ちた葉っぱはヒラヒラ落ち…恐らく結界の内側に流れたのだろう、一気に全部燃え失くなってしまった。
「お姉ちゃん!!」
予めだが…葉っぱはマイではない。強いて言えば、人間換算でマイの髪の毛である。
「マジかー。聖女ってヤバイ奴じゃねー。マイお姉ちゃんー結界の中に入ったら即死じゃんー。」
逆にシュウはこれ以上前に進みたくないと怯えてしまっていた。
「うーんー、人間は奥から来てるしなー。やっぱり人間は平気っぽいなー。」
と言いながらアースは前に進もうとする。危機感が全くないアースに対し、シュウはアースを引っ張った。アースは妖精のため常に飛んでいる。その為、シュウの体格でも手を引っ張れば前進は簡単に止めれた。まあ、アースは見かけ年齢4歳ぐらいの体格ではあるが。
「アースちゃんダメ。アースちゃんも先進んだらお姉ちゃんみたいに…。」
「シュウお兄ちゃんー。マイお姉ちゃんをー勝手に殺さないでよー。葉っぱは燃えたけどー本体死なないでしょー。」
マイの体の構造で体から離れた葉っぱが燃えれば本体が燃える何て言う構造があったらヤバイのであるが…まあ、そんな生命体自体聞いたことないので問題ないだろう。
「そ、そうだけど…でも、アースちゃんがこの先飛び込んで…燃えちゃったら…」
「シュウお兄ちゃん心配性だなー。魔物や妖精なめちゃダメだよー。」
アースはケラケラ笑っていた。一応だが…なめるなめない云々問わずこの結界はSランクの魔物でさえ影響があるのである。魔物は全員避けなければならない。
「全くーほらー。」
アースは自分の髪の毛を数本抜いた。アースの特徴で何故か頭の頂上には植物の双葉っぽいものがくっついている…くるくるヘリコプターのように回っていることは突っ込まないが…。アースは大地の妖精であり良く土に潜るのであるが…その時、耳や口の役割をこの双葉が担ってるみたいである。どちらにしろ、それ以外の髪の毛である。
「フーッ。」
抜いた髪の毛を結界の方へ息を吹き掛け吹っ飛ばした。恐らく結界の中へ入っただろう。そのまま落ちる。
「ほら平気ー。魔物は知らないけどボクは体調変化無いからねー。問題ないさー。」
アースはそう言うとシュウの手を振り切って結界の中へ飛び込んだ。そのまま空中でくるくる回っている。
「ほらー、シュウお兄ちゃんも早くー!」
「あ…アースちゃん、待って!」
かくして10歳の男の子と見かけ4歳の女の子は何事もなく結界を突破したのであった。




