不思議な関係
「不思議だな。」
「はい?」
「お前…何故人間なんかの従魔をやっている?」
「え?」
「本来我の記憶では従魔は人間に支配されるものだ。だが、お前達はそのように見えぬ。寧ろ魔物のお前がこの子供の世話をしているように見える。」
「私達はこれが普通ですし…他の主従関係に興味はないです。」
「そうか…まあ良い。時折人間にこき使われて愚痴はおろか暴れる魔物もいるからな。我には関係がないが…。」
「暴れるですか…まあ、そこら辺を押さえてくれるのはシュウ君です。最も彼にそれは期待していませんけど…私にしてみれば彼が側にいれば良いのです。」
フェンリル様は黙った。私とシュウ君の関係は特別過ぎる。それ故一般常識を押し付ける…例えばムサビーネ夫人とかに対しては嫌悪を持っていたりする。私は私達の幸せを破壊する奴を許さないと言う行動パターンが多かった。
「さて、小僧もどうやら寝たようだが…まだかなり早い気もするが…」
「子供ですからね。」
「本題に入りたいが…方向はこっちであってるのか?」
「あー、ちょっと待ってください。」
私は植物に問い合わせた。ルート的にそれほどずれていなければ予め事前調査した植物達が教えてくれるはずである。
『おう。若干右寄りだな。山降りて少々左へずれていけば街道がある。そこを通れば着くと思うぜ。』
『でもさ、こんな魔物が街道ノシノシ歩いていたら駆除されるんじゃない?』
『それもあるが…聖女自体が魔物を駆除しているからの。姫様はそっちの方が注意じゃな。』
『結界の件もあったよな。姫様大丈夫か?魔除け…魔物避けらしいし。』
「そうね…側に行ったとき私の身に何が起こるかか。」
マイはまだ知らなかった。聖女の結界がどれぐらい魔物にとって恐ろしいものであるのかと言うことを。大体の評価では聖女は人間から清らかで優しいと言われている。ただ、それは人間から見た目線なのである。
「フェンリル様。当日は案内しながらなのでもうちょっとゆっくり移動出来ませんか?後、聖女様が貼っているであろう結界も気になります。魔物避けらしいので…フェンリル様や私に何をしてくるのか分かりません。植物の話だと、結界の中にいた魔物は全員消し飛んだと聞いています。」
「分かった。先代聖女も我は見ている。気を引き締めよう。」
斯くして私達も休息を取り…魔物に起こされて機嫌が悪い私だが…翌日再度、神獣、魔物、妖精、人間と言う凸凹パーティーは下山をし街道の側までようやく到着した。
シュウとマイの関係ってなんなんでしょうね?主従関係ではないですし、恋愛関係でもない。親友でも友人でもない。逆に敵対でもなければ、警戒、無関心でもない。うーん。