強引に冬の山を乗り越えた結果
「じゃあ、テイマーの命令だし処理しますか。」
「おい待て。まだかなり離れているぞ?それに確かにこちらに向かってきているようだが…まだ襲われてもいないだろう。」
「私は植物の魔物です。まだでは遅いです。敵意も全部分かります。細かいことはシュウ君かアースにでも聞いてください。」
「え、ボク分かんないよー!」
私はいつもの癖で木に登り…魔物が見えようが見えないが今に至っては植物の情報からある程度場所を特定し襲撃出来るレベルになっていた。
(流石に森の中。かなり強力な魔物みたいね。)
頭の中では植物の情報整理だが、既に遠距離射撃で魔物は既にツルに羽交い締めにされていた。敵にしてみれば美味しそうな匂いがある方向に向かっていっていたら急にツルにからめられ身動きが取れなくなる当たり理不尽だろう。しかし、自然界は理不尽の溜まり場である。理不尽で殺られたくなければ理不尽で相手を潰さなければならない。魔物の世界も人間の世界も変わらないのであった。
「シュウ君終わったよ。」
「あ、お姉ちゃん、ありがとう!」
シュウ君の気分も良く分からないが今日は抱きついてきた。まあ、悪い気持ちは無いのでシュウ君をいつも通り撫でていた。
「終わった?何をしたのだ?…魔物はまだ生きているが?」
「動かなければ問題ないです。」
「…確かに動きは止まっているが。」
「お姉ちゃんはツルを使って敵さんを仕留めるの。お姉ちゃん、あまり生き物殺したくないんだって。」
「なんだ。見かけに限らず優しいタイプなのだな。」
『まあ姫様の場合、永遠と魔物を固定するから実質殺しているんだけどな。』
「何処情報よそれ。」
『他の植物から聞いた。』
(なんでここまで私の事流れてるのよ。)
「うん?」
「あ、フェンリル様。ごめんなさい。ちょっと植物が悪態ついてたので。」
『失礼だな。』
他の植物が笑っていたのでこう言うタイプなのだろう。マイは植物から色々話を聞いているが、植物達も会話している。いわば人間換算の世間話程度でマイの情報も流れているのであった。斯くしてシュウ君も昼食が済んだので…再びフェンリル様に乗るなり縛り付けるなどして再出発であった。そして夕方である。既に一山を越えた後、ある程度下山していた。
「うー、流石に冷えちゃったよー。」
アースはブツブツ言っていた。流石に普段以上の標高かつ飛んでもない風圧で冷えてしまったらしい。人間なら凍傷レベルではなかろうか。
「私も若干変ね。」
私は手をグーパーしているのであるが…若干自分の体が固い気がするのである。冷えすぎて固まってしまったか。植物の体のため外環の温度による暑い寒いを感じにくいが…やはり寒すぎると影響が出るみたいであった。
「僕も寒かったよ…。」
シュウ君に至っては色々着込んでこれであった。ある意味日中のうちに乗り越えて良かったのかもしれない。山頂近傍で一晩は不味かったと思われる。まあ、山の高さ的に日本の富士山より圧倒的に低い山であったとは思うが…。
「ふむ。であれば暖を取るか。」
日も大分落ちてしまったので、下山途中のところで全員休憩中である。明日には下山をし、目的の教国に到着予定となっていた。早すぎるが、フェンリル様がチート過ぎるのである。アースやシュウ君が落ち葉や小枝をかき集め…フェンリル様が火をつける。私は前世とは違い火に対して必要以上に敏感になっていた。植物のため燃えてしまうのである。その為、燃やすための植物を集めることも出来ない。火のそばにも行くことも出来ない。精神的に辛い。まあ、落ち葉や小枝は人間換算で髪の毛なので集めることぐらいは出来たかもしれないが…。アースやシュウ君、フェンリル様が火を使って暖まっているのを少々離れたところから見ることしかできなかった。
(うーん、日が落ちるのが早いわね…光合成も出来ないし…私がシュウ君の食糧食べたら食べ物で生きているシュウ君がきついし…)
私は植物の魔物であり人間の子供よりは丈夫である。しかし、だからと言って無理をして良い理由にはならない。そこら辺が抜けているのがマイなのであった。
「今日はここで休む感じー?」
「うむ…そうだな。我だけなら問題ないが、人間の子供には荷が重いだろう。他の魔物も夜では行動が活発になるものもおる。」
「了解ー。じゃあ、明日また早くにここへ来るねー!バイバイー!」
アースは隅っこの方に行き魔方陣を展開して消えた。彼女は転移魔法を使える。魔女のようにチートではないので拠点とある一点のみであり更に自分自身だけと言う制約もある。
「あやつ何処へ行った。」
「多分拠点に帰りました。あそこの魔方陣と拠点を繋げているのだと思います。」
「転移魔法か。便利だな。我らもそれで行けないのか?」
「アースちゃんの転移魔法はアースちゃんしか使えないんだって。」
「前言撤回だ。不便だな。」
フェンリル様の評価が変わりすぎて困る。
「フェンリル様は転移魔法は使えないのですか?」
「我は無理だ。強力な魔法は使えるが…そのような微調整を要する魔法は向いていない。」
「そうなんですね。」
と言うことは、攻撃力は分からないが…生活的には魔女のアユミさんの方が便利なのかな。
「取り敢えず、シュウ君が夕食を食べた後は全員休憩にしますか。」
「それは構わぬが…夜間に襲われることを吟味しないといけないだろう。」
「それはこっち持ちかなぁ…シュウ君。寝袋か何かは持ってきてる?」
「えーっと、うん!あった!」
シュウ君のリュックはかなり大きかった。まあ、人間ではこれぐらい必要なんだろう。
「よし、シュウ君はご飯食べたらやりたいことやって寝て大丈夫だよ。夜間の襲撃は私が処理する。」
「うん!お姉ちゃん、ありがとう!」
とのことでシュウ君は携帯食を食べ始めた。やはり質素である。シュウ君の体格的と予算的にリュックに詰め込めるのには色々限界があった。
皆んなは絶対真似しないでね?
さて、全く関係ないですが…前回の後書と同じく…
会話型物語第二弾としてin2xで以下のキャラを作ってみました。
https://joy.in2x.com/share/profile?shareId=211748191&lang=ja_JP
精々3キャラ目まで作ってみたいと思っておりますが…なんだか既に生成AI物語に不穏な雰囲気が…
なんか物語を操作しにくいんですよねぇ。もうちょっと調査してみます。