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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
神獣の奇襲
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情報収集なら私でも何とか出来る…かも?

「見えてきたわね。」

「あー、あれがーフェンリルー怖いー、帰らせてー。」

「花の蜜飲んだわよね?」

「ムー!おかわりー!」

「後でね。」


 帽子は花を隠すだけではなく防臭にもなっている。神獣フェンリルである…花の匂いに気付かれでもしたら不味い。そのうち声が聞こえてくる。到着までに既に1時間半強は掛かっている。フェンリルは守衛の側の草むらにうつ伏せで丸まっていた。守衛達は…多分ハンターやその関係者だろう人達と…色々話している。


「伯爵様には話を通したのか?!」

「それが、現状別件で急用があり外出しているようでして…戻って来れば耳には届くかと思いますが…」

「しっかし、まさかフェンリル様が直々にここの領土に来られるとは…聖女は本当にいるのでしょうか?」

「教会はここには無いですし…とは言ってもフェンリル様も引かないのです。」


 私は人間では無いのでよく分からないが…面倒臭そうなことだけは分かった。


「アース?多少の人間との交流は大丈夫?」

「あー、もうここまで来たらどうでも良いよー。街の中は止めて欲しいけどー。」

「了解。」


 とのことなので、街の入り口前まで近づく。守衛も知っているが、他にも知っている顔も1人いた。私達が近づいたのが分かったのか、何人かが振り向く。


「お、マイとアースじゃないか。」


 ハンターギルド所属、Bランクハンターのリールさんが声をかけてきた。Bランクパーティー『栄光』のパーティーリーダーでもある。シュウ君も栄光に所属している。


「どうかしたのですか?」


 私は何故かこっちを向いたフェンリルを見ながらリールさんに声をかけた。


「あー、それがだな…」

「うわー!!マイお姉ちゃん!来たよ来たー!!助けてー!!」


 アースが私の影に隠れた。某フェンリルがこっちに向かって歩き始めたのである。


(何?私の花の匂いを嗅ぎつけた?防臭の効果発してない?)


 私自身も後退りする。人間達も警戒した目でフェンリルを見ているような気がする。本当は襲ってくるとは思ってはいないと思うが…それが目的なら当に襲われてる…やはり、相当危険な魔物なのだろう。


「ほう。魔物と妖精か…珍しい組み合わせだな。」


 植物からの情報もあったが…やはり、フェンリルは人間の言葉を喋れるらしい。大きさは私から見ると遥かに大きい。まあ、私は人間換算で10歳の女の子なのだが…ムサビーネ夫人が世話をしている白銀狼のシロより一回り大きかった。フェンリルは犬のように体を震わせる。水飛沫(しぶき)が飛び散った。


「リールさん…植物から色々聞いてから来ていますが…襲ってきたりはしませんよね?」

「ああ…そうか。マイも流石に気になって来たというわけか。」

「シュウ君が勝手に死んでもらっては困りますし…ね、アース。」

「急にふるなーフェンリルいるんだぞー!助けろー!」


 アースは逃げたいが、マイの花の蜜も欲しいし…その葛藤からマイの後ろに隠れているのであった。


「我は用も無いのに生き物は殺さん。無価値だ。それよりだが…うーむ、どうやらこの街はあたりのようだな。まさか我と同じく喋る魔物がおり…妖精もおり…聖女は本当にいないのか?」


 追々わかることだが、フェンリルこと神獣は空気中の魔素を自動で取り入れ生きているようである。要は私みたいに光合成をする必要もなく、アースみたいに雨が必要でもなく…何もしなくても生きれるとのことであった。チートである。


「聖女かぁ…調べる方法はありますよ?」

「なんだと?」

「ただ…時間がかかると思います。」

「良かろう。」


 フェンリルはその場でしゃがみ込んだ。若干通り道なので邪魔だとは思うが…誰もクレームは言えない。


「マイ。マイは聖女が何処にいるか知っているのか?いや…今、デレナール領が色々大騒ぎになってしまっていてな。何せあのフェンリル様だ。一歩間違えればこの街は一瞬で火の海になってしまう。」

「ほらー、マイお姉ちゃんー早く逃げようよー。危険だよー。ボクーこんなところでー死にたくないよー。」


 フェンリルがアースの言葉を聞き若干睨み付けたような顔をしたため、アースは黙った。


「植物伝達網を駆使しています。今、あらゆる植物が「聖女」という単語を誰かが言っていないかとか…その特徴とか…そこら辺を基に探しまくっています。」

「植物伝達網?」

「なんだそれは?」


 リールさんがオウム返ししフェンリルが質問してきた。


「私は植物の魔物です。植物は皆さんは聞こえないかも知れませんが会話しています。植物はあらゆる所にいるので誰かしら情報を持っていないかと…そういうわけです。」


 フェンリルの顔が若干驚いた顔になったと思ったのは私だけだろうか。まあ、狼だからよく分からないが…。


「ほう。今だとその様な魔物も存在するのか…。聖女は多種多様な物を愛すると我は解釈している。その為、魔物と共存しているこの街の存在を知りやってきたのだが…別の意味で正解だったか。」

「え?」


 それから、なんとなくイラッとした私は命が安全と分かると色々フェンリルから情報を入手しようとし始めた。更に途中到着したムサビーネ夫人とその従魔シロ…白銀狼…更に急遽来てもらったシュウ君…いや、テイマーなら来て当然と言えば当然である…も参戦し、本格的な情報交換が始まっていった。雨は夫人が来た時には既に止んでいた。晴れ女なのだろうか?

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