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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
人間の領地
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「花」の名前

「シュウ君。」

「何?」

「私、名前分からない。皆はどう?知ってる?」


 ギルド内に観葉植物がちらほらあったので聞いてみる。


『と我々に申されましても。』

『姫様のことは森の方から伺がっておりましたが、個有名と言うのは聞いたことありません。おばあさまが394番目の子と仰っていたと言うことはお伺いしています。』

「だよね~。」

「お姉ちゃんはお姉ちゃんだよ?」

「うん、答えになっていないんだよなぁ。」


 受付嬢に聞いてみると


「名前に対してはテイマーが決めるものです。魔物によっては既に名前が決められている場合もありますが、それは元々他のテイマーの所有物であったが殆どですね。種族に対しては…私これでも魔物について詳しい方なのですが…突然変異種でしょうか。人語を喋れて移動できる植物の魔物と言う生き物は生まれて始めてです。今は空欄でもよろしいかと。後程同僚にも聞いてみます。」


 だそうであった。


「シュウ君。私の名前決めて。」

「え、お姉ちゃんだよ。」

「うーん、魔物登録にはペットに名前をつけるみたいに名前をつけないとダメみたい。別に仮でもなんでも良いよ。シュウ君私を名前で呼んだりしないでしょ。」

「うん、お姉ちゃん!」

「こうみると、普通に姉弟に見えてしまうのが不思議です。」


 まあ、そう見えなくもないか。


「うーん、じゃあマイお姉ちゃん!」

「マイ?」

「うん!お姉ちゃんの腕にツルが巻き付いてるから!」


 そっちを見るのか。花を見るかと思った。まあ、オレンジ色の花弁を持った大きな花は逆に名前にしづらいか。


「じゃあ、マイと言うことで。」

「はい。」


 日本語は書けるが、ここの世界の文字は良く分からないので書いてもらった。


「では残りはこちらで手続きをします。シュウ様。自分の魔物にはこれをつけさせてください。テイマーの魔物と言うことで保証されていると言う明かしになります。」


 どうやら腕にリストバンドのように取り付ける形式らしい。中央には青い宝石が埋め込まれている。ツルを縛ると不自由なので、左手首につけておいた。違和感があるが昔人間の頃にリストバンドつけていたし、そのうち慣れるだろう。


「登録は以上ですが、こちらからお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「うん!なんでも聞いて!」

「…守衛の方にも聞かれたかもしれませんが、シュウ様はどうしてそんなにボロボロなのですか?そこの魔物と戦った様にも思えませんが。」

「僕、森で倒れちゃって…お姉ちゃんが助けてくれたの。」

「え?森は魔物の住みかですよ?」

「だから私が拾ってここまで連れてきたんじゃない。私にとっても苦渋の選択だったわ。ただ母性本能かしら。食べちゃうのが最善手だったんだろうけどそうはしなかった。この子は幸運の持ち主ね。」

「そうですか。…私が言うのもあれですが、貴女も変わった魔物ですね。」

「あまり軽蔑すると襲いますよ?」

「ウフフ。貴女はそんなこと出来ない性格です。」

「ム!」


 ホッペを膨らませて警戒したが逆に可愛い女の子と再認識されるだけであった。


「あー、そう言えばこっちからも質問して良いですか?」

「どうぞ?」

「守衛ガバガバじゃないですか?普通こんなボロボロの子供が魔物なんか連れてきたらそれこそ門前払いや拘束、処理されるのかと思っていました。シュウ君に色々発言してもらいましたが、緊張していたので脅迫されているのではと思ったかもしれませんし。」

「ごめんなさい…。」

「良いの良いの。6歳に無理させてるんだから最悪戦う気だったし。」


 まあ私は近距離戦が苦手である。彼処には木々も少なかった。やりあって勝ち目があったかは分からない。


「あー、それですが…ここの領主の奥様がちょっと変わり者でして…」


 簡潔に言うと奥様が魔物オタクで定期的に魔物を捕まえてはペットにしているらしい。勿論税収を使ってなので反感も有るようだが、逆に魔物の受け入れはこの町の場合他より寛容だとか。私が出した調査舞台の植物達は物凄いレベルで有能だった。


「後はシュウ様がその…顔色がそれ程よろしく無かったと言うこともあり慈悲もあったのかと。魔物については奥様の事もあり、守衛達もある程度目を光らしておりますし…判断不能となれば今回のようにより専門なハンターギルドに連れてくることになっております。」

「そうですか…」


 この町の状態はある程度分かった。魔物がそこいらにふらついている様子もないが植物の情報ではいると言う情報もある。ただ、小型なものが多いらしく、私に敵意を向けている奴は現時点でいない模様。まあ、そんな戦闘狂な魔物は流石にここの町には入れないだろう。それより受付嬢さえも分かるほどシュウ君は弱っているようである。まずはそっちか。


「シュウ君一回休憩しようか。彼処に席が空いているし、長時間経っていたから疲れていると思うし。」

「う、うん。ありがとう。」

「お礼は私の方からもかな。シュウ君いなかったら私殺されてたかもだし。」

「そ、そんな事ないもん!」


 残念ながら、魔物が単独で街になんて来たら問答無用で駆除される。まあ、だからシュウ君がいなければ私は今も山の中生活のはずだのだが。そっちの方が誰もいなくて気楽である。とは言っても、シュウ君を助けたのは私。責任はちゃんと取る必要がある。追々わかる事であるが、領主の妻が魔物オタクであり…税収にそれも入っている前提でこの街が成り立っている理由は1つ目に税収自体は他とそれほど変わらないこと、二つ目に要はそう言った変わり者が多く住んでいるという事であった。勿論、税をもっと他のところに使えという領民もいる様だが。そこら辺は領主が上手く調整しているらしい。今対応してくれた受付嬢もどうやら昔からの魔物好きらしく図鑑を永遠と眺めていたらしい。それ故今の職業で魔物判別とかも受付嬢と一緒にやっているとかどうとか。

 漸く主人公に名前が決まりました。シュウマイ(焼売)ストーリー開始です。美味しそう。

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