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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
神獣の奇襲
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無理ゲー過ぎる戦力差

「アース。何でこんなところにフェンリルが来たのかしら。植物の話だと神獣とも言われているらしいわよ?こんな森の中に来る理由でもあるのかしら。」

「ボクに言われてもなー。とりあえず、相手は最強クラスードラゴンより強いらしいよー、逃げておいて良いんじゃないー。」

「そうね…私の花を狙われると困るから警戒しているんだけど…」

「うーん…フェンリルってマイお姉ちゃんの花興味ない感じー?」

「みたいね。と言うよりあったら戦わざるを得ない。私の足じゃ逃げれないし。」

「じゃあマイお姉ちゃんを囮にして逃げるー!」

「助けなさいよ!」


 私は不機嫌になるのであるが…ここからが物語の始まりである。植物から連絡が来た。


『姫様。念のためですが、お耳に挟んでおきますね。』

「うん?どうかしたの?」

『先程通り過ぎたフェンリルですが…どうやら姫様が普段お連れになっている子供が住んでいる街へ向かっているようです。』

「は?」


 私の顔色が変わったのが分かったのだろう。アースが声をかける。


「どうしたのー。まさか、こっちへ来たー?!」


 アースが逃げようとしたのでツルを伸ばしてアースの腕に巻き付けた。


「道連れ反対ー道連れ反対ー!」

「違うわよ。ただ、どうやらデレナール領の方へ行ったらしい。」

「デレナール領ー?」

「シュウ君が住んでいる街よ。」

「あー、あそこかー。」


 アースは直接行ったことはないはずだが…アースも本来の私と同様人間と直接関わるのは嫌らしい…デレナール伯爵一家を護衛するために近くまでは行ったことはある。


「じゃあーまあ、少ししたら火の海じゃないー。」

「他人事ねぇ。」

「実際そうじゃんー!」

「うーん。」


 確かにアースの言う通り本来なら他人事である。デレナール領が吹っ飛ぼうが私達には害はない。ただ、シュウ君…私が4年ぐらい前に助けた男の子が殺されることは気に入らない。


「ねえ、フェンリルって私が倒せたり出来る?」

「マイお姉ちゃんー?何言ってるのー?戦うのー死にたいのー?」

「アースは黙ってて。植物さんの方。」

『そうですね…姫様のツルの力は強力ですが…フェンリルレベルになりますとどうなるか分かりません。』

『無難に放っておくのが姫様のためだと思うぜ。』

『フェンリルは力のドラゴンと違い魔力の塊みたいなものじゃからな。やはり関わらない方が良いとは思うがのぉ。』

『姫様。そこまで…その少年が気になるのでしょうか?』

「まあ。確かにそこら辺の子供1人なのかもしれないけど…やっぱり気に入らないし、モヤモヤするのよね。」

『とりあえず、動向見守るってのはどうだ?まだ、街に向かっただけだ。それだけで街を壊すと決まった訳じゃねえし。』

「うーん。」


 私は悩む。確かにそう言われればそうである。しかし、何かあってから動いたでは遅い時もある。フェンリルが街を攻撃してからではもうどうやっても収集つかないだろう。だが、フェンリル…神獣が一直線でデレナール領へ行った理由が攻撃以外の場合…私から手を出したらそれこそややこしくなる。私のルールで魔物を駆除する条件に「私に気付いた」且つ「私を狙ったようなそぶりを見せた」がある。私は超遠距離射撃型。用もないのに相手を狙おうとした場合、無闇矢鱈(やたら)に相手に攻撃することになってしまい効率も悪いし恨みも買ってしまう。とは言え、逆に油断しすぎると直ぐ側まで敵が来てしまい奇襲出来ず大惨事になる可能性もある。そこの見極めが物凄く難しいため私は大抵植物にお願いしてしまっている。今回の件も『魔物が来た』だけだったら攻撃したかもしれないが『止めろ』が来たので止まっているのである。


(自分で決めるって難しいわよね。)


 前世はそれこそ誰も信用していなかったのが原因で、悩んだ時そのままその悩みに溺れたり誤った行動をとったこともある。今世は相変わらず人間は信用していないが…植物達なら信頼出来、この様に簡単に相談出来ると言う点が、ある意味ではマイ自身が150年以上生きることが出来た理由の1つなのかもしれない。


「うーん、どっちが良いかな。このままフェンリルの動向を植物から聞くか…見つからない範囲で現地へ向かってみるか…」

「よく分かんないけどー放っておくのが吉じゃないかなー。」


 妖精のアースが取り分けもなく発言した時には驚く情報が入ってきていた。


『姫様。既にフェンリルは街の入り口にいる様です。』

「はっや!!」


 ここからデレナール領までだと…ここは普段の拠点よりかなり離れている、主にアースに会うために移動したため…2時間以上私の足ではかかる。ツルによる雲梯は無しでだが…。それを今私があーだこーだ考えていた物の数分…10分弱?…で着いてしまったのである。


(軽く…電車以上の速さじゃない?)


 このスピードだけでもフェンリルの恐ろしさを物語っていた。前世チーターという時速150kmぐらいの速度を出せる動物もいたが…その速度を永遠と出せるわけではない。10分など不可能だろう。私を狙う地上の魔物も瞬間速度が速い者ならいくらかいるが…大抵獲物を見つけて接近してから攻め込むのが常識である。だから私は植物の伝手を使って、彼らが仕掛ける前にもっと遠いところから襲撃して襲われない様にする。しかしその戦法はフェンリルには全く通用しない様である。狙われたらアウトであった。

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