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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
神獣の奇襲
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駄妖精が喧嘩売ってきた!

(今日は雨かー。)


 学校手続きが終わり暫く日数は経つ。季節は冬である。もっと寒くなれば雪も降るのかもしれない。私は森の中でいつも日光浴をするところで雨に当たりながらぼーっとしていた。森の中なので私は全裸である。帽子や服は濡れないようにいつもの雨除けの洞穴っぽいところに置いている。地面に置くと流れた雨で濡れるのでツルで作った土台や入れ物の上に置いてある。ツルを使った制作技術は…150年以上植物の魔物として生活している点…後は、前世の記憶から生じさせる記憶のイメージで…かなり高いのが私である。イメージさえ浮かべばツルで出来る範囲である程度のものが出来るのは便利だった。勿論、自転車や自動車などはどうやっても不可能である。ツルさえあれば出来るものではない。


(雨に当たるのも気持ち良いわよね。人間の頃はそんなことは無かったなぁ。服濡れちゃうし…)


 私は前世「水」が嫌いであった。勿論味とかそう言うものではなく、水に入ると言う感じのことである。プールとか海とか。今はどうなのか分からない。と言うより、どっちも今世見たことは無かった。ただ、植物にとって雨は恵みの雨である。私は魔物だから例外だが…本来植物は水分も土からのみしか吸収出来ない(一応気孔もあるけど)。私の足…根っぽい構造なのだが…も水を吸収出来る。雨に当たって体を濡らすという行為は今の私にも気持ち良いものなのだった。全裸で雨に当たることが出来るし、服が濡れると言う心配も無いからなのかもしれない。余談だが、マイの全裸は人間の少女の全裸ではなく、葉っぱで出来た擬似ブラジャーや擬似スカートは履いた状態である。体から生えているものなのでそこは脱げない。頭の左上にある頭の半分程の大きさを占める花にも雨は当たっていた。雨が花に入り込めば中の花の蜜も薄まるはずである。花の蜜を使って生きている私は花の蜜が薄くなれば、自ずと栄養失調に成りそうなのではあるがそうなることはない。何故なのかは私にはよく分からないのであった。


『姫様。よろしいでしょうか?』

「うん?」

『アースと言う妖精が姫様の名前を呼びながら森の中を彷徨っているという話を聞きました。』

「あー。また来たのか…うん。じゃあ迎えに行くか。」


 アースと言うのは大地の妖精である。主に土魔法を得意とし、ゴーレムとかを作って人間に悪戯をしたりする言わばバカである。見かけは4歳ぐらいの女の子だが、背中には羽があるしいつも飛んでいた。私は、ツルを使って雲梯の要領でアースがウロウロしていると言う場所に向かう。


「アース?私を呼んだかしら?」

「あーマイお姉ちゃんー!呼んだ呼んだー。」


 声を掛けると、斜め上辺りからアースが飛んできた。補足だが、アースはマイより圧倒的に強い妖精である。超遠距離型のマイにとって遠いところから狙えば倒せるだろうが…この近距離でアースが裏切ればマイは即死である。最近の私の周りにはそのような危険な生き物も集まってきているのであった。


「どうしたの?」

「暇だから来たー遊んでー!」

「………」


 この妖精はこう言う性格である。私が面倒臭いと思っている人物はいくらかいるが…大抵は厄介事を持ってくるから面倒臭いのである。しかし、アースの場合には存在自体が面倒臭いのであった。


「なにするの。こんな大雨の中で。」

「鬼ごっこー!」


 その途端、アースは私に泥団子をぶつけてきた。お腹当たり。女の子が土を他人に投げつけたぐらいの威力なのでダメージは無いが、この天気である。泥がこびりついた。補足だが、アースは大地の妖精。土を自らの手の上で作り出し投げてくる。


「…売られた喧嘩は買うわよ?」

「わー、マイお姉ちゃんから逃げろー!」


 アースは妖精のため飛んで逃げ始める。私は剥きになってツルを使って雲梯を利用し追いかける。手を伸ばしツルを使って捕まえようとするが捕まえられない。寧ろカウンターで泥団子が飛んできて私のスカート当たりに着弾する。


「やったな糞妖精!」

「わー、マイお姉ちゃん怒ったー!逃げろー!」


 私は空中にいる敵に対してめっぽう弱い。元々私から直に生えているツルは移動用。相手を束縛するのには向いていない。逃げられてしまう。その為、空中の敵を本気で捕まえるなら今みたいに追いかけるのではなく…1ヶ所に止まってツルを地面に差しあらゆるトラップを回りに張り巡らせてかかったところを捕まえるのが本来である。しかし、今回はじゃれ合い…そこまでガチでやる気は私にはなかった。逆に、アースも色々手抜きである。アースが魔力を使って本気で土を投げれば太い木1本ぐらい平気で幹ごと折れる。また、私の弱点である花においてもアースは避けてスカート当たりを中心に狙ってくる。いわば互いにただのじゃれ合いなのであった。

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