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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
人間の領地
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ハンターギルド

「…えっと…私達…まだ、町に入れなさそうなのかな。」

「多分…」


 魔物の襲撃があった影響で門前の流れは一時中断。魔物の処理は守衛によろしくである。私は捕獲はするが絞殺や補食は余程のことがない限り実施しない。まあ、永遠固定なので餓死する運命ではあるが、私自身は固定されても生きれるためそこら辺の感覚が有耶無耶になってしまっていた。ただ、守衛や騎士の話で、


「このキングバチは本来彼ら並みの花から養分を補食しているんだがなぜこんなところに来たんだ?」

「さあ、分からねえ。ただ、何かしらあるかも知れねえから一度報告した方がいいかもな。」


 と言う声は聞き取れた。ごめんなさい。多分原因私です。とかなんとかで、前の荷馬車が漸く手続きを終え門前突破したので私達の番である。


「次は…君たち、大丈夫かい?ご両親は?」


 魔物襲撃事件は知ってるだろうが、私達は荷馬車に隠れていた。取り分けあんな大それたツルの制御を私がしていたなんて夢にも思わないだろう。


「僕達は…えっと…孤児で…それで…」

「身分証明書みたいなのは…まあ、あるわけないか。子供二人だし、犯罪履歴とかはないとは思うけど…この町に来た目的は?」

「えっと…お姉ちゃんは…魔物で…」

「魔物?」


 私が睨みを聞かせると守衛は黙った。


「それで…えっと…魔物使いに登録を…」

「あー、なるほどね。魔物と一緒に過ごしたいけど…ちゃんと登録しないと確かに危ないからね。君、小さいのに偉いね。」

「えへへ…」


 照れてる男の子も可愛いなぁとか変なことを考えている私であった。


「それで、入ってよろしいのでしょうか?私が危険とかお考えならば監視をおいても良いですが。」

「お前、魔物なんだよな?喋れるのか?」

「一応。」


 魔物と分かった瞬間態度が変わったことにいらっとしたが無視するとする。


「取り敢えず、魔物の登録となるならハンターギルドですかね。どちらもまだ幼そうですし、案内人を出しましょう。」


 一応言っておく。私はもう150歳を越えている。そこいらの人間より普通に先輩なんだけどなぁ。まあ、見た目が10歳ぐらいの女の子なのでわざわざ突っ込んだりはしないが。と言うことで、案内人の守衛にハンターギルドまで案内してもらうことになった。案内されながら私は頭を抱えていた。前世の記憶がまず妨害する。人間に対し拒絶反応があるのである。更に魔物の本能が人間を更に敵対視してしまう。更に厄介なのが私の体質である。私は植物の魔物。おそらく足もどきで土から養分を吸い取っている。街中は人間が歩きやすいように地面が舗装されている。それが私にとって養分吸収を完全に阻害していた。勿論ちょっと歩いたぐらいで死ぬようなことはないが、私にとって人間の町は地獄であった。


(これ、シュウ君と一緒に過ごすこと無理なのかもしれない。)


 森の中は逆にシュウ君にとって見たら地獄である。種別の差が原因か他の要因が原因か。なんだか悔しく虚しくなっていた。


「ほら、ここがハンターギルドだな。登録まで付き合うがお前達では身分証明とか最低限以外は年齢制限上不可能だと思うから詳しいことは受付嬢に聞いてくれ。」


 と、5歳児に言ってもしょうがない感じがするが…まあ私が聞いているのでよしとしよう。とりあえず、中に入る。皆んなからとんでもないレベルの目線が来た。何度も言うが、私は上半身ほぼ全裸の女の子。シュウ君は服ボロボロの男の子。注目されない方がおかしい。むしろ守衛が、何も聞かないでここまで通したことに疑問視するレベル。守衛自体は、こう言う場合とりあえず何も言わず何も聞かずギルドに通せ及び守衛を除く厄介そうなことは対応対象外という方針らしいがそのことを私たちが知ることはなかった。


「すまねぇ。この坊主が身分証明書並びにテイマー登録したいらしい。手続きを頼んで大丈夫か?」

「はい。畏まりました。」


 そうして、シュウ君は色々書類に記載していった…というより、当本人は書く事もままらなかったのでシュウ君が発言して受付嬢が書類を作成していったが正しいと思う。


「もう大丈夫そうか?俺はそろそろ戻るから、困ったらその受付に聞きな。」

「うん!ありがとう!」


 そうして守衛が立ち去っていった。もうフラグを立てるのも面倒臭いので直々だが、だいたいこの後トラブルが起きるのが定番である。ただ、トラブル内容は想定内から想定外まで多種多様であった。


「シュウ様でよろしいでしょうか?」

「うん!」

「まずですが、身分証明書自体は本ハンターギルドで行っております。しかし、ハンター登録は10歳以上となっております。その為、テイマーとして魔物を連れ歩くことは問題ありませんが、依頼の受注は受けることは出来ない旨ご理解よろしくお願いします。」


 おい。初っ端詰んでるじゃん。簡単に言えばハンターとして稼ぐことは不可能。イコール、どこにも泊まれないイコール野宿である。私は別にいつものことだが、シュウ君が辛そうだから来たんだけど?勿論食べ物も買えない。シュウ君餓死するよ?私の花の蜜で蜜漬けにでもするの?私が精神的に死んじゃうよ?


「えーっと…」

「あ、申し訳ございません。あー、どの様に伝えればよろしいでしょうか?」


 シュウ君は5歳ではなく6歳とのこと。まあ、見た目だったからしょうがないが…あまり変わらない。


「えっと、私が理解しているので大丈夫です。」

「…貴女が魔物でしたよね?喋れるのですか?」

「守衛にも言われました。フォローは後でします。」

「ありがとうございます。でですね、テイマーは魔物を捕まえた場合その魔物を登録する義務があります。その様にしないと、街中で駆除対象にされてしまう事もありますし…。」


 との事なので、私自身の登録に入るが初っ端問題が生じた。名前記載欄と種族記載欄がある。本音、どっちもわかりません。種族はゴブリンとかそういうの?植物の魔物って私の知る限りマンドラゴラやアルラウネとかいた記憶が前世では空想とは言えあったとは思うが…どっちも根を張ってるから自由行動できなかった様な気がする。私とは無縁だと思う。

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