雄花の叱責と雌花の主張
王都編が終了し新章突入です。…とは言っても、ここら辺を記載したのが数年前なので何が起きるか私も把握していないのですが…なんだっけなぁ。。
「マイ!お前、いい加減雌花として自覚しろ!」
初っ端叱責を食らっている私である。デレナール領に戻ってから私はいつも通りの生活を続けている。シュウ君も暫くは栄光が泊まっている宿で生活している。服についてはシュウ君が泊まっている宿で洗濯をしてくれているため、私の服も一緒に洗って貰っている。宿費用は栄光が多少持ってくれていると言うおまけ付き。私自身は借りを作りたくないと焦っているのだが…シュウ君の現状の実力ではお金を稼ぎきれない。どうしようもないのであった。
(全く…怒られる前提なら逃げさせてよー。)
どうやら王都で起きた出来事がケリンさん達の耳に入ってしまったらしい。まあ、捕まっていた雄花のうち1匹をおじいちゃん木の元へ返したら情報など瞬時に流れるだろう。実を言うともう1匹王都で暮らしているが…まあ、外れの方だし本人も人間生活を気に入ってるみたいなので放っておいた。
「お前は雌花なんだぞ?もし、雄花を助けれたとしてもお前が死んだら雄花全員が結局復讐しに行くのだぞ?お前はそれを望んでいないのだろう?何故それなのにお前自らそうなるような行動をするのだ!」
拠点で光合成していたら植物に『雄花が呼んでおります。』と言われて、今度は何よと思って行ったらケリンさんに説教されていた。こちとらおじいちゃん木が雄花の事を心配し、哀れんでいるように見えたこともあり…助けれる範囲で行動したつもりだがこれである。
「…もう2度と…雄花…助けませんよ…」
イライラから発言した言葉はそれである。
「ああ、そうしろ。寧ろそうしてくれないと雄花全員花(心臓)に悪いわ!」
もはや抵抗ではなく便乗されてしまった。私はどうすれば良いのやら全くわからない。助けなければ最終的に雄花が乗り込むだろう。だからって私が動けばこれである。見殺しは…本当に助けれないなら無理だが、明らかな勝算があるとき…王都の時はチート魔女のアユミさんが無双したのだが…出来る限りは動こうとしても良いではないかと思った。叩かれまくると、前世の私みたいに鬱になって何も出来なくなってしまうのだから…。
「全く。この調子なら、今後マイがどこか行きそうな時には誰かしら追尾させるか。今まではここいら一帯しか見ていなかったが…マイが死なれては本当に困る。」
「他を当たってくださいよ…雌花って本当に私だけなんですか?探せばいるでしょ。」
「いないことはないが…知ってる限り、マイを除いても1匹しか分からんし、既に兄が婚約済みなのだ。今何処を回っているかは知らないが。」
「本当に他いないのですか?私はもっと自由に行きたい!」
「と言われても困る。お前が雌花として生まれた以上仕方のないことだろう。」
「なんなら人間の女性でも好き勝手に連れていってください。同じ外見でしょう?」
「だから雌花がないと駄目だって言っただろうが!」
結局こんな感じで喧嘩は収まらず…喧嘩より叱責なのか?…翌日不機嫌ながらデレナール領に向かうのであった。
「あー、シュウ君ー私を救ってー。」
「お、お姉ちゃん?どうしたの?」
孤児院が使えないため、ギルド集合にしているのだが…守衛は本来魔物が1匹で通るのは駄目なのだが、マイは既に人間としてこの街ではカウントされている…ギルドの外でシュウ君を見かけ次第私の方からシュウ君に抱きつく有り様である。マイは雌花とは言え容姿は10歳の女の子。ギルド前で女の子がこれまた本当の10歳の男の子に抱きつくのは色々あれなのだが…互いに慣れと言うか、テイマーと魔物だからか…共に何も思っていないのであった。
「聞いてよシュウ君、ケリンさんのアンポンタンがさ…」
2人はギルドに入り、シュウ君が依頼を見る中、私は愚痴りまくっていた。ケリンさんはマイと同じアルビトラウネと言う種族の魔物であり…マイはまだ150歳半ばではあるが、ケリンさんは1600歳を越えた長寿の魔物である。見た目年齢は22-23歳ぐらいか?雄花のため雄ではあるが、アルビトラウネは全員見た目は人間の女性なり少女なり女の子なので、ケリンさんも例外なく女性っぽいのであった。要は、そんな年上をアンポンタン言っているマイであった。
「お姉ちゃん。やっぱりケリンさんもお姉ちゃん心配なんだよ。うん。」
「いや、気持ちは分からなくはないけどさー。これ以上私を束縛するのは止めてと言うかさ。」
どっちが本当の年上か分からないのであった。シュウ君がEランクでも出来そうな依頼を引っ張ってきて受注をし、暫しテーブルがある椅子に腰掛ける。私は例外なくテーブルに突っ伏していた。
「お姉ちゃん、帽子取っても良い?」
「ご自由にー。」
マイは頭の左側にマイの命であるオレンジ色の大きな花を付けている。それ故、マイは花はおろか頭を触られることにも敏感である。ただ、シュウ君だけは例外であった。
「よしよし。」
「もうー、シュウ君まで馬鹿にするー。」
私は膨れていたが安堵の顔はしていたと思う。寧ろ、今までシュウ君が不安に駆られた時は私が抱き付き私がシュウ君を撫でていた。それがそのままマイに跳ね返っているだけである。前世今世共にやられたことはそのまま跳ね返ってくるものだと体感した瞬間であった。




