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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
鬼畜魔法に分断される仲間達
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テイマーの裏切り

「うーん、ここはどこかなぁ。」


 館に乗り込んだが、公爵家並みに侯爵家の中も広い。室内のため、植物もおらず私は援助してくれる植物がいないため不安を抱えている。もはや全部アユミさん頼みである。むしろ、私とアリア様は何のためにいるのか分からない。


「探知魔法的に、このフロアの階段登っていけば何とかなるかなー。上の階にいるみたいだし。まあ、ここから魔法ぶっ飛ばして館もろとも吹っ飛ばしても良かったんだけどさ。ちょっと、マリアちゃんがお世話になったみたいだし…挨拶したいと思うじゃない?」


 何の挨拶よ…と、私は思ったが…階段を進もうと前へ出たとき、誰かが階段から降りてきた。2人である。私は唖然としてしまった。


(シュウ君?!)


 もう1人は女性っぽいが…誰だかは分からない。しかし、その女性がアユミさんに何かを投げつけたのは分かった。アユミさんは魔法を飛ばし投げつけたものを灰にした。女性はシュウ君に何かを言ったかと思うと、ふた手に分かれた。


「あっちゃー、これどっちも操られてるわねぇ。両方やっちゃって良い?」

「え?」

「魔女様!シュウさんは…」

「だって面倒くさいんだもん。」

「…片方だけお願いできませんか?」

「ま、良いけどー。向こうも引き離そうとしてるみたいだし乗っても良いよぉ。ただ、さっきも言ったけど、実験材料の分際で勝手に死んだりー連れ去られたりは許さないからねぇ?」

「こんなところで死んでたまるか。」


 アユミさんは女性の対応に向かった。


「アリア様。はぐれないでください。」

「マイさん、シュウさんは…。」


 一番厄介なのはここは室内である。攻撃が出来ない。いや、ツルそのものを前に伸ばすと言う手もあるのだが…伸ばす度に援護の女性が刃物を飛ばし叩ききられる。向こうの女性の身体能力が意味不明である。アユミさんもなぜか苦戦している。今までと違い吹っ飛ばしてもすぐ立ち上がるのである。もはやゾンビ。


「殺すと面倒だからなぁー。」


 アユミさんの声が聞こえた。苦戦して本音が出たのかもしれない。彼女は散々人の死はどうでも良さそうな雰囲気を出しておいてやはり前世日本人の影響があるのかもしれない。それとも、実際に面倒事に巻き込まれたことがあるのかも。


「お姉ちゃん。お姉ちゃん。」


 かく言うシュウ君はゆっくりこっちに近づいてくる。ただ近づいてくるならここまで警戒しないが…むしろ再会を喜ぶべきなのだが…操られていると言う情報と、彼がナイフをこっちに向けながら近づいてきてしまっていてはどうしようもない。私はアリア様の前に立つ。アリア様は伯爵令嬢。なんでここに連れてきたというツッコミは無しにして…怪我させたら私の首が飛ぶと思っていた。


「お姉ちゃん。どうして構えるの?一緒に行こうよ。侯爵様がお姉ちゃんを呼んでいるの。」

「………」


 私は無言である。シュウ君がどこまで理解しているか不明であるが、今回ばかりは完全抵抗せざるを得ない。第一、侯爵が私を狙っている。ついていったら死亡である。


「なんで?お姉ちゃん、僕のテイマー。命令は逆らっちゃいけないんだよ。逆らうなら何してでも連れて行って問題ないって侯爵様は言ってた。」

「…いつから貴方は侯爵の手下になったの?いつから貴方は私の自由を奪える存在になったの?」

「マイさん。シュウさんはアユミさんの話では操られているんです。耳を貸してはいけません。私は仲違いして欲しくないです。」

「………」


 私は頭を振るう。アリア様の言う通りである。侯爵が何を狙っているか分からないが、ここで私達の関係を破壊すれば間違いなく思う壺である。


「お姉ちゃんは僕のテイマーだよ。なんで、そんな伯爵の娘なんかに従うの?」


 シュウ君が刃物をこっちに突きつけて走ってくる。ツルを用いた防御は不可能。私のツルは切る力には弱い。足元は床。ツルが刺せない。しかもシュウ君の動きが明らかに運動神経ってなんだっけのシュウ君ではなく、どこぞの盗賊のような足取りである。見かけはシュウ君だが、シュウ君では無かった。


「アリア様!私の後ろに!」


 今更だが、なぜ私はアリア様を守っているのだろう。私は魔物。植物の魔物である。しかも、激レアの雌花の魔物。こんなところで傷付いてはいけない魔物である。ただ、この洗脳魔法が解けた時…シュウ君の記憶に残るのであれば…人間より魔物の方が良いと思ったのかもしれない。


(クッ!)


 私の左脇腹にシュウ君が持っていた刃物が刺さった。私の体が痛みを発する。ただ私は魔物。しかも植物。血なんて出ないし…水っぽいのは出たが…私はシュウ君を抱きかかえ、そのままツルで縛っていく。何か援軍が飛んでくるのではと覚悟はしていたが、そんなことはなかった。アユミさんが既に仕留めた後であった。


「はぁ…はぁ…」


 私は左目を閉じながら右目でアユミさんをみる。彼女はこっちに向かってきていた。

 完全に仲間割れしてしまうと物語が終了してしまうのでこんな感じですが…友と思っていた相手に裏切られたら皆さんはどう思いますか?私は残念ながら経験がありまして…人間を信じれなくなったきっかけになっています。

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