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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
奴隷売買された雄花~2/3匹目~
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雌花が考える拷問の方法

「とりあえずここから脱出するわ。話は後。」

「えっと…」

『姫様!どうやら侵入者です!ツルを破ろうとしている人間がいます!』

「え?」


 話を聞くと、2人組の男性が入ってきたようである。ただ、1人は足に矢が刺さったためろくに動けないとの事。ウィリーさんの仕業だろう。2人と言うことは両方同時処理は出来なかったと思われる。


「ちょっと待ってね。」


 私は地面にツルを刺す。地面にツルを刺しておかないとトラップに貼っていたツルが何されているかは分からない。で、やはり刃物で切ろうとしている様だったのでそのままツルを伸ばし束縛。もう一人の場所も植物からの声のもと、場所が分かり次第束縛した。家の入り口や地下への入り口にシュウ君でも持ち運べる植木鉢が置かれていたが、まさかそれが監視役をしているとは誰も思わないだろう。知っていればまずはそれを破壊するのが普通だろうが…まんまとシュウ君のトラップに引っ掛かった男達だった。


「よし。邪魔物はそこいらに捨てたし、他は大丈夫?」

『はい。先ほどまで一緒にいらっしゃった女性が家の中に入って来てはいるみたいです。』

「だったら問題ないかな。えーっと、とりあえず、いまここには私以外にも貴方を助けるために動いている人間もいるの。彼らは仲間だから攻撃だけは…って、無理か。とりあえず解放するね。暴れないで?」

「………」


 雄花を解放する。手首には長めの手錠がついている。鎖は壊したので自由に両手は使えるが、手錠が原因でツルが伸ばせない。言わば戦闘出来ない。彼女…彼は放任しながら立ち上がった。まだ、助かったと言う実感がないらしい。


「シュウ君。帰るよ。あれ、なんか変なもの見えたらとりあえず蹴っ飛ばしておいて?」

「え?」


 私は壊れた階段を上り始める。生やしたツルは撤去した。その後ろを被害者とシュウ君がついてくる。雄花はシュウ君を睨んだが…シュウ君は怯えていたが…それ以上なく地下から脱出した。


「あ、2人とも大丈夫?さっきまでここにツルが生えていて、まあマイちゃんの仕業だと思ったけど…先行けなくてさ。」


 ウィリーさんはすぐ側に転がっている男性らを見ていた。後から分かったが、外からウィリーさんは監視していたらしい。そして仲間が来たことが分かったので襲撃したとの事。ただ、まあウィリーさんはアーチャー。高いところから狙ったらしく1人が限界だったらしい。行動が鈍っていたので私が奇襲しやすかったと言うのはあるが。蛇足であるが…私が


「仲間じゃなくて赤の他人だったらどうしたのですか?」


 と、意地悪な質問をして見たら


「いいえ。長年の勘からあれはどう見ても仲間よ。もともとここに訪れる人が少なかったのと、ノックもせずに1人目が入っていったからね。親しき仲にも礼儀ありよ。要はどうやったかは分からないけど、仲間に伝達が行き駆け付けたんでしょうね。大所帯で来られたら終わってたわ。詰めが甘いわね…これだから焦りは禁物なのに。後でリーダーに言っておくわ。」


 とのことだった。連絡手段は追々どうやら仲間へヘルプを出すボタンのようなものがあったらしい。私があの男性を捕捉する場所が悪かったとしかいえない。何度も押していたようだが、人手がいなかったのか…2人だけしか来なかった模様。これが大量に待機されていたらヤバかったかもしれない。


「まあ、追い討ちかけに警戒しながら来たんだけど、マイちゃんが全員捕まえちゃったようだし、戻ろうとしたらそこのツルがほどけたから待ってたのよ。…で、その子が?」


 ウィリーさんは9歳ぐらいの女の子を見る。彼女は私の影に隠れた。私は彼女を安心させるために1回帽子は取ったが今はつけ直している。


「はい。お陰様でこんなに怯えちゃってるんですが、どう落とし前つけましょうか?」

「と言われてもねぇ。とりあえず私達ではこいつら運べないし…ギルドへ援軍求めるしかないわね。」

「そうですか。えっと、こいつらは見たことある?」

「えっと…ない…です。」


 援軍で来た人間達を雄花に見せると知らないとのことだった。


「じゃあ…こいつは?」


 家の入り口の方に戻っていき、男性を見せる。シュウ君は手際よく、地下の出入り口に置いてあった植物を側の方へ運び直して置いていた。


「ご主人様。」

「ご主人か…。で、なんでご主人なの?こいつは貴方のお世話をしてくれたの?」


 雄花は首を降った。涙を流し始めている。


「ご主人様って…言わないと…」


 以降は私が聞きたくない内容なのでカットするが、こいつの命令に背いたら暴力沙汰。と言うより、買われた直後から地下に監禁されやりたい放題やられたらしい。見た目が女の子と言う理由で。上手い蜜が飲めると言う理由で。魔物と言う人間の法律が効かないと言う理由で。


「シュウ君。」

「うん?お姉ちゃん、どうしたの?」

「一応聞くけど、シュウ君は私のテイマー。言わば私の主人に当たる。シロって言う白銀狼の魔物もムサビーネ夫人を主人って呼んでいるけど…私もシュウ君を主人って呼んだ方が良い?後、主人ってこの雄花が言ったようなことをして良いの?」


 私はモヤモヤと言うか怒りと言うか色々な感情が混ざり合ってシュウ君にぶつけた。全員が黙る。なお、犯罪者は口をツルで封じているため喋れない。


「僕はお姉ちゃんはお姉ちゃんだし、お姉ちゃんに命を助けて貰ったことは変わらないもん。だからその主人とかよく分からないし、そんなことはダメだと思う。」

「だそうだけど。」


 雄花の少女はようやく現実を受け入れ始めたのか永遠と泣いていた。恐らく泣くことすら出来ない状態になっていたのだろう。私は男を睨み付ける。口は塞いでるが耳は塞いでいない。


「じゃあ、シュウ君。そのダメなことをやったやつはどうすれば良いと思う。シュウ君に換算して超分かりやすく言えば…なんだろう。何かあります?私はこいつ殺すだけじゃ済まないんだけど。」


 私はウィリーさんへ投げた。実質そんなことシュウ君に教育する意味がない。無価値である。


「マイちゃん。とりあえず殺してはダメよ。ここは森の中じゃないんだから。」

「えー、じゃあ死なない程度に1本ずつ指を切り落として…歯を抜いていって…」

『姫様。グロテスク過ぎます。』


 植物に怯えられてしまった。斯くして、ウィリーさんが援軍を呼びに行き残りは対処することになった。後から考えればそれしか方法がなかったとは言え、敵地に子供1人と見た目女の子の魔物2人を置いておくのはどうなのかなのだが…まあ、結果オーライである。捕まえた奴らはギルドのハンターらに連行されていった。

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