奴隷売買された雄花達の現状
「うーん、で…捕まった雄花達は何処にいるの?」
『本当に助けるおつもりですか?姫様にとって雄花は受粉をする上での1つに過ぎません。数名放置しても支障はありませんし、逆に姫様自身が危険にさらされます。』
「ケリンさんの一族となると最悪シュウ君に被害が被るし…植物の中には助けて欲しいと言う方もいる。むしろそっちの方が多いかも。」
『確かに私もそうですが…姫様の命最優先で行動していただけますでしょうか?』
「ええ、そんな簡単に死ぬ気はないわ。」
『…分かりました。では、捉えられている場所をお教えします。私としてはお手軽に交流できそうなところからをお勧めします。残りの2匹を助けるためのヒントになるかも知れません。』
「ヒント?」
時は1日前に遡る。マイに雄花3匹が王都に束縛されていると言う話を聞き、シュウ君が奴隷売買と言うことを当ててマイがぶちギレた直後。私は植物と色々情報交換していた。どのように助けるかを私は考える。ただ、それに不服を持つものも多数いた。
「お姉ちゃんお姉ちゃん?お姉ちゃんの仲間を助けるの?だったら僕も手伝わせて!」
「マイ。お前は魔物かもしれないがシュウの従魔だ。シュウが栄光メンバーである以上、トラブルについては俺たちに共有してもらう必要がある。」
リールさんが発言すると3人が頷いた。私は人を信じれない太刀なのだが、私はうーんと腕を組んで考える。
「お姉ちゃん!僕はお姉ちゃんに助けてもらったんだ!だから今度は僕が助ける番!」
「うーん、もう十分にシュウ君にはお礼をもらってるし…話を聞く限り危険よ?」
「でもやる!」
私は下唇を噛んだ。どうやら選択肢はないらしい。
「分かった。」
植物達からは情報がどんどん飛び交っている。私の命を心配するものもいるが、話を聞く限り拷問されている声を聞きたくないと言う植物もいるのである。私はチート能力など持っていないが…死なない程度でやるしかない。
「私の知ってる情報を皆さんに共有します。協力をお願いしてもよろしいのでしょうか?私はただの魔物です。人間ではありません。」
「気にするな。仲間だろ、な。」
「そうよ。困ったときはお互い様…って、貴女が言ってたじゃない?」
「そうそう!」
私は決心した。
「はぁ…どうなっても知りませんよ?」
かくして情報を話し始める。私の知る限りではこんな感じ。数ヶ月前、3匹の雄花が密入されたらしい。で、本来王都のどっかで売買される予定だったらしいが、1匹が残り2匹を犠牲にし逃亡。その1匹は王都の端のところにある農家ら辺にいるらしい。で、1匹は悪徳市民に買われ…これ以上は言わない。で、最後は貴族に買われ…蜜生成機のように使われているらしい。とりあえず、植物達曰く先ずは農家の雄花が一番情報収集しやすいだろうと言う話であった。
「買われたお姉ちゃんの仲間はどうなっちゃったの?」
「まあ、悪人の考えるこっちゃ…マイをみりゃ分かるが性奴隷だろうな。」
「はぁ。直球しないで欲しいのですが。」
「しかたねえだろ。中途半端じゃ困る。とりわけデレナール領じゃねえんだ。テイマーの従魔は確かに主従関係はあるかも知れねえが虐待は駄目だ。テイマーがクビになるレベルじゃねぇ。最悪投獄だ。何せ従魔が反抗して暴れたら街に被害が被るしな。だが、王都じゃうんなことねえだろうな。見かけが女の子で魔物として扱われるならやりたい放題だろうよ。罰せられることもねえ。」
「見かけが危険な魔物だったら速攻駆除だけど、女の子ならねぇ…人間として扱ってもらえるわけないし…。」
ベイルさんが言い放った。ウィリーさんも同情する。私は本能だろうか、殺気が漏れていることが分かった。
「お姉ちゃん、抑えて、抑えて…僕はお姉ちゃんに助けられたしお姉ちゃんを守るし悪いことには使わないもん!」
「そ、そうね…シュウ君ありがとう。」
シュウ君が抱きついて来たので私はシュウ君を撫でた。
「でもお姉ちゃん。お姉ちゃんって花の蜜って滅多に渡さないよね。蜜って奪おうと思えば奪えるの?お姉ちゃん花の蜜はたくさん作れないって言ってた。」
「…確かにシュウ君の的は射てるわね。私なら作れとか寄越せ言われても拒絶するし、ゴリ押したとしても蜜の量は有限かつ死んでしまう。だけど…事情がどうやら違うみたいなのよ。おそらく貴族に囚われた雄花が一番厄介だと思う。」
植物の情報では捕まってから永遠と花の蜜を採取され続けてるらしい。結論から言う。まず理論上無理。花の蜜は有限である。無限に作る方法は無くはないが…あり得なさすぎる。食べ続ければ永遠と花の蜜は作れるが…そんなことをすれば人間換算で永遠とおむらし状態なので精神的におかしくなる。私が数分シュウ君のために身を削っても相当なのである。そんなこと数ヶ月も出来るわけがない。
「じゃあ、どうするか作戦会議とするか。一目避けるならここでも良いが…ギルドや今日泊まる予定の宿でも良いかもな。」
「あー、まあお任せします。」
私は話ながらも光合成で回復していたのであるが…あまり逆らう気はないのであった。で、その後翌日は伯爵令嬢誘拐事件が起きてしまったのでなにも出来ず…その翌日、今の時間帯に戻ってくる。先日私がシュウ君を花の蜜で蜜漬けにしている間にメリーさんは他の栄光と合流出来たらしい。令嬢誘拐事件は完全に幕が閉じていた。
何処で章を切るか検討中




