魔女の疑念
「なるへそ。植物と会話出来て、それでマリアちゃんの死因とか全て調べたと。」
「そう。で、マリア様を買った盗賊が私達の同種を狙っていると言う訳。多分、捕まって王都で売られたのが3匹と思っていて。」
「デレナール領はメリーちゃんを育ててた時に行ってるから知ってるわ。そこからそこら辺を調査しにきたって訳か。うーん、メリーちゃんを育てていた時にアリアちゃんの魔力は…あー、その時はまだメリーちゃん歳一桁だったからなぁ。アリアちゃんまだ生まれてなかったのかなぁ。」
「いたらどうしたんですか?」
「幼すぎたら無理だから…それに複数同時は面倒臭いから順番ね。私多大な量の研究材料は処理出来ないタイプなのよ。」
「弟子で良いじゃないですか。前世日本人なら尚更。」
「いやいや。魔女だから魔女っぽくしたいってあるじゃない?」
「そうですか。」
それはお前だけだと思ったが突っ込まないことにした。
「ま、アリアちゃんの面倒も見ることに決めたし…後で、彼女の記憶に干渉して彼女の部屋にも飛べるようにしておこう。そうすればいつでも修行出来るし。」
「魔女ってなんでもありなんですか?」
「限界はあるけどね。例えば行きたい場所は指定出来るけど行きたい人の側には行けないわ。それが出来たらマリアちゃん探しに行ってる。」
「あー、確かに。」
「まあ、日本人の嗜みってやつ?協力してあげるわよ。第一胡椒くさいし。」
「何がですか?」
「そんなホイホイと貴族の娘が誘拐されるのとか。思わない?貴族って厳重警戒されてるでしょ。私みたいに魔法でポンと飛べる奴が他にもいるなら別だけどさ。そんな奴がいたら私逆に会いたいわ。日本人か?って思わない?」
「最後は知りませんが…まあ、何かありそうですね。」
「私としてもアリアちゃんも誘拐されたーとかなったら癪に障るし、貴女もどうやら希少価値の魔物なんでしょ?どうせ、転生なんだから何かしら特典がついてるって。だから、貴女も陰ながら辺な虫がつかないように見ておくわね。まあ、ずっと見るのは私の魔法でも困難を極めるけど。」
また監視が増えるのか…と頭を抱える私であった。希少価値については…まあ、微妙である。第三者目線だとすると、激レア雌花として生まれて雄花の何百倍も強いと言えば強いが…弱点丸出しだし、回りから監視される毎日に成っているためやはりハッピーなスローライフからは程遠そうであった。
「他になにもないならこの魔法終わらせてくれないかしら。」
「あー、忘れてたわー。じゃあ私は席に戻るわね。何かあったらメリーちゃんとかアリアちゃんとかに言ってね。いずれ私にも伝わるしー。」
「覚えていたら…」
この魔女はチートの酷いのであるが…連絡手段を自在に操ることは出来なさそうである。頼るのは良くないかな…私の命的に…と思う私であった。アユミさんは時止めの魔法を解除する。
「えーっと、何の話していたから…あ、結局他にこれ読めた人いた~?」
他と言う辺り読めている人がいたと誇張しているのだが…運良く誰も気付かなかった。
「師匠、やっぱり駄目。もっと修行すれば読めるようになるの?」
「どうでしょうー。まあ、期待してなかったし、読めたら私も驚きだから大丈夫大丈夫。」
まあ、もう絶対いないだろうと思っていた転生者が目の前に現れたら驚くよね。
「あの…お父様、お母様達が心配しています。家に帰りたいです。」
「あ…まあ要は済んだしもういいか。じゃあ、アリアちゃん。死にたくなかったら約束守ってねーっと忘れてた忘れてた。」
アユミさんはアリア様も側に近付く。
「良い?ちょっと一回自分の部屋を思い返してくれない?」
「え、は、分かりました。」
「よーし、じゃあ目をつぶってー。」
アユミさんは自分のおでこをアリア様のおでこに着けた。見かけ上は何も起きてはいない。
「よしOK。場所把握。家戻るのってどれぐらい?今旅行中なんでしょ?!」
「え…旅行ではありませんが…後、1週間以上かと思います。」
「じゃあまあそれぐらいになったらアリアちゃんの部屋に飛ぶね!いなかったらまた別途ってことで。あー、マリアちゃんのことがあるからアリアちゃんの部屋とかそこら辺一帯セキュリティマックスに勝手に改造しちゃうけどよろしくー!」
「え、セキュリティとは何でしょうか?」
「簡単に言うと、不審者がアリア様の部屋に入ったらこの魔女が助けに行ってくれると言うことよ。昨日アリア様がこの魔女に助けられたのと同じ。」
「え、マイちゃんよく知ってるね。師匠の言葉ってたまに知らない言葉あったりするんだけど。」
「あー、まあ勘よ。」
メリーさんに突っ込まれてしまった。この魔女と下手に関わるとボロが出そうなので、関わるなら誰もいないところで関わろうかなぁ。
「後…師匠。やり過ぎはやめてください。私の時、お母さんが爆発に巻き込まれて大怪我したんだから。」
「あれ?そんなことあったっけなぁー。」
うん、転生者か元日本人かは知らないけど…この魔女は危険者認定にしておこう。なんか巻き添え食らって死にそうだわ。
「まあ、じゃあ皆王都に返却と言うことでー研究材料としての仕事宜しくー。」
私達の足元に魔方陣が展開される。暫し経つとそこには魔女のアユミ以外誰もいなかった。
「あー面白かった!今日は大量大量!うーん、まあちょっと多すぎたかなぁ。明日は休むかー。」
アユミは独り言を呟く。
「あー、そう言えば尋問する奴いるんだっけ。うーん、まあ後で適当にやろうーっと。それよりも…」
彼女は部屋の壁を見る。
「ここ最近、私が気になる魔力を持った子が多いわね。何かの前兆だったりするのかな。こう言うときフラグ回収って言うんだよねー。ま、マイちゃん前世の記憶があるのにこの世界を客観視してないなんて…後悔しても知らないよー?」
かく言う私達は気付いたら、魔女に飛ばされた直前の場所に戻っていた。人通りがほぼない路地裏だったので違和感を感じた人はいないだろう。
異世界転生は転生者がチート能力を持っているから初めて成り立つんですよね。能力が微妙でも相手を言いくるめたり、指揮官になれたり…彼ら、彼女らが無双しても私の力では物語に出来ないので…現状マイにはあまり異世界特有の何かは与えていません(今後どうするかは決めてませんが…)。




