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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
拉致られた令嬢と森に住む魔女
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拉致られた令嬢

「戻ったわよー。」

「あ…え…シュウさん!マイさん!」


 急に誰かが私に抱きついてきた。私は重心が狂った魔物なので倒れまいと何とか踏ん張り…唖然とする。


「アリア様?!」


 シュウ君もフリーズ状態。メリーさんも唖然を隠せない。


「いやー、研究材料にしたいんだけど怯えちゃってて何も話してくれなくて…食べ物も出したんだけど、中々食べてくれなくて…。」

「師匠!いい加減学んで!私だって急に私の部屋に出てきたときはビックリしたんだから!」


 私は頭の中でこの女性常識トチ狂ってると言うことだけは分かった。いや、私は魔物なので人間と考えが違うのかもしれないが…前世も他人と意見が合いにくいと自覚しているが…それでもおかしいと思った。


「えーっと…要約すると…」


 暫し話を聞き…何故か私が仕切っている。


「この女性が…」

「あ、マイちゃん。師匠はアユミと言うの。魔女だって本人は言っているんだけど…危険はないから安心して。」

「…アユミさんがアリア様が誘拐されているところを見つけて助けたけど、自分の弟子にしたくて…」

「弟子なんて取らないわ。面倒臭いもの。あくまで研究対象よー。」

「…あー、もう!アユミさん!ツッコミどころ満載なんですよ!何処から突っ込みますか?魔女って何ですか?私魔物なので良くわかりませんけど、危険なんですよね?後、なんで研究云々に拘るんですか!話し的に弟子じゃないですか?と言うか、助けたと言っても結局アユミさんが誘拐してるじゃないですか?何なんですか?!」

「お姉ちゃん!ストップストップ!スーハースーハー。」


 私はまたカンカンであった。


「だってだって!強そうな子いたら交流したくなるじゃない!ねえ?」

「え、うーん…私はよく分からないなぁ。」


 メリーさんでさえこれである。


「マリアちゃんも研究手伝って貰っているんだから、血のつながりがあるアリアちゃんも問題なし!魔力が似ているのと、トラップ仕掛けた場所がマリアちゃんの部屋なのに助けに行ったらこの子が誘拐されてた訳だし…何かあるかなーと思ったら従姉妹関係だったなんて!もうこれは一緒に手伝ってもらうで決定でしょ。うん。異論はなし!」

「メリーさん。この魔女どうにかなりませんか?」

「うーん、師匠一度決めちゃうとよっぽどのことがないと変えないからなぁ。」

「大丈夫よー。研究材料になれば家に帰してあげるわー。」

「アユミさん。魔物目線で言うのもアレなんですけど…貴族の娘誘拐したら犯罪というか死刑ですよ?」

「え?別に人間が私を殺そうとしたら全員血祭りだから気にしないんだけど。私魔女であって人間じゃないしー。」

(そういう考えの持ち主か…)


 私は一度思考を捨てたが…シュウ君に声を掛ける。


「シュウ君。何とかしてこの魔女からアリア様助ける方法ない?」

「う、うーん…。」


 お手上げらしい。ゴリ押しも考えたが…メリーさんの魔法の威力や盗賊を洗脳した魔法、その他云々でこの魔女に勝てる見込みが0である。私が灰になってしまう。その時何処かからお腹が鳴る音が聞こえた。


「あ…」


 アリア様がお腹をさすった。まだ午前中だが…机を見ると、ご馳走が置いてある。


「さっきも言ったけど、この子食べてくれないのよ…別に毒物入れてないし…困ってるのよね。」


 貴女の頭の方が困るが…まあ、よく分からない奴に連れ去られて食えと言われても抵抗するだろう。


「アリア様。師匠はちょっとアレな性格だけど、アリア様のこと心配しているし食べても大丈夫。何なら私が毒味する。」


 メリーさんは机にあった食事をちょっと食べた。


「ほら、大丈夫大丈夫。美味しいから平気よ。」

「わ…はい。…頂きます。」


 アリア様は食事に手をつけた。お腹が空いているのだろう。食べ始めたらペロリと平らげてしまった。


「流石私のメリーね。鍛えた甲斐があるわ。」

「なんか違う気がしますが…。」


 私は小声で突っ込んだ。シュウ君の方を見るとちゃんと頷いていた。


「さてと…じゃあまずは、今の実力を測る云々の前にちょっと軽くテストなんだけど。」

「師匠。まだアリア様何も言っていませんよ?」

「え?だって、もう私の研究対象になるしか帰る方法ないし確定じゃないの?」

「…師匠。5分だけ時間ください。アリア様がついて来てないから。」

「はぁ。まあ、任せるわ。」


 ということで、メリーさんが説明し始める。


「さっきマイちゃんが言っていたけど、師匠の研究対象とか云々とかは言わば弟子になれって事なの。師匠は魔女で…よく分からないんだけど、魔力が強そうな人間を見つけては教育しているみたい。その統計かよく分からないけど、それを見たいんだって。私も師匠から色々学んでそれこそ1人でもハンター出来るぐらいまでの実力は得れたし、師匠は本物よ。別にハンターにならなくても、それこそ今みたいに連れ去られそうになっても戦えるかも知れないし…私はお薦めするよ。まあ、アリア様が最終的に決める事だけどね。」


 少し、沈黙が続いた後アリア様が喋る。


「あの方、私のお姉様を知っているのでしょうか?マリアお姉様です。」

「知ってるわよ。私の研究材料だったもの。数年間お忍びで育てていたんだけど…まさか誘拐されたなんて知らなかったし…あ、貴女従妹なんでしょ?彼女の行方とか知らないの?身内に聞きに行くわけには行かなくてさ。研究のことは誰にも話すなって言っているからね。魔女に教わっているなんてバレたらどうせ人間達は化け物扱いとかして処刑されてしまうと思っているし。」

「あ…その…お姉様は…」


 アリア様は黙る。その時、アユミさんは彼女に向けて何か放った。一瞬何かが飛んだ気がしたが、直ぐに収まる。

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